東京・椋鳥通信

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映画「オオカミの護符」

2008-10-10 | Weblog
2008年度文化映画優秀賞に輝いた「オオカミの護符」を見た。
江戸時代、オオカミは森の王者であり、農家が作る農産物をイノシシと鹿の食害から護る守護神であった。講組織の代表〈代表をくじで決する〉が

反響呼ぶドキュメンタリー映画 謎の“オオカミ信仰”追う
2008年10月2日 朝刊

 オオカミが描かれた「お札」を台所や土蔵に張る-。そんな一風変わった関東地方の山岳信仰を題材とするドキュメンタリー映画「オオカミの護符」が四日から、ポレポレ東中野(東京都中野区)で公開される。二百五十年以上も続く“謎の風習”に焦点を当てた本作は、川崎や横浜での上映で反響が大きく、今回の都内での評判次第で全国展開の可能性も出ている。 (石原真樹)

 本作は「失われつつある習俗を、新鮮な驚きとともに温かみをもって描きだした」として、文化庁映画賞の文化記録映画部門で優秀賞を受賞した。

 物語の舞台は、東急田園都市線沿線の住宅地、川崎市宮前区土橋。お札は家庭の台所や土蔵、門などに張られている。

 お札は「武蔵国 大口真神 御嶽山」と書かれ、ギザギザのキバを持つオオカミが横を向いて鎮座する。地元では、このオオカミは「お狗(いぬ)さま」と呼ばれてきた。

 昭和四十年代初めまで水田やタケノコ畑、雑木林だった地域の人々がオオカミにどのような信仰を持っているのか。作品はそのルーツを丁寧にたどる。

    ◇

 作品の土台となったのは、土橋のタケノコ農家で生まれ育った小倉美恵子さん(45)が「自分の生き方の土台がここにあるのでは」と、五年がかりで祭事などを撮影したホームビデオ。

 映像ディレクターの由井英さん(39)が、このビデオに着目。自ら監督を務め、お札にかかわる人々を小倉さんが訪ね歩く構成で、撮影・編集した。

 制作は、由井さんと小倉さんが設立した「ささらプロダクション」。

 由井さんは制作の動機について「せっかくの記録をこのままにするのはもったいない。地元を探る目線を大切にしたかった」と語る。

 お札は、地域の相互扶助の仕組み「講」の一つである「土橋御嶽講(みたけこう)」の代表が毎春、青梅市の武蔵御嶽神社に受け取りに行く。文献などによると、少なくとも二百六十五年前から続いている風習という。

 同神社でオオカミ信仰が土橋だけでなく関東一円に広がっていることを知り、カメラは、その中でも信仰のあつい埼玉県の秩父地方へ入ってゆく。

 そこでは、オオカミに穀物をささげる神事「御焚上祭(おたきあげさい)」が毎月行われ、かつてはオオカミの産声が聞こえるとお産場所に赤飯を供えるなど、イノシシやシカから農作物を守る存在として農家らがオオカミをあがめてきたことが紹介される。

 ほかにもシカの肩甲骨を焼いて、ひびの入り方で農作物の作柄を占う「太占(ふとまに)」など、先人の自然を敬う心や智恵が出てくる。

    ◇

 印象的なのは、秩父の農家のおじいさんが「おやまさま!」と両手を合わせて拝むシーン。小倉さんは「あの真実味は、ずしんときた。伝統は『やれよ』と伝えるのでなく、その人の中に生きているもの」と振り返る。

 由井さんは「かつての人たちがどう生きてきたかを知るのは、私たちがこれから生きる上で、よりどころになるはず」と話す。今春から地元の川崎市宮前市民館や横浜の映画館で上映されてきたが、不思議な味わいも手伝って静かな反響を広げている。

 哲学者の内山節さんは「近年、社会に『原点に戻ろう』という機運があるが、みんなどこに戻ればいいのかわからない。少し前までの自分たちがどんな精神世界を持ちどんな生活をしていたのかを知らないからだ。この映画はそれを知る手掛かりになる」と意義を話す。





hpより
~「オオカミの護符」に導かれ、“お山”の世界へ~
 上映地である川崎市宮前区土橋で265年もの長きにわたって続く神事「御獄講」を通じてもたらされている「オオカミの護符」に導かれ、旅をする。土橋から出発し、御嶽山の伝統を今に伝える御師の暮らしを訪ね、さらにオオカミ信仰の盛んな秩父各地へと向かう。旅で出会うのはオオカミと深くかかわりを持って暮らしてきた山の人々。「オオカミの護符」は、同じ関東の“お山”を眺め、敬う気持ちで結ばれた里と山の暮らしの交流の姿を物語るものだった。


監  督 由井 英
製作配給 (株)ささらプロダクション

安らかな旅立ち

2008-10-05 | Weblog
銀座にて静かなブームとなっている大人映画「おくりびと」を見る。
リストラされたチェロ奏者が故郷の山形にUターン。亡くなった
母が遺した家で都会育ち妻と再出発する物語。舞台が庄内地方
酒田なので、随所に鳥海山、庄内平野の美しい風景が映し出される。
テーマが「生と死」、「親子の絆」、「夫婦愛」である。妻は納棺師という
仕事を軽蔑し、けがらわしいと主人公に仕事をやめるように懇願するが、
主人公は、妻に反対され悩みながらもNKエージェンシーで仕事を続ける。
会社名のNKとは、納棺の略。主人公は数々の通夜で、故人を清め死化粧
を施しながら人間として成長していく。その納棺師の作法は実に神聖で
美しい。映画を見終わって、妻が「お父さんがなくなったときどのように
納棺されたのかしら?」
18年前の出来事であるが、思い出せたのは病院でのこと、お寺でのこと
だけであった。結局、どのように納棺されたのか思い出せなかった。
〈映画 com HPより 酒田での試写会〉
本木は山形県庄内地方での撮影を振り返り、「古民家が残っていて、日本の美しさを感じられるところに来られてうれしかった」とコメント。また、高知県出身の広末も「自分は広い空と川のある土地で育ったので、どこかほっとするようなうれしい気持ちになった」と語り、庄内弁についても「音符を覚えるように覚えた。何となく一つの歌を覚えた感じで、『そうだらことねぇでば』と言えば気持が弾んでくる。身体から音として出てくるのが方言の魅力だなと思いました」と話した。滝田監督は「大自然であるとか、良き古さとか、消えてゆくものの温かさなどが納棺の世界にはぴったりだと思いました」と、庄内地方をロケ地に選んだ理由を述べた。

本木はさらに、「この映画を通じて、僕自身もたくさんの出会いと別れを経験し、今、普通に生きていられることの尊さを感じた。今はまだ未熟ですが、日々を大切に生きていけたらと思う」と締めくくり、「映画の中でも指の動きはがんばりましたが、ナマ音を出すのはここが初めて。お聴かせするようなクオリティではないのですが、感謝の気持ちを込め、気持ちだけで弾きます」と緊張しながらも、劇中のような渾身のチェロの生演奏を披露した。



日本最大級SCにて

2008-10-04 | Weblog
10月2日オープンの埼玉県・越谷レイクタウン(イオンモール)を見る。
投資額850億円、総面積21万㎡、東京ドーム11個分の規模である。昨年に新設されたJR武蔵野線越谷レイクタウン駅徒歩1分ではあるが、総延長1.5キロ、二つのSCがモールで連結されている。「KAZE」、「MORI」のSCでそれぞれにフードコート、レストラン街がある。大型テナントは「マルエツ」、「ジャスコ」、「ヴィブレ」だが、SC全体が巨大すぎてどこにあるのか探すのに一苦労する。外周を歩いて、ガードマンと話をする。
「駐車台数8,000台収容できるが、SC外周できる道路がないので、入り方を間違えば目的場所近くに駐車するのは難しい。駐車した場所がわからないお客様の対応で3時間かかった。」と、クルマでの来店者にとっては、当面の間、駐車に手間取りそうだ。
飲食店では、大阪B級グルメの船場自由軒(カレー)、大阪王将(餃子)、ゆかり(お好み焼き)がある。船場自由軒は新規出店に積極的だが、値段設定が一般受けするかは疑問だ。先日、TVの大食い競争番組でカレーパン(180円)が紹介されていたが、本当に売れるのであろうか。
このSCでは、諸々の外食業態が出店しているので、旬の人気店をリサーチするには最適
だ。「クリスピードーナツ」は、SCの入口にあり、相も変わらず行列が途切れない。

〈フジサンケイbi 抜粋〉
「565店、ショッピングや食事のほか、映画やアミューズメント施設、リラクゼーション施設など、消費者のあらゆる欲求に応える1つの街のような施設で、最近のモノからコトへの消費者ニーズにも対応。
 記者会見でイオンリテールの村井正平社長は「グループの総力を結集した一大プロジェクト」と意気込む。またイオンの岡田元也社長は「用地確保の問題はあるが、同規模の施設を他でも出店したい」と次なる大規模SCの可能性も示唆。
 一方、周辺の競争は激化する一方。「新三郷ららシティ」、「イケア」が11月に開業するのを皮切りに、「コストコ」、複合型大型SC「ららぽーと」と大型店の開店ラッシュが控え、業態を超えた競争が激化。
 岡田社長は「勝ち抜くには、常に消費者へ新しい提案が必要で、エコも重要なキーワードのひとつ」と新しいライフスタイルを提唱することで消費者へのアピールを高め、差別化を図りたい考えだ。
 しかし、イオンを取り巻く経営環境は、次なる大型SCを視野にいれるほど楽観はできないのが実情だ。規模を拡大することでコストを削減し、変化を吸収してきたが、すでに拡大路線からの転換を表明し、不採算店舗のリストラにも着手。
 衣料専門店や家電量販店の台頭で、グループの稼ぎ頭だった総合スーパー(GMS)の利益率低下に歯止めがかからない中で、米国発金融不安で消費者の節約志向にもさらに拍車がかかる、逆風の中での厳しい船出となった。」

マイカルは社運を賭けて出店した小樽で大失敗し、イオン支配下となった。イオンはこの逆風の中で、この大型投資で賭けにでた。さいの目は1年後に判る。

10月になって思うこと

2008-10-03 | Weblog
アメリカの金融不安(米議会下院での金融安定化法案否決)が全世界に波及し、東証株価は今年最安値となり、今後は反発と下げを繰り返しながら下方に収斂していくと予想される。
朝日新聞(10/1)によると、上場45社、5000人退職募集、とくに不動産市況が更に悪化していくので、金融・不動産・建設では、今後大規模なリストラがあるとのこと。とくに米金融危機の余波を受け、これまで市街地再開発を支えたファンド組成元の外資系金融機関がリストラ対象となるので、小泉劇場下での「都市再生」見直しは必至。
週刊ダイヤモンド(10/4)の倒産危険度ランキング特集では、回収迫る銀行に追い詰められる中小企業の実態が紹介されています。三越が、6店舗を閉鎖。SC内に鳴り物入りで出店した2店を1~2年以内で閉鎖するほどの思い切ったリストラです。違約金、除却損を予想すると1店舗当り数10億円の特別損失が発生するが、自社所有物件の池袋店を不動産投資法人への売却による特別利益180億円で穴埋めするとのこと。記者は、「小売業は利益だけを追求していればよいわけではない。地元の人の生活や雇用面などで、地域経済を担うという使命を負っている。店舗を閉鎖するのであれば、店舗それぞれに対して、なぜ、その店舗の閉鎖が必要なのかという説明責任を負う。」と締めくくっている。
一方、同雑誌で、大阪・天神橋商店街の元気な街づくりを紹介している。来街者数が30年前の5倍となり現在は1日当り4万人という。一時は空き店舗・空き地が全体の1/3を占めることもあったが、空き店舗をさまざまなイベントなどの再活用で、にぎわいを取り戻し観光名所として全国レベルに知られるようになった。『商店街の本』・『天神天満あっぱれBOOK』などを発刊、絶えず情報をメディアに発信。理事長は観光カリスマでもあり商店街のため奔走して、上方落語の定席『天満天神繁昌亭』誘致にこぎつけた。理事長の語る『何度も足を運んでもらえるようにと、意識して増やしているのが古本屋だ。』は印象的。
先日、和歌山でJA紀の里メンバーと会う機会があり、農産物直売所(年商25億円)の
繁昌話を伺った。地元農家のおばちゃんが午前6時納品する。早いもん勝ちシステムで、先に来た者が手塩かけた農産物をいい場所に並べることができる。物産所はまさに旬の地産地消の手頃感あるモノ・コトあふれる自由市場で、売るもの、買うものがワクワクする祭場であるのが繁昌の源ではないかと思う。

三軒茶屋のレトロな映画館にて

2008-10-02 | Weblog
今日は映画の日、三軒茶屋のレトロな映画館で見逃した映画を2本見た。映画館は国道から一本奥に入った路地の角に建っている。築60余年とのことだが、デザインは昭和モダニズムの流れをくむファサードは曲線となっている。かつては入口横の発券窓口で入場券を買い求めていたようだが、現在は館内の自動発券機で購入。入場券は普段は1300円の2番館落ちの2本立て。映画スケジュールは場内入口の黒板に手書きで白書されている。なにもかもがレトロでなんとなく落ち着く。スタッフはいたって若い。さて映画であるが
「人のセックスを笑うな」、「パークANDラブホテル」と2本ともエロチックな題名だが
揺れ動く女性のさがをテーマにしている。