JAZZ&JAZZ 大森浩子のブログ

ジャズ・ヴォーカルな日常をつづります。

ブルース

2010-09-27 | ジャズのこと
昨日は「ブルースの女帝」ベッシー・スミスの命日だったそうです。
ブルースとは、12小節で一巡する簡単な形式で、
ジャンルを越えて自由に演奏することができます。
どのようにも歌うことができますので、日頃音楽をどう考えているか、
その人が出ると言っても過言ではありません。

ビリーホリディが影響を受けたというベッシー・スミスは、
43歳という若さでこの世を去っています。
自動車事故だったそうですが、果たしてそうでしょうか。

事故にあった路上で、息も絶え絶え、助けを求めたベッシーでしたが、
当時最高の人気を博していたブルースシンガーだったにもかかわらず、
ただ黒人というだけの理由で、救急車は来た道をそのまま引き返したという
逸話があります。

アメリカ社会の暗い影を生き、そして死んでいった人たちは、
今日のオバマ政権を想像することができたのでしょうか。
人種差別が公然と行なわれていたアメリカの地で、
フィールドハラーから生まれたブルースを、
日本人である私がどのように演奏するべきかもう一度考えさせられました。


ブルースをスキャットする武田真由美さん

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歌と自分の距離について

2010-09-09 | ジャズのこと
レッスンの中で、しばしば話題にでるのは、
「自分が経験したことのない歌詞の内容に、どう感情を込めればいいのか」
という事ですが、結論から言えば、
そのような詩に感情を込める必要はありません。

少女になったり、初老の男性になったり、娼婦になったり、
いくら人生経験の豊富な人でも、これらを全部経験した人はおりません。
つまり、実際に経験していない歌詞であっても、なんら問題はないのです。

歌詞に自分を合わせるのではなく、自分に歌詞を合わせていくと
どう共感し、どう理解して歌うかが、見えてきます。
つまり自分の理解の範囲でいいのです。

また逆に、その歌詞の内容が、自分の私生活とあまりにぴったりしている場合も、
これまた歌うのに難しいものです。
歌は、朗読の語り手のような客観性が必要ですので、
「感情を込めて歌う」と称して、自分の感情に埋没してしまえば、
聴き手はしらけるばかりです。

歌い手は、聴き手に楽曲を伝えるための媒体であって、
曲の中の主人公になってしまってはいけません。


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