月夜の記憶

・・・

亡き少女の為のパヴァーヌ第1巻

2011-02-26 | 感想
こげどんぼさんの最新作、になるのでしょうか。「亡き少女の為のパヴァーヌ」の感想です。
少し音楽に嗜みのある人なら、このタイトルに「おっ」と思うのではないでしょうか。僕もその一人でした。
タイトルは原曲のままかな?とも思ったんですけど、原曲は「亡き王女の為のパヴァーヌ」で、王女を少女に入れ替えてマンガのタイトルにしたんですね。


舞台は明治の後期。ささいな言葉遣いも徹底された漢字使いで、「ああ、これは現代の物語ではないんだなぁ」と、一歩引いた立場で作品を読めるような、そんな気もします。
「ぴたテン」はファンタジーですけど現代物なので、感情移入しやすかったです。「バジリスク」は歴史物なので歴史の傍観者と言う感じの視点で物語を見る事が出来た気がします。
「パヴァーヌ」はその中間かな?


物語の主人公、相模竹之丸は命と引き換えに天使と契約を結んでいました。「誰にでも愛される容貌」と、「音楽における天賦の才」を与えられ、引き換えに聖女の心臓から聖女の涙を集めなければならない。
そんな竹之丸は「ぴたテン」に出てきたニャーちゃんを彷彿とさせる美少年です。声優さんは沢城みゆきさんなんですね、湖太郎君と同じ。


聖女は、竹之丸に心を奪われた女性、と言う事になるのでしょうか・・・。心を奪われた時、透明なブローチが胡桃色に変わり、聖女の涙が完成した時、ブローチは砕け散る・・・。


最初の聖女は加賀奈々緒。この子は竹之丸の容姿に惹かれたのではなく、そのヴァイオリンの音色に心を奪われていました。
音楽院で竹之丸と偶然再会した奈々緒、ブローチの変化に気付いた竹之丸はそのブローチを奈々緒に渡し、最初の聖女と認定しますが・・・。

実は聖女に選ばれると言う事は、命を奪われると言う事・・・。
竹之丸は天使との契約で聖女の涙を集めなければ、自分が自分でいられなくなってしまう。自分が生きるために、他の女性の心を奪い、命を奪わなければいけないと言う運命を受け入れているのかな・・・。


奈々緒は竹之丸に心臓を貫かれる瞬間も、竹之丸の事を想い、自ら命を刺しだしたかのように描かれています。竹之丸の背負った運命と、優しさを救いたいと思ったのでしょうね。
そして竹之丸は最初の聖女の涙を手にしますが・・・。
これから何人もの女性をこうやって手にかけていくのだろうか・・・と考えると、この物語を読み進めるのが少し怖くなってしまいます。



第1巻で衝撃的だったのは、竹之丸を養子に迎えた相模先生と竹之丸の関係でしょう。どうやら二人は肉体関係にあるようです・・・。当時は男色は珍しくなかったのかも知れませんが、「誰からも愛される容貌」を得た竹之丸であるからこそ、男性からも愛されてしまったのでしょうか。養子とは言え、親子関係にあるのに・・・とも思いますけど、良いのかなぁ・・・。過激ですね><


パヴァーヌには神田美紗希と言う、てひひ笑いの~っス口調の女の子も登場します。これはどう見てもぴたテンの美紗!ぴたテンファンのためのサービスかな?と思いつつ、竹之丸が口にする天使と、ぴたテンで天使だった美紗の繋がりを予想してみるのも楽しいかも知れませんね。
その美紗希が二人目の聖女候補に・・・なりそうな流れ、のところでシスターのミネ先生にブローチを没収されてしまいます。
そして次のターゲットにされるミネ先生。



第1巻の最後で竹之丸の過去が語られ、生きる為に全てを引き換えにしても構わない覚悟と、嫌いな世の中への復讐の決意が明らかになります。


竹之丸は・・・世の中が嫌いなら、なぜそうまでして「生」にしがみついたのか、それは相模先生がヴァイオリンを聞かせてくれたから。音楽が竹之丸の生きる目標になったからでしょうか。


でも、素晴らしい演奏が出来てしまう才能を天使に与えられた事で、竹之丸はヴァイオリンを自分の力で演奏しているわけじゃない・・・と考えると皮肉な運命だと思います・・・。


この物語・・・読むのが辛いかも知れません・・・。

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