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『君戀しやと、呟けど。。。』

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『月見酒』

2009-10-06 18:08:45 | 作品b 【掌編】
 ――コトリ、と飲み干したグラスを枕元に置いた。
 夜が明けるには、まだ早い。空の月から灯りを得る。

 愛を語らない自分を、決して責めることのない女。
 滅多に逢うことのできない自分に、我が侭を言うこともない。

 隣に眠るあどけない寝顔の、その頬に触れる。
 そして乱れた姿を思い出す…
「ごめん。いつも我慢ばっかりさせて」
 愛おしさは溢れているのに、伝えきれない自分がもどかしかった…。
 離れた方が、幸せになれるのは分かってる。

 でも自分が離れられない。
 だから擁き合う、素直に出せない言葉の代わりに。愛しているという想いを、この腕に篭めて。
                              【終わり】
2009年10月6日 居待月

                               著作:紫草
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