なぜ、なぜなのですか。
なぜ、私たちの中にポツンと紛れ込んできたのですか。
彼岸花と言えば、ご覧なさい、私たちみたいな鮮やかな赤い花
というのが多くの人が知っていることですよ。
なのにあなたは、私たちの中に紛れ込んできて、
女王様みたいに私たちを睥睨しているではありませんか。
不愉快でなりません。
早く、自分がいるべき場所に戻りなさい。
何とも恐れ入ります。
この写真は第70回二科会写真部展入選作で私の妻の作品です。
どうぞ、お怒りにならないでください。
私とて、皆さん方の調和を乱そうなんて思っているのではありません。
実際、なぜここにいるのか私自身よく分からなかったのです。
ここ九州では、私ども白い花の群生もあちこちあります。
私たちのことを『シロバナマンジュシャゲ』と呼ぶようですね。
私たちももともとはあなた方と同じように赤だったんだそうです。
こんな話を聞いたことがあります。
ある晴れた日、まさに突然、突風が襲いました。
それによって、あなた方のどなたかが
『鍾馗水仙』(しょうきずいせん)の群生の中に吹き飛ばされ、
その『鍾馗水仙』と自然交雑した結果、
生まれてきたのが私たちらしいのです。
それが群生をつくり、私の母もそこで生まれました。
ところが、またまたの強風です。
母の花弁の中にいた私をこちらへ吹き飛ばしたのだと思います。
だから、私は色は違えど皆さん方と親類なのです。
どうか邪険にしないでください。
そういうことでしたか。言葉を荒げてすみませんでしたね。
どうぞ、もう少し近くへお寄りください。
共々、この温かい日差しを受けながら
楽しくやっていきましょう。
ところで、あなた、何とおっしゃいましたっけ。
シロバナマンジュシャゲです。
よろしくお願いいたします。
垣間見るブログ記事にいつも
素敵なご夫婦だなあと羨ましく拝見しています
奥様の写真でこの記事がうまれる
いいなぁ