(藤井克徳、池上洋通、石川満、井上英夫編著:大月書店)
昨年、7月26日未明に発生した障害関係者のみならず多くの方に衝撃を与えた事件を取り上げた本。出版社HPでは、「重度障害者のみを狙った史上最悪の殺傷事件を私たちはどう受け止めるべきか。福祉・医療制度の盲点、自治体と国の責任、そして社会に根深く残る差別と優生思想。各分野の専門家と当事者・支援者たちの声を編んで緊急出版する」として紹介されています。
その日、伝えるテレビ報道を観ながら涙が止まらなかったことを今も鮮明に覚えています。しばらく、どう考えていいかわからなかったことも。その後、様々な人が発信するメッセージや福祉現場で働くみなさんと意見交換しながら、自分なりに向き合ってきました。
「事件の基本的性格は障害者の基本的人権・生存権の否認にある」と、「はじめに」にありますがその通りだと改めて思います。また、様々な角度から書かれていますが、犯人の異常さだけで片づけてはならない今の社会が抱える問題として、それぞれの立場から捉えるが必要ではないかと思います。
対処療法的な対策だけが、強調されてはいけません。障害福祉の現場で働いてきた者の一人として、「人権の担い手」として求められる労働の質(「福祉の専門性」)・置かれている実態、また現行制度の問題点等について投げかけていきたいと感じています。
たくさんの方に読んでいただき、様々な場で振り返ることができたらいいのではないかと思います。ぜひ読んでみてください。
http://booklog.jp/users/na1129jr/archives/1/4272360884
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