特定非営利活動法人精神医療サポートセンター

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精神医学における診断学の見直しは急務 ~統合失調症から統合失調症候群へ~

2011年02月27日 | 看護論的経営論


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最近TVをみていると統合失調症を身近なものにしようとする変な美学を感じさせるものが多すぎる。


もうそろそろ、100人に1人(0.85%)という生涯罹患率の概念は捨て去るべきだろう。

結論を先に言うと、統合失調症の生涯罹患率は、100人に1人ではなく、1000人に1人、あるいは生涯罹患率はゼロだ。





生涯罹患率0.85%を証明するには、まず統合失調症と他疾患の幻覚妄想とをどのように分別するのか述べてもらいたいものだ。


・うつ病の幻聴や妄想との違い
・解離性障害とのそれ
・発達障害の二次障害との鑑別
・産褥期精神病やPMS
・甲状腺機能低下症(橋本病も含む)
・非定型精神病
等々・・・




言い出せばきりがないが、これまで統合失調症と誤診されてきたものの多くはこれらを見落としてきたものであると考えている。



さらに、これらが原因とされる幻覚や妄想は、訂正可能かあるいは了解可能であることがほとんどである。


であるから、「私は統合失調症です」などという患者の場合、他の何を見て上述の疾患と見分けているのか甚だ疑問である。



仮に、非定型精神病や発達障害の二次障害などで幻覚・妄想の訂正不可能、了解不可能なものであっても薬物療法がほとんど奏功しなかったり、むしろ薬剤過敏性がみられたりするものが多いから、統合失調症の診断からは大きく外れる。

もちろん、その部分だけで判断するのではなく発病に至るまでのエピソードを慎重に聞く必要があることは大前提である。



そのようにして、しっかりと診断(医師でなければ判断という表現になるのだろうか)していくと


「統合失調症は本当に存在するのか?」

という疑問にたどり着く。



そして、その疑問は、
「幻覚・妄想を有する患者は、すべて統合失調症と誤診されてきたのではないか」


という発想に帰結する。





さらに、冒頭に述べた諸々の疾患はスペクトラム(連続体)であることを考えると、当然それらの疾患は単一で存在するのではなく、併存する可能性が高いことが示唆される。


つまり、これまで統合失調症と誤診されてきたものの多くは、単に幻覚・妄想があるからと安易に診断されてきたものに加えて、うつ状態や攻撃性・興奮性なども統合失調症の症状とイメージ(診断基準にはないが)されてきたことを考えると色々な疾患が組み合わさって統合失調症と診断されてきたものも多く存在すると考える。


そうなると、
これまで言われてきた精神分裂病(いまは統合失調症)は、統合失調症候群である可能性が高いと推測できる。







人を見ず、症状のみをターゲットにして治療しようとするものは、発達障害やその他を見抜けず向精神薬万能論に走る。


結果、過鎮静で入院生活。治療する前は独語や妄想があっても日常生活は遅れていたのに、今は寝たきり、無感情・・・。幻覚妄想はないのではなく、過鎮静で表現できないだけ。


こういうものが治療といえるのかどうか。



人を見る治療とは何なのか。



調和は日本人の長所とされているが、人ひとりの人生をなおざりにした調和など必要あるのだろうか。






いまいちど、正面から議論すべきではないだろうか。


























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8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (マロン)
2011-02-28 02:54:39
一体全体 統合失調症とういう病気は
どういう病気なのか・・本当に 解らない事
だらけ・・・。
医療は いとも簡単にその診断を下しますが
関連した内容を見ると ??が 多々
あります。
実際には わからない事だらけかなと・・
ただ 精神科医療事情が 妄想なり 幻聴が
垣間見られたら 統失・・と。
こんな事を いつまで 続けていいのでしょうか..せめて 専門家して 関わるのでしたら
努力されて頂きたいです。
私の娘は 入退院を繰り返しました。
その中で 無断外泊もあり そこで 看護師が
気にされた事は「薬」..一回 二回抜ける事への不安・・ありましたね~
家族としては そんなに 恐れなり 不安の
病なのか 感じました。
そろそろ 精神科医療事情・・人を見る事情に
変えて頂く事は 如何でしょうか・
返信する
Unknown (さいたまの看護師)
2011-02-28 03:49:30
たしかにその通りですね。
返信する
Unknown (マロン)
2011-02-28 12:26:16
先の私の投稿にて

>そろそろ 精神科医療事情・・人を見る事情に 変えて頂く事は 如何でしょうか・

人を見る・・ではなく よーく患者に
向きって頂きたいに 訂正させて下さい。
返信する
教えて (FBIモルダー捜査官)
2011-03-06 23:13:41

確かに診断の見直しは必要であると感じます。しかし、DSM-改定版が出続け、精神科の病名は増え続けるばかりですよね?また、せん妄の評価尺度などもでていますが、精神疾患をもった方のせん妄はどのように見分け、尺度で測れるものなのでしょうか?そして、薬に頼らない治療はどのように確立されていけばよいのでしょうか?今すごく疑問に感じています。疑問を解決できる方法を伝授してください・・・
返信する
Unknown (もっさん)
2011-03-28 21:17:35
>マロンさん

医師の人を見ず症状のみをみるという背景には、深い分析が必要なようです。

先はないがですが、地道にいくしかないのでしょうね。

私は負けませんよ。
返信する
Unknown (もっさん)
2011-03-28 21:22:16
>モルダー捜査官さん


薬に頼らない治療。

これは、どちらかというと薬がどの程度必要か適切な判断が必要という視点を大前提に考えなくてはいけないと思います。

それと、各専門家が縦割りで学問を深めていくという現状。これは診断学においては今や弊害以外の何物でもありません。そこに気づかなくてはうつ病など、疾病概念が不必要に増える一方です。
返信する
Unknown (狐っ子)
2011-05-26 03:18:50
だから…精神科の診断学は
身体を扱う領域の診断からみると
症候群なんですって^^

診断のシステムがそうなってるじゃありませんか
返信する
Unknown (もっさん)
2011-05-27 06:07:02
>狐っ子さん

ここで言っているのは“身体を扱う領域からみると”という論点ではありませんね。
返信する

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