ダイアナ・ウィン・ジョーンズ著:創元推理文庫
文庫本なのに…1200円。最近の文庫本はお高いんですねえ。な~んていう下世話な話はこの際、置いといて。
この本も児童向けではありません。といか、かなりアダルトです。舞台は、地球とアルスとなんだかよくわからない五国です。どうも五国という宇宙に住んでいる魔法の使い手たちはアルスという離れ小島のような小宇宙を持っていて、そこでいろんな実験をしているようです。地球にいろいろな災害を持ち込んで、地球人たちがそれを解決する方法(おもに魔法使いがその技を持っているようです。)を盗んでいるらしいのです。
アルスから禍の元がやってくるらしいことを突き止めた4人の大魔法使いたちは、襲撃部隊をアルスに派遣します。ところが、アルスに到着するのと同時に乗っていた男性は死んでしまい、女性だけがアルスにたどり着きます。
アルスには女性はいなくて、男ばかり。女性と関係を持つことは禁じられています。襲撃のために用意しておいたものはどこかに行ってしまいましたが、地球の安全のためにアルスを攻撃しなければなりません。いったい、どうやって・・・?
舞台があちこちにめまぐるしく飛びますが、テンポが速く、楽しめました。
ウィン・ジョーンズの描く魔法は「ハリポタ」とは違って、目に見える形を取らない変化に満ち溢れているようです。
ダイアナ・ウィン・ジョーンズ著:徳間書店
これも以前に読んだ本ですが、気の強い強欲な姉に翻弄される可哀想な弟クンが出てきたなぁ…というくらいしか覚えていなかったのに我ながら呆然としています。
で、まあ、例によってもう一度最初からわくわくしながら読み返したわけです。クレストマンシーの子どもたちも登場するので、どんな子供達だったか確認の意味もありまして・・
現クレストマンシーと同じように、キャットも9つの命を持つ大魔法使いです。しかし、当の本人のキャットはそのことを知りません。現クレスとマンシーのクリストファーと同様に、キャットも命を次々に無くしてしまいます。あ~あ、もったいない。(もっとも、クリストファーと違ってキャットの場合は魔女である姉のグウェンドリンによって、命を奪われていきますが・・・)
命がたくさんあればいいってもんじゃないけれど、あまりにもお粗末すぎます。結局、今あるたった一つの命が大切ってことなのでしょうかね。
いつ、キャットの魔法が炸裂するのか、グウェンドリンの悪いたくらみをクレストマンシーは見破ることができるのか・・・
女神だったミリー(クレストマンシーの奥方)が菩薩のようになっていたのがちょっと笑えました。
ロイド・アリグザンダー著:評論社
2巻までは怒涛の勢いで読んでしまったのに、この3巻目はなぜか読みたいという気が湧いてきませんでした。これを読んでしまったら、もう後がないっていう寂しさと主人公たちの運命が風前の灯で、いかにも危うい感じがして、チキンな私は恐ろしくて先が読めなかったのです。
これは、ハリーポッターシリーズの7巻を読んだ時の気分に似たものでした。読み始めたらやはり止まらなくなって一気でしたけれど…
マリアンシュタットに、国を追われていた独裁者カバルスが帰ってきます。城から辛くも脱出した女王アウグスタは婚約者のテオやかつての仲間とともに地下に潜り、総統政府の転覆をはかります。
瀕死の重傷を負い、レギアに身を潜めたフロリアン、連絡の取れなくなったジャスティンたちがどう動いていくのか・・・
テオはジャスティンとの確執を埋めることができるのか・・・
革命は偉大なる指導者が起こすのではなく、名もなき民衆の蜂起が必要なのでしょう。
コルネーリア・フンケ著:WAVE出版
しばらくこの本を手元に置いておきましたが、やっと読み終わりました。おもしろかったのですが、話が私の好む方向にはいかないので、ハラハラドキドキし、とてもつらくてなかなか読み終わることができませんでした。
訳者があとがきでも述べているように、
「言葉は一度つむぎ出されると、独りで歩きはじめるかもしれないほど、大きなパワーを秘めている。」
まさに、そんな感じでした。
物語の世界に引き込まれ、ついには物語の世界に自分を送り込んでしまい、両親や大叔母を悲しみにくれさせたメギー。なんと愚かなことをするのかと思いましたが、言葉の持つ魔力に抗いきれなかったのでしょう。
そして、私もまた、3巻目をひたすら待つ身になってしまいました。
シャロン・クリーチ著:講談社
現在、講談社では取り扱っていないようですが、偕成社ではあるようです。クリーチの『赤い鳥を追って』がおもしろかったので、迷わず書店で見つけたときは購入しました。
HPでも紹介しましたが、最近、友達に貸したら「夜更かしして一気に読んでしまった。」と言うので、また読み返してみたくなり、ここに載せることにしました。
改めて感動しています。ニューベリー賞を取っただけのことはあります。
13歳の少女サマランカは旅に出たまま帰ってこない母親の軌跡をたどって祖父母とともに旅に出ます。
サマランカはアメリカ・インディアンの血を引いています。本の中に出てくる<人をとやかくいえるのは、その人のモカシンをはいてふたつの月が過ぎたあと>という警句が心に残りました。
意表をつくラストまで一気に読んでしまいます。