――コトリ、と飲み干したグラスを枕元に置いた。
夜が明けるには、まだ早い。空の月から灯りを得る。
愛を語らない自分を、決して責めることのない女。
滅多に逢うことのできない自分に、我が侭を言うこともない。
隣に眠るあどけない寝顔の、その頬に触れる。
そして乱れた姿を思い出す…
「ごめん。いつも我慢ばっかりさせて」
愛おしさは溢れているのに、伝えきれない自分がもどかしかった…。
離れた方が、幸せになれるのは分かってる。
でも自分が離れられない。
だから擁き合う、素直に出せない言葉の代わりに。愛しているという想いを、この腕に篭めて。
【終わり】
2009年10月6日 居待月
著作:紫草
夜が明けるには、まだ早い。空の月から灯りを得る。
愛を語らない自分を、決して責めることのない女。
滅多に逢うことのできない自分に、我が侭を言うこともない。
隣に眠るあどけない寝顔の、その頬に触れる。
そして乱れた姿を思い出す…
「ごめん。いつも我慢ばっかりさせて」
愛おしさは溢れているのに、伝えきれない自分がもどかしかった…。
離れた方が、幸せになれるのは分かってる。
でも自分が離れられない。
だから擁き合う、素直に出せない言葉の代わりに。愛しているという想いを、この腕に篭めて。
【終わり】
2009年10月6日 居待月
著作:紫草