不味い寿司屋

　放出に「銀寿司」と言う、結構古くからの寿司屋がある。
わしゃ、寿司って大好物でもないが、たまに食いたくなる。
ちょっと前まで、お気に入りの「いわい」があったんやが…無くなったわけやないが、板長が居なくなってから行ってない。

　先日久しぶりに夕食に、寿司食いてぇ～～と思い、地元附近で考える
あった、行ったことはないんやが、結構昔からある寿司屋が思い浮かんだ！
昔からある！それだけで、大丈夫と思うのは、わしだけかな？

　わしゃ、どこへ行っても「カウンター派」。
カウンター越しに、「おやじ、あれ頼む！」「これ頼む！」と声を掛け合いながら食うのが好きや。
当然、ここでもカウンターに陣取る。

　初めてのこともあり、遠慮がちに「何が旨い？お奨めは何や？」と尋ねる。
女将さんが、品書を持ってきて～これ参考にしてくださいなと、笑顔。
初めてのことで、とりあえず『特上にぎり』でも言うときゃ～間違いないやろと思い、一人前三千円もする『特上にぎり』を注文。

　へぃ！お待ちと、大将の威勢のよい声とともに、八つ、八種類の寿司が、綺麗な大きな皿に並んで出てきた
わしの前のカウンターに置かれ、さぁ～どれから食ってやろう～かと、目線を皿に向ける。

　えっ？これわしが注文したやつ？
一応「特上」ってな、この店ではこれ以上ない『にぎり』を注文したはずやが…
トロらしき、黒ずんだ薄いマグロ。
普通の貝柱に、うなぎは元禄寿司以下。
ウニは甘くも無く、こくも無く、黄色の小さいウニが、ふた切れ…ちょこっと軍艦になってる

　たぶん、これなら宅配の『銀の皿』の松竹梅の「梅」以下やで。
今日会社で食った、伊賀弁当４８０円の寿司の方が、どれだけかおいしいことか
新鮮な、高級なネタが無いなら、無いと言えばええ。
イナリ寿司でも、巻寿司でも、わしゃ～なんでもＯＫなんや。

　同じ初めて入って食うのなら、ちょっとでも落としてあげて、店にも喜んでもらい、且つわしも旨いものを食わせて欲しいと願う。
二度と行くこともないやろから、文句の一つも言わないで出てきたが・・・・
そそくさと、八つほおばって出てきた。
なんとも、ひさしぶりに不味い寿司屋に当たった物語であった