法政大学菅富美枝教授による講演、「自己決定を支援する法制度の構築に向けて~イギリスの意思決定能力法からの示唆~」、大阪弁護士会ひまわり「意思決定支援研究会」による「意思決定支援法(仮称)」の提案(骨子)、パネルディスカッション「意思決定に困難を抱える人を支え合う社会を目指して」、どのプログラムも深く考えさせられました。
「本人の意思決定をあくまで尊重していくこと」ということを、言葉だけでなく仕組みとして作り実践していくことが必要だなと思いました。障害者総合支援法の検討規定に「③障害者の意思決定支援の在り方、障害福祉サービスの利用の観点からの成年後見制度の利用促進の在り方」が提起されていますが、そのことに対する問題提起になると思います。さらに、2月19日に障害者権利条約が発効されましたが、そのことを活用するこれからの政策検討及び運動の方向を示唆するものでもあったと思いました。
パネルディスカッションで、「本人のストーリーを引き継ぐこと」「経験することの大事さ」「小さい失敗をたくさんする、大きな成功をしっかり持つ」ことなど、現場の具体的な実感が語られていたのもよかったです。また「支援者を委縮させない・やりたい支援ができないことのないように」という指摘も大事だと思いました。
日本の国内だけみていたらダメですね、幅広い視野が必要です。いろんなことを吸収したいと思います。
イギリス;意思決定能力法の5大原則と7つのチェックリスト
5大原則
第1:意思決定能力存在の推定の原則
・人は、意思決定能力を喪失しているという確固たる証拠がない限り、意思決定能力があると推定しなければならない
第2:意思決定支援の原則
・人は、自ら意思決定を行うべく可能な限りの支援を受けた上で、それらが功を奏しなかった場合のみ、意思決定が出来ないと法的に評価される
第3:
・客観的に不合理にみえる意思決定を行ったというだけで、本人には意思決定能力がないと判断されることはない
第4:ベスト・インタレストの原則
・意思決定能力がないと法的に評価された本人に変わって行為をなし、あるいは、意思決定するにあたっては、本人のベスト・インタレストに適うように行わなければならない
第5:必要最小限の介入の原則
・さらにそうした行為や意思決定をなすにあたっては、本人の権利や行動の自由を制限する程度がより少なくてすむような選択肢がないか、よく考えなければならない
チェックリスト
①本人の年齢や外見、状態、ふるまいによって、判断を左右されてはならない
②当該問題に関係すると合理的に考えられる事情については、全て考慮した上で判断しなければならない
③本人が意思決定能力を回復する可能性を考慮しなければならない
④本人が自ら意思決定に参加し主体的に関与できるような環境を、できる限り整えなければならない
⑤尊厳死の希望を明確に文書で記した者に対して医療処置を施してはならない。他方、そういう文書がない場合、本人に死をもたらしたいとの動機に動かされて判断してはならない。安楽死や自殺幇助は、認められない。
⑥本人の過去および現在の意向、心情、信念や価値観を考慮しなければならない
⑦本人が相談者として指名した者、家族・友人などの身近な介護者、法定後見人、任意後見人等の見解を考慮入れて、判断しなければならない
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