moonpool

魂のため息

線香花火

2008年07月29日 | 詩・夏
雨上がりの夜・・・
辺りにはかえるの声・・・
   バケツは要らないさ、水溜りがあるから

花火をしようか・・・
去年の残り物だけどさ・・・
   マッチの匂いと煙が空を上ってゆく

静かなひととき・・・
微笑むささやき声に・・・
   花火の明かりが君の瞳を輝かせた

こんなに近くに・・・
大好きな君がいるなんて・・・
   花火は自然と距離を縮めてくれたね

水溜りに映る・・・
小さな線香花火は・・・
   空に浮かんだ打ち上げ花火のようだった

線香花火が・・・
小さな滴になってゆく・・・
   水溜りに映って、ふたつが呼び合っているね

小さな太陽は・・・
やがて落ちてゆくんだね・・・
   「ジュッ」と音を立てて、暮れてゆくよ

波紋が広がる・・・
水溜りの水面には・・・
   夜空の星が花火のようにきらきらしていた

線香花火は   

夜空の星の   ひとつに   

なったのでしょうか



「それじゃあ、またね」

生乾き

2008年07月11日 | 詩・夏
まるで汗ばんでいるような感覚

急いで着たのには訳がある

部屋にはふたりっきり

空がだいぶ明るくなってきた
もうじき雨もやむだろう

たぶん傘を借りるだけでよかったはずなのに

まるで汗ばんでいるような感覚

沈黙のまま

乾くのを待っている

透けているシャツに
心まで透けてしまわないように

窓の外を見つめている

浅はかな朝

2008年07月08日 | 七夕諷詠
置き去りにされた笹は
もう萎れてしまって
虚しく揺れる短冊

白々しく朝が来る
星がひとつ
またひとつ

消えてゆく

残ったものは
ゴミなのだろうか

それとも
浅はかな希望なのだろうか

あるいは
眠れなかった夜なのだろうか

人影の無い一瞬の世界

白々しく朝がきた
影がひとつ
またひとつ

人々が歩き出す

     歩き出す

夕暮れは嘘

2008年07月07日 | 七夕諷詠
長雨は今日も続いて
星空の七夕は無理かもしれない
そう思っていた

夕暮れは以外にも
空が明るく
雲は隙間をつくってくれた

出来過ぎだ
虹がかかっている
誰も信じてくれないだろう

虹が渡れるということを
虹を渡ったということを
その先に空があるということを

虹はおそらく七色で
夕暮れは嘘を重ねて夜になる
西の空に月がそっぽを向いて

出来過ぎだ
七夕の日に虹だなんて
月が輝く夜だなんて

水溜りに空が
星が覗いているなんて
出来過ぎだ