「戦争を取材する〜子どもたちは何を体験したのか〜」(山本美香著:講談社)
ジャパンプレス所属のジャーナリストとして世界の紛争地を中心に取材し、ボーン・上田記念国際記者賞特別賞などを受賞。2012年8月20日シリアでの取材中、政府軍の銃撃により殺害された山本さんの最後の著書。東京へ行く新幹線の中で、一気に読みました。
読み手を小学上級向きとして書かれた本に登場するのは、山本さんが戦場で出会ってきた読み手と同じ年齢層の子どもたち。彼・彼女らが置かれている状況・傷つけられ事実・その中で受けてきた精神的な苦痛を読むと、ほんとうに心が痛みます。「幻肢痛(げんしつう)」(手や足を失った人が、ないはずの手の先やつま先に激しい痛みを感じること)を抱える子どもたちの消えることのない苦しみに、言葉を失います。
地雷の非人道性、戦場に送られる兵士たちの生活、難民生活の実態、背景にある国同士の思惑等々、戦争が何故起こるのかを考える上での視点もきちんと触れられています。
この本を読んだ同じ年齢層の子どもたちは何を感じたのか、話してみたくなりました。そして、自分も含めた大人たちは子どもたちに語る言葉をきちんと持てているのか心配になりました。
「違っていることは壁でも障害でもありません。人間はひとりひとり違っているからこそ、豊かな関係を築いていけるのです。だれもがちがいを学び、相手の気持ちを考え、他人を理解しよう努めることで、お互いの価値観のちがいを乗りこえることができるのではないでしょうか」は山本さんの読者へのメッセージ、その通りだと思うし実践することが求められていると思います。
おすすめの一冊です。
http://booklog.jp/users/na1129jr/archives/1/4062170493
