バーリー・ドハティ著:新潮文庫
新潮文庫の『ディア ノーバディ』はすでに絶版になっているそうです。最近、「14歳の母」とかいうドラマが話題を呼んでいました。一度も観たことがないので、あれこれ言うのははばかられますが、
「14歳の子どもが子どもを産んでどうするんだろうなぁ・・・」
と思っていました。新聞でも酷評されているようでしたが・・・
で、以前読んだこの本を思い出し、また読み返しました。イギリス、カーネギー賞受賞作だけあって、秀逸です。
18歳のヘレンとクリスの恋人同士に突然命が誕生します。戸惑うヘレンと何もできないクリス・・・愛し合っているのに、いつしか、二人の間には溝ができてしまいます。ヘレンの妊娠をきっかけに二人は互いに自分の母(もしくは祖母)について考えるようになります。
解説の河合隼雄氏は「身体性を失った現代人はいかに生きるべきか、本書の投げかける問いは、実に重いものがある。」と締めくくっていらっしゃいますが、何度でも読み返し、繰り返し考えたいテーマでした。