特定非営利活動法人精神医療サポートセンター

発達障害、統合失調症、アルコール依存症、ベンゾジアゼピン系薬剤の依存等々、精神科医療についての困りごとに対応いたします。

“待つ”という看護

2008年04月20日 | 看護論的経営論
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看護には、いろいろな看護があることは言うまでもないがその中でも忘れがちなのが



※「待つ」という看護。



抗精神病薬の変更で一旦調子が悪くなる場合があるが、抗精神病薬が体になじむまではある程度の時間がかかる。

そこで、少し患者の調子が悪くなると単純に薬の増量を申し出る看護師。それを真に受けて増量する医師・・・。

医師も適確な薬剤変更の目的があれば、看護サイドとコミュニケーションを図り治療の意図を伝え、ある程度の我慢をしてもらえばよいのだが、医師側が治療の意図を明確に伝えないがために看護サイドでは「無謀な処方である」と批判する。
批判が怖い医師はとかく患者を鎮静(過鎮静)させ事態の鎮静を図る。

このような目に見えない暗黙のやり取り、いや、むしろ双方がこのようなことを意識していないにもかかわらず、そういう事態が日々繰り返されている精神科医療の実情は医師・看護師間の根本的な問題であるともいえる。

双方が医療従事者としての意識を持ち、治療に対して堂々とディスカッションできるようにならなければ、抗精神病薬のような複雑なものを、患者に“より的確に”処方されることはほぼありえない。

このような中、医師が治療方針と処方内容に対して“意図”を伝えることができれば、少々の変化があっても我々は薬剤の効果が発言するまで、1日でも多く

※待つ

という心構えができる。

が、医師側に責任転嫁するばかりはいけない。看護サイドもその意図を聞き出し、“医師の意図せぬ精神状態の異常”なのか、また、トランキライザー等のスイッチングなどによる“医師の意図した精神状態の変化”なのかを見分けられるようにならなければならない。


薬剤の適切な発現が見られるまでの

※待つという看護

も、医師・看護師間のコミュニケーションが図れて初めてそのスタート地点に立てるのだということをまず認識してほしい。

待つという看護は、簡単ではない。
ある程度の目安はあっても明確なものがないのだから、昼夜問わず柔軟に判断し対応しなければならないし、頓服薬や医師への報告、環境調整においてまでも・・・である。
場合によっては患者自身に被害が及ぶこともある。つまり、待つという看護も看護師の総合的な能力が求められるものなのである。


今一度、日常の看護の中で

※待つ看護

というものを意識し、実感してみてほしい。
これも看護師に求められる看護技術の一つであるという感触が得られれば、“看護技術とはなんなのか”という解釈について、曇っている視界も少しは開けるかもしれない。







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23 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
質問です。 (マロン)
2008-04-20 20:48:41
看護士の方々は 医師が 患者に出された診断名・・
例えば 統合失調症なら その診断名を通して
患者と 関わるのでしょうか?
精神科の看護士であれば ある程度は 精神疾患の
知識が あろうかと・・でも 医師以上に 患者と
接する時間が 多い看護士の方々・・妄想にも 色々あります。そんな時 その妄想のタイプとかで
統合失調症とは 少し 違うとか 何か そのような
事が 感じられても それ以上 お考えになる事は
なさらないのでしょうか・・
ましてや 医師に そのような事を お伝えする事は
不可能なのでしょうか・・
私は わずかな診察時間で 患者から 把握できる事は 限られていると・・でも 少し 掘り下げいくと
患者が 何とか そんな考え方を 少しでも
変えてみたいと 意見されたり・・統合失調症と診断されている患者さんでも お話していると その
ような意見を きちんと 述べられたり・・
ひょっとして 訂正可なのでは・・時間をかけて
それなりのサポートがつけば 違った展開になるのではと 思ったりもします。
返信する
お願いです。 (マロン)
2008-04-20 20:57:50
患者さんが 少し 調子悪くなる事で すぐに
薬の増量をすることだけは 止めてください。
そんな看護なら この精神医療を少しばかり
勉強した私達家族でも 出来ます。
どうか 人手不足で 大変な事も 承知ですが
5分間でいいです・・立ち止まって 暖かな眼差しで
「大丈夫ですよ」と しっかり お声をかけて
頂けたら・・半数以上の方は それで 安心される
のでは・・看護の大切な一つかと・・
返信する
Unknown (もっさん)
2008-04-20 21:02:03
>マロンさん

やはり、基本はその診断を基準にまずは対応しますよね。当然ですが、無数にある診断の中からある程度の心構え(変な意味ではなく)が必要ですし、それは精神科でなくとも同じだと思います。

しかし、患者さんと関わっているうちに何か違うとなってきたらやはり私は

例「この人、統合失調症じゃないですよねぇ」

なんて言ったりしたことはありますが、

「そうですよねぇ。絶対違うと思う」

とは言ってくれるんですが、病名が変わったことはありません。ですが、私の現場では見たことはありませんが、幻聴だからと言って統合失調症だと診断されている方々で、そうではないかとしれないという方は数名いらっしゃいます。その辺を正確に見極められるDr.に出会えなければ、薬漬け。まさに、その副作用人生がくるってしまうようなことになりかねない。いいえ、そうなってきた人も多いはずです。
そういうものも含めて、何とかしていきたいと思っています。頼りないかも知れませんが、頑張って活動いたしますのでこれからも応援してくださいね^^

また、マロンさんの体験されてきていることも無駄にならないように、少しでも早く医療改革を起こすよう努力いたします。
返信する
Unknown (もっさん)
2008-04-20 21:06:36
>マロンさん
そうです。そのように状態が悪い=薬の増量 であってはならないと思います。ですが、恥ずかしながら抗精神病薬をある程度理解している、または理解しようとしている看護師は非常に少ない。
まずは、その辺から変えていかねばならないのかもしれません。

ご存じのように看護は一人でするものではありません。明らかに違っていても正論の身を述べても通らなかったりすることはざらです。ですから、周りのコンセンサスも得なければならないですし、かといってゆっくりしている場合でもありませんし、できるだけ早くそして周りのコンセンサスを得ながら。これがいかにうまくできるかがNPOであり、現場の私の仕事なのかもしれません。今日も、看護師の先輩から夜勤明け、私に依頼がありました。

「この入院患者、話聞いたらちゃんとできるから筋肉注射を何とか阻止してくれと」

こういうスタッフの意識を私は活かしていきたいと思っております。
返信する
長い道のり (コリン)
2008-04-20 21:11:36
17年前に今の神経症を患ってから、抗精神薬を飲み
はじめました。
最初は、その効き目が著しく(副作用もかなりあった
と感じます)フラフラになりながら、その都度先生や
看護師の方々へ症状を訴えながらの手探りからの処方
がよみがえります。
毎日が様々な薬の作用による震え、動作のぎこちなさ
記憶の障害など地獄の日々だったように思えます。
何とか身体に馴染んだのは6ヶ月くらい過ぎた時。。
この長い期間自分の体内でどのようなことが起こって
いるのか本当に心配でした。
でもその時期を乗り越え、いまこうして普段の生活を
していけることの有り難さ・・その反面、今後思いも
よらない副作用への恐怖も抱きつつ治療に励んでいま
す。

ところで越智さん、せっかく腎盂形成の手術が成功し
安心していたのですが、今度はそのストレスが重なっ
て別の症状が出てきました。
直に治まるだろうと考えたのですが、早めに主治医に
相談して、その結果あさって火曜日からしばらく入院
して様子をみることになりました。

この先一生付き合っていかなくてはならないものと
自覚はしております。

長い道のりです。

ぷち^^v
返信する
Unknown (もっさん)
2008-04-20 21:26:57
>コリンさん
退院おめでとうございます!!!^^

いろいろな症状があるでしょうが、一緒に乗り越えていきましょう。言葉だけでのきれいごとではなく・・・です。


できましたら、直接メールで、お話を聞かせていただけますか?
返信する
今宵は 何度も ごめんなさい。 (マロン)
2008-04-21 00:41:21
お疲れの所 度々のレス 有難うございます。
もっさんの様な看護士が 精神科にいらっしゃる事
とても 嬉しいです。
話が出来る患者さん 筋肉注射 阻止できたんですね。良かったです。
精神科の治療は 殆どが 薬です。
せめて そこで お仕事されているのでしたら
薬の特徴を知ることは 必須かと・・
ある医師・・精神科に勤務の内科医が 
精神疾患を患った患者さん たとえ どんなに
興奮していても 余程ひどい状態は 20分程・・
しかし 多くの精神科医は それを恐れて 一気に
注射なり 抗精神薬のMAX投与・・そこから
ミスマッチが 生じる・・これが 精神科の実態と。
とにかく 鎮静化・・当然 多量の抗パ剤をプラスして。
病気も 患者さんの人間性も 何もかも 鎮静化・・
今さら 過去を振り返っても 仕方ありませんが
我が子供は 初期治療で そのような目に合いました。入院した事で きっと 良くなると信じていたことが 何かが おかしいと 気付き 地元での
セカンドを求めて 奔走・・でも どの医師からも
「主治医に 従って下さい」の返答・・やっと
辿り着いた所が あるネットのセカンド・・
今だに そこの医師から 多々 力を頂いてます。
精神病=変・・ではなく 各々の患者の中に どこか
残された力が あるはずです。出来れば 見出して
頂けたら・・引き出して頂けたら・・自然に 
多剤多量投与では ない事だけは お感じに
なるのでは・・
がっつりと 押さえるリスパダール・・0.25なり
0.5 1mg・・この差で 患者は 辛い思いを
しているはずです。
どうか しっかりと 薬剤の勉強・・して頂きたいです。
返信する
越智さんへ (おばみ)
2008-04-21 23:00:09
越智さん、お返事ありがとうございます。
そうですね、看護学は人と関わることを前提としているのですから、最も机上の空論になってはいけない学問の一つですよね。
私の属する大学の大学院の看護学科は、研究者養成コースとは別に「看護師コース」というものが設けられています。
そこは修士課程終了後に実務経験を数年経た後、博士課程に移行するというもので、私はこの教育課程に「机上の空論にならない実践に基づいた学問研究ができる」と、大きな期待を抱いています。

それと、泉州精神看護研究会さんに興味を持ったのですが御会について質問してもよろしいでしょうか?

会員は地域を特定するものではないと書かれておりましたが、御会のホームページにあった活動記録を拝見すると、やっぱり活動は大阪が多いですよね?
それに活動に参加されていらっしゃるのは役員(しかも看護師さんがほとんどの)の方だけにおさまっていますよね?
こうなると、大阪から離れていて、しかも精神看護の知識もろくにない素人の当事者が果たして入会した所で何ができるのだろう?と思ってしまいます。
他の会員さんはどんな活動をしていらっしゃるのか教えていただけないでしょうか?
よろしくお願いいたします。

最後に、私なんかに期待して下さってありがとうございます。
がんばります!
返信する
Unknown (もっさん)
2008-04-21 23:07:12
>マロンさん
ちなみに筋肉注射は打たれていました。

残念と言えば残念ですが、保護室にさえ入れるべきだとの意見の中、私の夜勤でなんとか朝まで調整し、薬剤による調節もちろんですが、患者さん本来の治癒力が精神のバランスを取ってくれたのでしょう。朝方にはかなり良くなっていました。
まだ、いまでもその患者さんは完全ではありませんが、保護室に行くことはなくなりましたし、内服のみで落ち着いていくと予想されます。
私を含め、スタッフがまだその患者さんの個別性を探っている最中ですが、焦ることはないと思います。
看護師が焦れば患者も焦りますしね。ゆっくりと看護したいものです^^
返信する
Unknown (もっさん)
2008-04-21 23:20:53
>おばみさん
当然おばみさんのようにNPOの活動にいろいろ疑問を抱かれて当然だと思います。
では、一つずつ説明させていただきますね。

1、地域を限定するものではないが、活動報告を見るとやはり地元が多く会員に何ができるのか

この質問ですが、我々のNPOは立ち上げてまだ1年足らずで活動資金もありません。少しでも多くの方に会員になってもらい、精神医療について眼を向けてほしい、考えてほしい、知ってほしい。そういう気持ちから、会員費用も他の団体とは比にならないほど値段にしております。
現状、何とかHPを立ち上げいろいろなところを訪問し、あいさつして回っている状態。本当はHPの更新も費用のかかるものでしょう。これも何とか皆さんの協力の下活動費を使わず制作するなど、資金面にも配慮しております。このような状態でも、私の信念を理解し一緒に学びたい、協力したいという方々が会員になってくださっています。
まだ、詳しくは発表できませんが、うまくいけばこの秋より東京方面での活動も予定しておりますし、他府県での活動も視野に入れようやく動き出したところです。メーリングリストも稼働しだし、これからの活動が楽しみです。これを機会に私のビジョンに基づいて少しずつでも活動が活発化していけばと考えています。
どうしても、各々の役員も本職があり、すべてに時間をつぎ込めないのが現状ですが、毎日のように情報を交換して、一生懸命頑張っておりますので、ご理解ください。かならず実るものにし形にしたいと思います。
おっしゃるように、明日(4月22日)の活動も地元でのものとなりますが、どうしても最初は私が動き出すことが基本でしょうし、そうなると必然的に地元からの活動が最優先されてしまいます。その辺は理解してくだされば幸いです。もちろん状況により、地方へは向かっておりますこともこの機会に知っていただけましたら幸いです。

PS:また、いろいろなご質問などがあれば直接メールをくださっても結構ですよ^^
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