プチ早期退職者の資産運用+αブログ

NTTドコモがTOB対象になってしまった

 9月29日に一大ニュースとなったが、私が保有する主力銘柄の一つのNTTドコモがNTTによってTOBされることになってしまった。
 適宜、追記しており、強制買取の確定申告についても追記している。

NTTドコモのTOB

 9月29日以降、TOBの内容は色々報道されたし、IR資料も出されている。IRの資料は分かりにくいが、以下の記事の条件のまとめが分かりやすい。別途ニュースになっていたが、ドコモの社長も交代させる予定で、完全支配の体制が敷かれる。



NTTドコモ株の保有状況

 まずはNTTドコモ株の上場来の月足チャートを貼っておこう。ITバブル時(2000年)の異様な高値がよく分かる。


 出所:株探(https://kabutan.jp/stock/chart?code=9437)


 最初に買ったのは2004年5月だった。ITバルブの異様な高値から大きく下げてきた1,940円(100分割考慮後、以下同様)で買い始めた。十分安くなったし、モバイルの時代はますます発展していくのは間違いないと考えていた。その後も長期でじり安傾向が続いたが、2013年5月まで9年に渡り得意の難平買いを続けてピーク時は1,200株を保有(一般口座)していた。

 株価が底を打ったのは2012年11月だった。2015年1月には2,000円を回復したので、記念に100株だけ売った。その後、配当も良くなっていたし、積極的に利食いはしなかったが、他の銘柄の購入資金を確保するために少しずつ売った2018年11月に当時の菅官房長官の携帯料金値下げ発言で大きく下げた時は、特定口座で少し買い戻し

 以上の結果として、10月3日時点の保有状況は、少々生々しいが下記の通りだ。




売却益と税金と国保保険料

 菅首相発言で値下がりしていたドコモの株価に40%ほどのプレミアムが付いたので、かなりの利益は見込める。しかし、売却してしまうと配当がもらえなくなり、払う必要のなかった税金を利益から20%ちょっと取られ、一般口座分の利益から国保保険料も10%以上も取られてしまうことになって素直に喜べない

 コロナショックでの株価の低迷を利用して一般口座での保有株の圧縮と節税売は完了していて、もう減らす手段がない。唯一考えられる可能性は、一般口座分はTOBに応じたり、市場での売却をせず、やがて臨時株主総会で決議されるであろう強制買取を待つ方法だ。買取が来年になれば、売却益先送りが可能になる。様子を見ながら今年の売却分と来年の買取分を振り分けることもできる。今のところこの作戦で行こうかと考えている。


TOBに関して思うところ

 親子上場廃止の流れもあったから可能性はゼロではなかったが、デカ過ぎるので無理かなと思っていた。元々、競争促進のために国策で分割されたから、政府が許してくれないと元には戻れない。今回、発表できたということは、基本的には政府、与党幹部への根回しは済んでいたということだろう。それを踏まえて、菅首相の携帯料金値下げの話があったのかもしれない。

 ただ、菅首相が言って、それを受けた総務大臣が威勢のいいことを言っても、一部国民向けのアピールに過ぎず、以下の記事のように既に色々やってきているので制度面としては難しそうだ


 NTTの大株主は政府で、政府の意向に逆らえないので、さらなる自主的な値下げはあるだろう。ドコモ株に払ったプレミアム、借入金増による財務悪化と合わせてNTTの株主には不利益だ。NTTの株価は少し下げているが、今後も下押し圧力が働くかもしれない。私はNTT株も割と保有しているので、ドコモの含み益の顕在化と合わせて、二重に不利益を被ったとも言える。


 私は個人でスマホを持つようになってからは格安SIM(MVMO)しか使ってないし、家族も移行済みだ。高い携帯を使い続けている人はそれでいいと思っているのだろうし、高すぎるという事実も怪しい。そう思っていたら、以下の記事が出た。



 ドコモはぬるい経営をして社員も好待遇を得てきたと思うが、それは競合他社育成のため、政府によってソフトバンク等以上に安くしないような指導を(暗に)されてきたからだと思う。忖度というべきかもしれないが。その結果、ソフトバンクは携帯事業で利益を上げ、怪しげな投資事業に利益を回したりできたのだった。


 今回の完全子会社化は菅首相の値下げ圧力のためという趣旨の記事も当初一部あったが違うだろうと思った。TOB価格の妥当性の評価依頼、融資の調整、各種資料の準備等々に要する期間を考えるとずっと前から準備していたはずだし、政府の事前承認なしにはあり得ないと思った。そう思っていたら、以下の記事が出た。ドコモ完全子会社の方針を固めたのは4月だった。コムとも統合を考えてるらしい。元に戻るというか、競合他社と同一のサービス範囲に戻っていくということだ。



 NTTは、別途、NTT東日本と西日本の統合も進めればいい。無理やり分割したので、色々重複していて無駄が多いだろうから。下手に米国を見習った競争促進/分割の動きはNTTの力を弱める結果も招き、国際的には日本が不利になってきたと思う。研究開発力も分散されて弱まった。日本の電機産業の競争力が落ちたことにも影響しているだろう。下記のような記事もある。



 今回の動きを前向きに捉え、今後のNTTに期待したい。ドコモ株に振り向けていた資金は、NTT株の下げ具合を見ながら、一部NTT株の買い増しに回したいと考えている。


【2020.10.21追記】

 上で強制買取を待つ方法で行こうと考えていると書いたが、日経の記事によれば、TOBで集まった株数(90%以上か否か)によって時期等が異なるようだ。

 90%以上の取得となった場合は直ちに株式売渡請求が行われ、整理銘柄になって1か月後には上場廃止、その後残存株主から株式を取得で2020年末頃になる。

 90%未満の取得にとどまった場合、2021年1月頃に臨時株主総会で株式併合を決議し、整理銘柄になって1か月後には上場廃止、その後金銭の交付で2021年2月頃となる。

 詳しくは以下の記事参照のこと。


【2020.11.17追記】

 本日、TOBが成立したとの正式発表があった。

株式会社NTTドコモ株式等(証券コード 9437)に対する公開買付けの結果に関するお知らせ

 TOBに応募されなかった分は買い取り請求になり、上場廃止となる見込みだが、今後の手続きについては、決定次第、対象者に公表される予定となっている。これに関する日経の記事は以下にある。


 記事にもあるが若干説明不足なので補足しておくと、制買取の際には上場株式ではなくなっていて、一般株式という扱いになる。税金に関しては、株式の譲渡所得として申告分離になる点は同じだが、上場株式と一般株式は、それぞれ別々の申告分離課税として扱われるので、上場株式との損益通算はできなくなる。詳しくは、以下の国税庁のページを参照のこと。

No.1463 株式等を譲渡したときの課税(申告分離課税)


【2020.12.28追記】

  12月25日に上場廃止となり、証券会社の口座残高からも消えた。分かっていたことだけど、ちょっと気持ち悪い。メイン口座は、基本的に資金を出し入れせず、四半期ごとに口座残高を記録して自分の運用成績の推移を確認しているので、12月末は強制買取分を足さないと辻褄が合わなくなる。 

 NTTからドコモ株の強制買取に対するIRはまだないが、ドコモの方では、『上場廃止後の当社株式の取扱い』についての説明のIRがある。それによると、2020年12月29日を取得日として、普通株式1株につき3,900円で強制買取を行って、2021年3月上旬以降に支払われる。詳しくは以下のIRを参照のこと。


 強制買取なので、株主側で買い取りに応じる手続きは不要のようだ。税金や確定申告については、税務署に直接問い合わせろというQ&Aがある。

 なお、国税庁のサイトには、株式等に係る譲渡所得等の総収入金額の収入すべき時期、および趣旨説明という情報はあるが、少し読んだぐらいではどれを適用すべきかよく分からない。


 現状、譲渡の金銭はもちろん、正式に通知すら受け取っていない。ドコモのQ&Aに「2021年1月以降に上場廃止後の当社株式の取扱いの概要について記したハガキが来る予定をお送りする予定です」との記載があるだけだ。


【2021.1.29追記】

 先週末、強制買取に係る通知『上場廃止後の当社株式の取扱いについて』のはがきが届いた。情報的には、上で書いたドコモの『上場廃止後の当社株式の取扱い』についての説明のIRと同じで、金銭の受け渡しは3月上旬以降になり、改めて支払いに関するお知らせ(郵便局での金銭の受け取りの用紙等)が届く予定だ。

 それで、今回の譲渡に係る所得については、結論から言うと、取得日が12月29日となっているため、2020年(令和2年分)となるらしい。私自身は直接問い合わせていないが、税務署に問い合わせた人、国税庁電話相談センターに問い合わせた人、通知はがきの問い合わせ先に問い合わせた人の情報によれば、いずれも令和2年分として申告する必要があるとの回答を得たということだ。

 特定口座だと約定日ではなく受渡日を基準にするのが基本だし、妥当な対価を払うまでは譲渡は完了しないと考えるべきなので、令和3年の譲渡所得とみなすべきだとも思う。しかし、税務署の見解に逆らっても面倒だ。おとなしく令和2年分として申告(一般株式の譲渡になることに注意)することにした。


【2021.3.4追記】

 先ほど、書留で強制買取に伴う株式売渡対価のお支払いのご案内やゆうちょ銀行で受け取る交付金銭領収証が届いた。市場で売却しなかった300株(既に恩株)分で計117万円なので、2枚に分かれていた。



 金銭の受け取りまで、なかなか長かった。交付金に対する譲渡所得は2020年分となることは1月29日の追記の通りで、私は既に確定申告済みだ。

 税金の扱いについては相変わらずご案内に書かれていないが、「株式売渡対価に関しましては、個人番号を記載した支払調書を税務署に提出させていただきます」と書かれている。2020年分として申告していない人には、税務署からお問い合わせが来るのかな?



名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最近の「株式投資」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事