春望・別館「子どもの本」

「春望」の別館です。子どもの本を中心に紹介しております。お気軽にお立ち寄りください。

三つ山穴へ、秘密の探検

2010-02-03 19:19:25 | マ~

ペール・オーロフ・エンクイスト著:あすなろ書房

子どもに理解のあるおじいちゃんと、小さな孫4人、そして、老犬のミーシャとの楽しくも危険な冒険物語です。
「おじいちゃん、しっかり!」
と思うところもありますが、孫たちがしっかりしているから大丈夫ですね。老犬のミーシャが大活躍でした。

魔法泥棒

2009-10-02 22:24:58 | マ~

ダイアナ・ウィン・ジョーンズ著:創元推理文庫

文庫本なのに…1200円。最近の文庫本はお高いんですねえ。な~んていう下世話な話はこの際、置いといて。
この本も児童向けではありません。といか、かなりアダルトです。舞台は、地球とアルスとなんだかよくわからない五国です。どうも五国という宇宙に住んでいる魔法の使い手たちはアルスという離れ小島のような小宇宙を持っていて、そこでいろんな実験をしているようです。地球にいろいろな災害を持ち込んで、地球人たちがそれを解決する方法(おもに魔法使いがその技を持っているようです。)を盗んでいるらしいのです。
アルスから禍の元がやってくるらしいことを突き止めた4人の大魔法使いたちは、襲撃部隊をアルスに派遣します。ところが、アルスに到着するのと同時に乗っていた男性は死んでしまい、女性だけがアルスにたどり着きます。
アルスには女性はいなくて、男ばかり。女性と関係を持つことは禁じられています。襲撃のために用意しておいたものはどこかに行ってしまいましたが、地球の安全のためにアルスを攻撃しなければなりません。いったい、どうやって・・・?
舞台があちこちにめまぐるしく飛びますが、テンポが速く、楽しめました。
ウィン・ジョーンズの描く魔法は「ハリポタ」とは違って、目に見える形を取らない変化に満ち溢れているようです。

魔女と暮らせば

2009-09-06 08:37:53 | マ~

ダイアナ・ウィン・ジョーンズ著:徳間書店

これも以前に読んだ本ですが、気の強い強欲な姉に翻弄される可哀想な弟クンが出てきたなぁ…というくらいしか覚えていなかったのに我ながら呆然としています。
で、まあ、例によってもう一度最初からわくわくしながら読み返したわけです。クレストマンシーの子どもたちも登場するので、どんな子供達だったか確認の意味もありまして・・
現クレストマンシーと同じように、キャットも9つの命を持つ大魔法使いです。しかし、当の本人のキャットはそのことを知りません。現クレスとマンシーのクリストファーと同様に、キャットも命を次々に無くしてしまいます。あ~あ、もったいない。(もっとも、クリストファーと違ってキャットの場合は魔女である姉のグウェンドリンによって、命を奪われていきますが・・・)
命がたくさんあればいいってもんじゃないけれど、あまりにもお粗末すぎます。結局、今あるたった一つの命が大切ってことなのでしょうかね。

いつ、キャットの魔法が炸裂するのか、グウェンドリンの悪いたくらみをクレストマンシーは見破ることができるのか・・・
女神だったミリー(クレストマンシーの奥方)が菩薩のようになっていたのがちょっと笑えました。



魔法の館にやとわれて

2009-08-15 20:34:18 | マ~

ダイアナ・ウィン・ジョーンズ著:徳間書店

若き日の大魔法使いクレストマンシーとコンラッド少年が魔法の渦巻く館に雇われて、従僕として働きながら魔法によって世界が少しずつ変化していく元凶を突き止めようとするお話です。
ネタばれになってしまいますが、登場人物の中で一番不思議な存在だったのは、コンラッドの母さんでした。
魔法にかかっていたのか、全く子どもに興味がなかったのか、コンラッドや姉さんのアンシアにほとんど注意を払いませんでした。最後に一人になってしまったと嘆く母さんに
「人のことをまったくかまわない人間は、おうおうにしてそういう目にあうものです。」
という、ゲイブリエルの言葉は痛快でした。

マリアンシュタットの嵐 ウェストマーク戦記(3)

2009-08-13 09:13:37 | マ~

ロイド・アリグザンダー著:評論社

2巻までは怒涛の勢いで読んでしまったのに、この3巻目はなぜか読みたいという気が湧いてきませんでした。これを読んでしまったら、もう後がないっていう寂しさと主人公たちの運命が風前の灯で、いかにも危うい感じがして、チキンな私は恐ろしくて先が読めなかったのです。
これは、ハリーポッターシリーズの7巻を読んだ時の気分に似たものでした。読み始めたらやはり止まらなくなって一気でしたけれど…
マリアンシュタットに、国を追われていた独裁者カバルスが帰ってきます。城から辛くも脱出した女王アウグスタは婚約者のテオやかつての仲間とともに地下に潜り、総統政府の転覆をはかります。
瀕死の重傷を負い、レギアに身を潜めたフロリアン、連絡の取れなくなったジャスティンたちがどう動いていくのか・・・
テオはジャスティンとの確執を埋めることができるのか・・・
革命は偉大なる指導者が起こすのではなく、名もなき民衆の蜂起が必要なのでしょう。

魔女の愛した子

2008-03-09 23:48:38 | マ~

マイケル・グルーバー著:理論社

昔、はるか遠い国の大きな森で女は赤ん坊を拾う。赤ん坊は世にも醜い男の子で、女は魔女だった。
女は赤ん坊にランプと名づけ、クマの乳母をつける。おとぎ話では子どもはすくすく素直に育つはずなのに、ランプの心は女の愛情を疑い、ねじれていく。
そして、魔女の家庭は崩壊するのである。
「ヘンデルとグレーテル」「赤頭巾」「眠れぬ森の美女」などのお話の新解釈も楽しめる。
魔女でなくても子育ては難しい。
決して親の思う通りにはならないものなのだということを思い知らされます。

魔法の文字

2007-03-31 21:54:48 | マ~

コルネーリア・フンケ著:WAVE出版

しばらくこの本を手元に置いておきましたが、やっと読み終わりました。おもしろかったのですが、話が私の好む方向にはいかないので、ハラハラドキドキし、とてもつらくてなかなか読み終わることができませんでした。
訳者があとがきでも述べているように、
「言葉は一度つむぎ出されると、独りで歩きはじめるかもしれないほど、大きなパワーを秘めている。」
まさに、そんな感じでした。
物語の世界に引き込まれ、ついには物語の世界に自分を送り込んでしまい、両親や大叔母を悲しみにくれさせたメギー。なんと愚かなことをするのかと思いましたが、言葉の持つ魔力に抗いきれなかったのでしょう。
そして、私もまた、3巻目をひたすら待つ身になってしまいました。

めぐりめぐる月

2007-01-31 16:40:05 | マ~

シャロン・クリーチ著:講談社

現在、講談社では取り扱っていないようですが、偕成社ではあるようです。クリーチの『赤い鳥を追って』がおもしろかったので、迷わず書店で見つけたときは購入しました。
HPでも紹介しましたが、最近、友達に貸したら「夜更かしして一気に読んでしまった。」と言うので、また読み返してみたくなり、ここに載せることにしました。
改めて感動しています。ニューベリー賞を取っただけのことはあります。
13歳の少女サマランカは旅に出たまま帰ってこない母親の軌跡をたどって祖父母とともに旅に出ます。
サマランカはアメリカ・インディアンの血を引いています。本の中に出てくる<人をとやかくいえるのは、その人のモカシンをはいてふたつの月が過ぎたあと>という警句が心に残りました。
意表をつくラストまで一気に読んでしまいます。

魔術師の城塞

2006-12-07 13:19:50 | マ~

ディヴィッド・エディングス著:ハヤカワ文庫

ついに、ガリオンは<珠>を手にし、真の名前にたどり着きました。しかし、それは邪神トラクを目覚めさせる、新たな戦いの始まりを意味していました。
ガリオンを取り巻く人々は、欠点が多いのですが、それも魅力の一つとなっています。完全無欠な人間なんてこの世には存在しないということなのですね。だからこそ、人生はおもしろいともいえるのでしょう。

ミルクウィード 天使の羽根のように

2006-06-05 21:26:03 | マ~

ジェリー・スピネッリ著:理論社

スピネッリは「クレージーマギーの伝説」でニューベリー賞をとり、「スターガール」で話題をさらいました。期待に違わぬ読み応えのあるものでした。
登場人物はコルチャック先生以外は後世に名前の残らない普通の人々です。戦争がなければ普通に暮らしていた人々が家を奪われ、人間らしさを奪われ、命を奪われていきました。
生まれた場所も家族の名前も、いえ、自分の名前すら知らない男の子がこの物語の主人公です。
人はいったいなんのために生きるのでしょうか?