あの感動を文字に起こそうと思うのにキーボードの上で指が動かない。
これは一体どうしたことか。いつもならばつらつらと文章が浮かんでくるのに。
鑑賞後のタクシー待ちで雨にぬれたせいか、昨日は熱っぽく頭痛がひどかったので、薬を飲んで昼寝して用心した。
で、ブログもお休みした。
今日は元気に運転の練習もして仕事もしてきたのでご安心を。
さあ、長文感想の始まり、始まり。
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Kバレエカンパニーの「眠れる森の美女」を観た。
予想を裏切らない華麗なるバレエと美しい衣装、そしてオーケストラの生演奏。
観るもの聴くもの全てにおいて水準の高さを感じる。
特に衣装の色合いには毎回うっとりとさせられる。
あの上品さは見るだけで心地よく、まるで自分もあの絹をまとっているかのような錯覚を起こす。
特に今回は妖精たちの衣装が大好きになった。
頭から離れずに、色合いの似た一輪挿しを購入するほどに気に入ってしまった。
妖精たちの可憐な動きと相まって、実に美しく流れ、且つ物語る衣装だと思った。
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フロムリント王子は期待通りに確実で美しい回転と高いジャンプで観客を魅了した。
そうそう、これです。あなたのこの踊りを観に来たんです、王子様。
“リラの精”の気品高い踊りは本当にすばらしかった。物語を先導する役割にぴったりであった。
“青い鳥”のきっちり美しいハイジャンプと存在感は芸術監督の後へ続く人材だと思った。彼の踊りは好きだ。
気持ちを体現できるダンサー達がこのカンパニーには多く存在するのが魅力だと思う。
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私は2階席の後ろから二列目で鑑賞した。
ほぼ壁際である。絶壁を見下ろす感じがしなくもない。
開演前、オーケストラピットを望む。
このように前席の方が舞台の邪魔をしない点も気に入っている。
相当前のこと。ジョルジュ・ドンのボレロを同じ2階席のもう少し前で見たが、もしかするとここの方が舞台全体が見渡せるし、しかも視界を遮る物がないからいいかもね、と隣席の友人と話すことであった。
こんなに舞台から離れた座席で何がおもしろいかというと、オーケストラの演奏が美しい音色で楽しめるからだ。
突然トライアングルが鳴った。
私はビクッとして右側を向いてしまった。そこに演奏者がいるはずもないのに。
音が降ってくるのだ。
右耳の横でトライアングルが鳴ったように聞える。
音に包まれながら鑑賞できるのが後部座席の良いところ。
だから2階席での鑑賞は止められない。
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第二幕は知っているメロディーがいくつか流れた。
そうか、チャイコフスキーの…。
テレビで観たことのある振り付けもあった。あ、これ知ってる。
素人の私はこのようなことに気づくたびに嬉しくなるのである。
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どうやら体調が悪くならない予感がする。
そう感じたのでオペラグラスで覗いてみた。私はこれで気分が悪くなるのだ。
でも、この日は大丈夫だったので、王子様がお出ましになるとオペラグラスを覗いた。
髪型がとても自然でいい感じ。
1階席で初めて観た知人親子は「もう少し前で観たかった」と感想を述べている。
王子様のハイジャンプに感動したそうだ。
そうでしょうとも。ほとんどの人が王子様に感動をもらいに来ているのだから。
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好きな踊り方。それは“白猫”だった。
ジャンプってこれがお手本よ、と思った。
跳んだ時の後ろ足がとても美しい。とてもとても美しかった。
きゃ~猫ちゃんよ、と思った。しなやかで軽やかに跳ぶから。
脚の線もきれいだったけれど、ジャンプは更に美しかった。
跳んで、跳んで~とわくわくしながら観た。
鑑賞中の子ども達よ、こんな風に跳んでね、などと余計なことまで思った。
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スタンディングオーベーションは続く、続く。
5~6回? 隣席の友人に尋ねたら、わかんな~いと笑って返事をされた。
それから何回も拍手は続いた。
それほどに2階席は盛り上がっていた。
しかし、彼らの表情がしっかりと見て取れる1階席の友人は、最後は皆疲れた表情に変わって可哀相だったと感想を述べた。
あら、見えなかったので気がつかなかったわ。感動のあまりお疲れのところに失礼しました。
アンコールの最後まで悪い妖精カラボスは悪のオーラを崩さなかったのがおもしろかった。
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長々と感想を記したけれど、この感動は文字で伝えられないと悟った。
Kバレエカンパニーの公演を観て欲しい。
また行きたい!と思わせるバレエを見せてくれるはずだから。
最後に当日の配役をご紹介しよう。

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自分の思う道を誠実に懸命に生きている人はかっこいいと思う。

日本のバレエを総合芸術として高め続けるこの気骨ある青年が私は大好きだ。