ウォーク更家の散歩(東海道・中山道など五街道踏破、首都圏散策)

「谷根千」 散策 (1/3)  2017.2.24


(写真は、山手線内では唯一と言われる”駐在所”
 の「天王寺駐在所」。)

先週、最近話題の「谷根千」(やねせん)を散策
して来ました。
「谷根千」は、御存じの様に、「谷=谷中」、
「根=根津」、「千=千駄木」の3つの町名の
頭文字をとった最近話題の散策スポットです。

「谷根千」の散策を思い立ったのは、先週読んだ
小説「警官の血」の舞台が、この「谷根千」
だったからです。
「警官の血(上)(下)」(新潮文庫)は、直木賞
作家の佐々木譲のサスペンス小説です。
(上下各724円)
ハラハラ、ドキドキのストーリー展開で、非常に
面白かったので、一気に読み終わってしまい
ました。
警官の血〈上〉 (新潮文庫)
佐々木 譲
新潮社

主人公は、ここ谷中の「天王寺駐在所」の巡査
でしたが、駐在所の横にある五重塔が炎上した
事件をきっかけに、ミステリー・サスペンスの
ストーリーが展開していきます。

谷中霊園の中には、現在も、この小説の舞台
となった下の写真の駐在所があり、その横には、
実際に焼失した下の写真の「五重塔」の跡地も
残っています。




(谷中霊園の墓地散策については、2015/3の
谷中霊園散策」を見てね。)
物語は、ここ「天王寺駐在所」に勤務した警察官
一家の3代の家族史です。
そして、警察官一家3代のその時代背景も、敗戦
直後の混乱の時代、高度成長へ向かう復興の時代、
60年安保・過激派事件の時代と、丹念に
描かれています。

横浜から京浜東北線に乗って、JR日暮里駅で
降り、先ずは、小説「警官の血」の舞台巡りを
スタートします。

JR日暮里駅を出て、谷中霊園に入り、メイン
ストリートを歩いて行くと、霊園のちょうど
真ん中辺りに小説の舞台となった下の写真の
「駐在所」があります。



そして、その駐在所の真横には、昭和32年に
放火で焼失した「五重塔跡」があります。

「五重塔跡」の説明版には、放火で延焼中の五重塔
の写真が貼られています。

小説の中では「谷中駐在所」となっていますが、
実際の駐在所の名称は「天王寺駐在所」です。

山手線内では唯一残る「駐在所」だそうです。

ご存知かと思いますが、我々がよく目にする
「交番」は警察官が交代で勤務するのに対し、
「駐在所」は常駐の警察官とその家族が住む
宿舎を兼ねています。

従って、警察官の仕事を奥さんが手伝うことも
あります。

謂わば、24時間勤務の警察官と家族が住んで
いる”交番”です。

ちなみに、私は、子供の頃は熊本の田舎に住んで
いましたが、田舎では、ほとんどが「交番」
ではなくて「駐在所」でした。

物語は、この駐在所横の五重塔炎上事件を背景に、
警察官一家が3代にわたり、2つの殺人事件の
深い闇の真相を追っていきます。


谷中霊園を出て、日暮里駅・北改札口の前の
通りに戻ります。

この辺りは谷中7丁目で、上の写真の初音小路
などは、小説の通りに、昭和の香りが漂う一角
です。

日暮里駅の前の緩やかな御殿坂を少し上がった
右手に、下の写真の「経王寺」があります。

お寺の門には、戊辰戦争で、彰義隊が敗走する
際に、ヤケクソで、槍で穴をあけたという跡が
残っています。


(「谷中界隈散策」で、以前にご紹介したこの近く
 の「本行寺」の門にも彰義隊の槍の跡があり
 ました。


経王寺の先には、「夕やけだんだん」という
変わった名前の石段の坂道があり、石段を下りた
ところが「谷中銀座」の商店街の入り口です。

「夕やけだんだん」は、都内の夕焼けの名所で、
夕方のここから見下ろす風景が有名でしたが、
今は、高層マンションが眺望を遮り、富士山も
見えなくなりました・・・

谷中銀座商店街は、短い距離ですが、昔ながらの
鮮魚店、八百屋、惣菜店などに加え、雑貨や
スイーツなどの新しい店舗も開店している
人気の観光スポットです。

この辺りでは、よくグルメ番組などの録画撮りを
やっていますが、この日も、写真の様にテレビ局
が録画撮りをやっていました。


また、谷中は、野良猫が多いのでも有名ですが、
写真の様に、谷中銀座の店舗の屋根には猫の
置物や看板が多いです。

この谷中銀座商店街は、次頁の写真の通称
「へび道」に突き当たります。
「へび道」は、不忍池に注いでいた「藍染(あい
ぞめ)川」を暗渠化した道です。



道が、蛇の様にくねくねと曲がりくねっています。
時折、狭い「へび道」を、小回りが利く
「めぐりん」バスが走っています。

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コメント一覧

更家
東京はホントに広い
http://blog.goo.ne.jp/mrsaraie
そうですね、日暮里駅から谷中の「夕焼けだんだん」まで、徒歩5分くらいで近いです。

いや~、東京はホントに広大で奥が深いので、長年東京に住んでいても、全く知らない空白地区はたくさんありますよね。
hide-san
地理に疎くて
http://blog.goo.ne.jp/hidebach
この辺りの地理に疎くて、
日暮里から谷中の「夕焼けだんだん」が近いとは知りませんでした。

東京に50年以上も住んでいるのに城東地区は、
ほとんどお上りさん状態です。
更家
幸田露の天王寺五重塔と、佐々木譲の天王寺駐在所
http://blog.goo.ne.jp/mrsaraie
ええ、「警官の血」はサスペンスとして面白いうえに、谷中の町中の風景や時代背景が丁寧に丹念に描かれていて、お薦めです。

そうなんですよ、ここには、小説のモデルが並んでいます。
この五重塔は、有名な幸田露伴の「五重塔」のモデルの”天王寺”の五重塔で、
その真横が、佐々木譲の「警官の血」のモデルの”天王寺”駐在所なんです。
iina
幸田 露伴の「五重塔 」
http://blog.goo.ne.jp/iinna/e/01728fc1f9da650d79cfe358185525c9
「谷根千」 を (やねせん) と読むのでしたか ・・・ 。そのように読むと、谷中を連想します。なるほど本記事後半に登場しました。

もっとも、タイトル文字の印象は 「大根干」 でした。^_^;

小説「警官の血」を (更家)さんがおすすめなら、読んで見たくなりました。
「五重塔 」といえば、幸田 露伴の小説を連想しますが、リンク先をたどったところその五重塔でしたね。
向島界隈を散策した折に此処を通りました。幸田露伴のことを触れた説明書きを覚えています。

 (更家)さんは、小説に触発されて旅をする傾向があるようです。^^

笑撃「凍った河原の岩」は、幻想的な美しさでした。

更家
昔懐かしい感じの一帯
http://blog.goo.ne.jp/mrsaraie
このブログの谷中は、上野の寛永寺の背後に広がる寺町で、この辺りには数十もの寺があり、その寺の隙間に民家が建っている印象です。

この辺りには、お寺の本堂よりも高いビルは建てないという不文律があるらしく、ある種の宗教的な雰囲気もあります。

お寺があって、坂道があって、戦災で焼けなかった民家があって、下町情緒が昔懐かしい一帯です。
Komoyo Mikomoti
こんばんは。
http://blogs.yahoo.co.jp/ya3249
この小説も知らないし、東京の地理感覚もないんですが、
お寺があって、坂道があって、
昔懐かしい感じのする商店街ですね。
更家
交番と駐在所
http://blog.goo.ne.jp/mrsaraie
若い人は、駐在所が何か、知らないかもしれませんね。
船橋にもまだ駐在所がありましたか。

そうでしたか、原人さんは猫嫌いでしたか。

東京の下町も、意外と古い家があって、こまめに見て行くと面白いです。
船橋原人
「谷根千」
交番と駐在所の違いよく分かりました。
船橋にはまだ「駐在所」はまだあると思いますが・・・

屋根に猫の飾り物・・・猫嫌いの者にとっては歓迎できません。
戊辰戦争の槍の跡、見たことがあります。
古い街は色んなエピソードがあって面白いですね。
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