「プリンス…エンディミオンが…、あの男が…生きているのか?」
その言葉が向けられている先がわからないほどに、トロイアの瞳に宿った悲しみは大きかった。
ただ地面の一点を見つめながら震えるその姿に、ロッドを握るうさぎの手が緩んだ。
この男は、あの頃本当に…自分を愛していたのだろうか。
確かにセレニティの眼差しを携えて、うさぎはトロイアに近づいた。
「トロイア様、エンディミオンは…プリンス・エン . . . 本文を読む
肌を刺す空気がとても冷たい。乾いた空に浮かんだ雲が、私達をあざ笑う。
何故、すれ違う。何故、想い合う。何故争わずにいられぬのだ、と。
高々と掲げたブローチの力に包まれながら、うさぎは思い出していた。
あの日。あの、地獄のような日。
迫り来る地球人達を前に、人々は何を見たのだろう。
―エンディミオン!!―
ひたすらに彼の名を呼びながら、私は終わりを感じていた。
傷ついた彼が倒れこむ。私はその . . . 本文を読む
サイトを開設し、拍手ボタンを設置してから3ヶ月が経過したというのに、拍手のお返事をしていなかったことに今さら気付きました今まで拍手をしてくださいました皆様、本当に申し訳ございません!!
みなさまの拍手一つ一つや応援コメントを拝見するだけで、本当に言いようもないほどの喜びが押し寄せてきます(*^^*)
書きたいことだけを書いた駄文ばかりのサイトではございますが、これからも頑張っていきたいと思いま . . . 本文を読む
「天界震!!!」
うさぎとトロイアを裂くように現われた光は、まるで意思を持つかのようにトロイアの頭上で炸裂した。
この技は…。
その場で倒れこみながら、うさぎは胸をなでおろした。
「っく…何者だっ!?」
突然の閃光に目をくらましながら、トロイアが言った。
そして、未だ動悸が収まらないうさぎの盾になるように、ひとつの影が言い放った。
「天空の星、天王星を守護に持つ飛翔の戦士、セーラーウ . . . 本文を読む
「プリンセス・セレニティ―。」
その言葉に、街の雑踏は静寂に変わった。
歩いているうちに差し掛かった一の橋公園は、日頃衛と時を過ごしている時と同じ場所だとは思えないほど殺風景に見えた。
驚きと恐怖でうさぎは声を出せないでいた。
「今、すべて思い出した。
この髪、この肌、この瞳。私が恋焦がれた、セレニティそのままだ。」
そう言って中朋は、うさぎの髪筋を指に絡めた。
「あ、あなたは誰?ど . . . 本文を読む
風に髪がなびく。
乱暴に舞い散る枯葉の音が、うさぎの心をざわつかせた。
「そ、そうだね。偶然だね。」
言葉につまる。なんだろう、この居心地の悪さは。
「月野さんは、デート…かな?」
覗き込むように向けられた視線に、うさぎの背筋が凍る。
この感覚は、いつか、どこかで…。
「ち、違うよ!!ほら、劇の練習!今から、友達の家でね…」
そう言いかけた時だった。
「!!!な、中朋くん、何するの . . . 本文を読む
翌朝窓を開けると、一晩中降り続けた雪が街を寂しげに塗り替えていた。
みちるにいれてもらったコーヒーを飲みながら、せつなからの情報を思い返す。
中朋英治―。
うさぎのクラスに先月転入してきた男子学生だ。
彼がこの街に来た1ヶ月前と時を同じくして、例の通り魔事件が発生し始めた。
事件は全13件。被害者は女性。外傷はないものの、発見されて以来全員が昏睡状態に陥っている。
諸情報によって捜査線上に上 . . . 本文を読む
「中朋…英治くん?」
「そう、先月引っ越してきたのよ。背が高くてハンサムだからって、
王子様役にすぐ推薦されたの。」
「ほーう。ハンサムねぇ。」
後ろから抱え込まれたうさでもわかるように、俺はわざとらしく言い放った。
「あ、まもちゃん。ヤキモチやいてくれるの?」
「別にぃー。」
俺の顎に頭を押さえつけられたうさは、上を見上げながらくすっと笑った。
「でも私、中朋くんちょっと苦手なの . . . 本文を読む
―えぇ!ウラヌス、もう帰ってしまうの?―
―はい、外での任務がありますので。次回の定期報告の際、また参ります。―
―それでは寂しくなるわ。せめて、あと1日だけでも…―
―プリンセス、嬉しいお言葉ですがそれはなりません。第一プリンセスも、今日はお客様がいらっしゃるのでしょう?―
―・・・貴族の方がいらして、政治の話をなさるだけよ。特に本日いらっしゃるトロイア様は、いつも私にふざけた求婚をなさ . . . 本文を読む
ガチャンと扉が閉まる音がして、部屋には二人だけが残された。
二人きりという状況に緊張するほど俺はかわいくもないが、こうして仲間が去ったあと、あらためてうさと二人だけで部屋にいるのだと思うと、何だか少しくすぐったい。
「えっと…うさ、何か飲む?」
大きなうさの青い瞳は、全てを見透かすほど大人びてはいないくせに、計り知れない深さで何かを浮かび上がらせる力を持っていた。
こうして俺が目をそらして . . . 本文を読む
「Listen,Snow white. Never go out without telling us.Don't let anyone in.」
「オ…All right. See you レ…え~っと…」
「うさ、【see you later】だよ。」
「シ…See you later?」
「うん、良くなった。」
練習を始めて1週間。うさの英語はお世辞にも上手いとは言えなかったが、 . . . 本文を読む
「それでね~、美奈子ちゃんったら勝手に決めちゃったのよぉ!!」
毎晩9時30分。入浴を済ませ、髪を乾かし終わった後。
まるで何かの儀式のように、彼女から電話がかかってくる。
バイトがあっても課題があっても、その時間が近づくと無意識に受話器に近づいてしまうようになったのは、一体いつからだったろう。
うさはいつも、その日の出来事を本当に特別なことのように話してくれる。
一人でいた部屋の中に、そうし . . . 本文を読む
短編小説『あの幸せへ』をUPしました♪♪
この作品は、WEB拍手をして下さいました方からの、「R最終回後のお話」というリクエストを元に作らせていただきました。
リクエストをして下さった方、いかがでしたでしょうか?直後という感じのお話になってしまったので、ご期待に添えましたかはわかりませんが、楽しんでいただけましたら幸いです。
未来でのクイーンたちも、時には昔の名前を呼び合ってふざけ合ったりし . . . 本文を読む