内藤典彦のコラム&ダイアリー

Column&Diary

「范文雀さん」

2022年11月18日 | ブログ

この季節になると、どうしても逢いたくなる人がいる。



ワタシがこの世で最も愛した女優、范文雀(2002年11月5日他界)

芸能界でのワタシの姉です!!
ホントに弟のように可愛がってくれました。



今だから公表してしまいますが、
20歳の11月頃のことです。

ワタシはとある映画の主演に抜擢されました。
相手役は某人気女性アイドル。

某人気アイドルとは数々の作品で共演していたという
経緯もあるのでしょうが、当時のワタシはどうしても
自分の芝居に納得がいってなくて、
何かが足りない、その何かとは何なのか?
自問自答するも答えは見いだせず、、、
他にもあれやこれや、悩んでばかりいて、、、


そんな時、同じ事務所の先輩、范文雀さんにお会いして、
「半年間限定で私の手伝いをしてみない?」と言われ。。。
言われるがままに范文雀さんの付き人をすることになりました。


映画主演の仕事を蹴って、付き人になる!!笑
事務所のスタッフには「前代未聞、お前はバカか?」とも
言われました!!
確かにバカだったかもしれませんね!!笑


しかし、今だから確信して言えます。
この時の選択は正しかった。


この女優、范文雀さんは、人前では決して見せない姿、
とてつもなくストイックで、凄まじい程の努力家で、
台本を読み、深く深く掘り下げて、、、

演技プランを自宅で考えている姿、
プロフェッショナルな役者としての姿勢を
ワタシはまざまざと目撃していました。
プロとは、、、こういうことなンだと。。。!!


連続ドラマの主演を張っていた時、
誰よりもセリフ量が多く、誰よりも出番も多く、
共演者の誰よりも睡眠時間が少なく、
それでいて、全てのシーンで一度たりともNGは出さず、
セリフも芝居も完璧!!

そりゃー、范文雀さんへのオファーが絶えなかった筈ですよ!!

松田優作さんを「優作」と呼び捨てで呼び、
桃井かおりさんを「かおり」と呼び捨てに出来る人物は
当時からそんなに多くは存在していませんでした。


そんな大先輩の女優・范文雀さんに、
当時のワタシは納得いかないことがあると
平気で言い返すような、生意気な若造でして、、!!
付き人になって、最初の3ヶ月は喧嘩ばかりしてましたね!!笑


本気でぶつかり、本気でよく喧嘩しましたね。
ボクはどうしても頭にきて、
台本を投げつけて、怒りまくって、、、。
仲裁に入ったマネージャーも実は半年前まで
ボクのマネージャーだった人で、、、!!笑
ふたりに挟まれたマネージャーが一番大変だったと思います。


当時21歳のボクと40歳になったばかりの大女優。
今思うと、よくあんな喧嘩に付き合ってくれていたと思います。

でも、喧嘩にはなりましたが、本気で正直に言い合ったから、
その後は信頼関係が構築出来て、姉と弟のような絆が出来たンだと思います。



范さん、いかがお過ごしですか?
そっちに行ってから、20年の歳月が経ちました。

貴女と出会ったのは東京タワーの真下のスタジオでしたね。
今でも東京タワーを眺めてると貴女を思い浮かべます。


そちらではどんな生活をしているんでしょうか?
優作さんと新たな作品撮ってるのかな?

いつかボクもそちらの世界に行ったとき貴女と共演したいです!!
その時に恥ずかしい芝居をしないように、
もう少し、こっちで芝居を磨き続けますね。


目標は90歳まで現役の俳優として仕事すること。
そのために、お酒も辞めたこと。
呑みたいけど、もう10年呑んでない。
あと35年頑張ってみる。


范さんが亡くなった年齢をボク1つ超えたよ-。
貴女の墓前に、この20年、一度も墓参りしてないね。
ゴメンなさい。どうしても行きたくないンだ!!
解かってはいるンだけど、
行ったら貴女が居なくなっちゃう気がしてね。
もう少し、不義理を許してください。



あっ、そうだ!!
范さんの育った街、広島で
ボクも出演している最新作「いちばん逢いたいひと」
というタイトルの映画が先行上映されるよ。

出番は少ないけど、精一杯、演じてみたよ。

天国から見てほしい。


いつかまた逢いましょうね-!!




不義理、、、内藤典彦でした。。。(笑)





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