月夜の記憶

・・・

ぴたテンの思い出。

2011-02-14 | 
僕がコゲどんぼさんの作品を読んだのは、この「ぴたテン」が初めてでした。

それまでデ・ジ・キャラットのキャラクターなどでコゲどんぼさんの存在は知ってたけど、お名前をコゲ「と」んぼさんだとずっと思い込んでたくらいで、ほとんど詳しくありませんでした。


そんなだから、このぴたテンも、最初は軽い気持ちで読み始めました。可愛いキャラクターの可愛い物語なのかなって。
だけど・・・読めば読むほど、読み返すたびに・・・その物語に込められた想い、登場人物たちの言葉が心に響いてきます。



ぴたテンには、辛い別れがたくさん描かれていました。
それは湖太郎と美紗に与えられた運命が決まっていたから、湖太郎と美紗が成長するために必要だったんだろうな、と思いました。


そして別れが多かった分、一緒に過ごした幸せな時間、想う相手のそばにいられる時間が本当に幸せそうで、登場人物たちの笑顔も本当に心からの笑顔をたくさん見る事が出来ました。
こちらまで笑顔になってしまうほどです。


湖太郎にとって一番辛かったのは紫亜とのお別れだったんじゃないかな。
これから楽しい事があるって、うきうきしてたその時に別れなくてはいけなかったから。一度失ったお母さんを、もう一度手に入れる事が出来たと思ったその時だったから・・・。
その別れが悲しかったのは、紫亜が悪魔だったからじゃない。湖太郎と紫亜がこれから味わうはずだった幸せを手にする事が出来なくて、永遠に失ってしまった事が、悲しみを何倍にも強くしたと思います。
そう・・・心残りがあるから・・・。もしかしたら助ける事が出来たのかも知れないという後悔があるから・・・。お別れをするつもりじゃなかったのに、お別れする事になってしまったから・・・。
母親を事故で亡くした時ときっと同じだったと思います。紫亜を失う事で2度も母を失う事になってしまうだなんて・・・。
「辛い事や怖い事はいっぱいあったのに・・・思い出して苦しいのは・・・楽しかった事なんですよね・・・」
この湖太郎の言葉は本当に胸に突き刺さってきます。


ぴたテンに出てくる出会いと別れの持つ重さはどれも特別で、登場人物の心は僕たちの心にグッと届いて来ます。
出会って、一緒に過ごして、幸せになって、別れて・・・。その気持ちに、人間だから、天使だから、悪魔だから、なんて事は関係ないです。


美紗と湖太郎とのラストシーンはどうだったかな。
二人は一緒にいられない運命にある事を湖太郎は知ります。美紗は最初から知っていたのかも?美紗は湖太郎の幸せを願う事で頭が一杯でしたもんね。
湖太郎は美紗と一緒にいる事がいつの間にか当たり前になってました。まるでお母さんが一緒にいてくれるのが当たり前なように。
湖太郎と美紗が別れないといけないと知ってしまったら、幸せそうな二人を見ていると胸が苦しくなります。幸せである時ほど、それを失った悲しみが大きい気から・・・。
紫亜と湖太郎の別れのように・・・また湖太郎が辛い思いをしなくちゃいけなくなるのかと思うと・・・。


だけど二人はお別れしたわけじゃないんですよね。見えなくなっただけ。
だって美紗は湖太郎の天使なんだから。いつでもぴたっとそばにいますよね。


考えてみると、どちらのお別れも「さよなら」をしてないんです。
紫亜とのお別れは、突然の事でさよならをする暇もなかったからだけど・・・、美紗とのお別れは、さよならじゃないから。美紗と湖太郎はお別れじゃなかったんです。
本当の天使になった美紗が今でも湖太郎にぴたっとしているんです。

紫亜が死んだ事を知らない他のみんな、美紗が天使だった事を知らない他のみんなも、それぞれお別れをしていません。きっとまたいつか会えるって思ってる。
前に進んでいけるのは、みんなにも背中を押してくれる天使がついているからかも知れませんね。テンちゃんにも小星ちゃんにも大ちゃんにも。
たくさんの出会いと別れを乗り越えて来た湖太郎の心もこの物語でとても成長しました。
ぴたテンを読んだ僕も、湖太郎に負けずに前を向いて歩いていかないといけないですね。そうしないと、もし僕に天使がついてたら、その天使を悲しませてしまう事になってしまいます(笑


ぴたテン、本当に素敵な物語でした。僕はこの作品を一生忘れません。

ぴたテンを彩るたくさんの歌、キャラクターソング、どれも心に染みてくる素敵な歌。
アニメのぴたテンはコミックスと物語が違うのかな、それも知りたいです。教えてもらえたら嬉しいです。
いつか・・・コミックス以外の関連商品も読んでみたいです。

ぴたテンを教えてくれて、ありがとう。

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