シュッが終わってベッドに横になる
いよいよです
「これ、口にくわえて下さい」と穴のあいたプラスチックの器具を渡される
胃カメラの時と同じやつだ
薬が目に入らないようにとガーゼで目隠しもされた
ちょっとがっかりだった
モニター見れないじゃん これじゃ
「はじめます。苦しかったら手を上げて下さいね」
「はい」
思いがけず大きな声が出て、びっくりした
シューッだか、チョーッだか なんとも言えない音が聞こえたと思ったら
喉の奥にカメラが入ってきた
思わずウォッとなる
やっぱ苦しいさ
頑張れ 頑張れ 頑張れば 早く終わるぞ
自分にエールを送る
ぅお・・・ おォ~ッ
「すいませんね、薬を入れてるので・・・今 吸いますね」
ズズズ~ーーッ
歯医者さんでやるやつですね それ
何か話し声がする
いつの間にか先生が増えてるようだ
「ここ・・・ですね」
「広げましょうか・・・」
「あぁ・・・とるのは・・・ひっかきますか・・」
苦しいのと痛いのとで、何を話しているかよく分からないけど
取れないものがあるらしいことは分かった
ひェ~ と言うほど(実際は声は出せなかったけど)痛い一撃があって
「はい おわりです。抜きますよ・・・痛かったですね。すいませんね・・・」
との先生の声とともに のどの奥からずるずるとカメラが引抜かれた
ガーゼの目隠しをはずしてもらい、看護師さんが体を起こしてくれる
「お疲れ様でした」
「はぁ・・・つかれましたぁ・・・
ノックアウトです」
看護師さんが笑ってくれてうれしかった
金属のお皿をわたされて「ここにタンを出しちゃって下さい。赤いのが出ますけど大丈夫ですよ」と言われる
ペッと出す
おぉ 赤いぞ 血痰てやつだな でもサラサラしてるぞ
今まで思ってたのと違うな
むせる ペッてする
またむせる
「そろそろ戻りましょうか?歩けそうですか?」
「はい 大丈夫です」
私も一人で歩きます
さっきの男の人に心の中で語りかける