ちくちくの森から~

シュバルムの森への熱き思い。

シュバルム刺繍の歴史

2007-02-27 | 大好き!
時代を大きく3つに分けることができます。

第1時代 修道院期

古くは中世にさかのぼります。
その当時のもので現存するものはわずかですが、そのほとんどが修道院で作られたものです。

村の娘のなかで、手先が器用で、一般的な刺繍の知識のあるものは、
修道院の中できっちりと専門教育を受け、その能力をさらに高め、
芸術傑作を生み出していきました。

こうした素晴らしい刺繍は1790年までのシュバルムに見ることができます。

刺繍芸術は中世末期には衰退します。
そして、女子修道院で作られていた芸術は農村に流出します。


第2時代 農村期

修道院期とは違い、目の粗い、「田舎風リネン」に刺繍が施されるようになります。

まるで習慣や風習のように、厳格な秩序のもと、
同じモチーフの繰り返し、といった厳格な秩序あるサンプラーが
代々母から娘へと受け継がれました。
生命の木、花、新芽、鳥などもこの時期取り入れられ、同様に受け継がれました。


刺技巧を凝らした名作を生み出し、シュバルムの農村に住む人たちは
この第二時代を発展させていきます。


第一時代に使われていた骨の折れる刺繍テクニックをシンプルにして、モチーフを再現しています。
例えば、ローズステッチで刺されていたデザインを違うステッチ(Stopfstich)で刺すことで、
制作時間を半分近く短縮するようになりました。
こういったテクニックは1860年まで見受けられます。


第3時代 1860年以降

1860年以降、土台となるステッチがローズステッチに代わって
Grundstichというステッチになっていきます。
こうすることで、制作時間が短縮され
出来上がったものは、以前の技法のものと比べて、
丈夫で耐久性にも優れたものになります。

こういったテクニックは今現在も使われています。





ティッシュケース

2007-02-19 | 大好き!


以前刺繍の教室で一緒だったご婦人が
このヘムステッチ(Hohlsaum Stickerei)で
カラフルな刺繍糸を使ってティーマットを作っていました。

かわいいな~と思いつつ、本だけ購入して今になり。

やっと挑戦しました。
うんうん、よく考えている、と唸る縁かがりテクニック。
これなら、解れてくることなさそうです。

布の粗さと糸の太さが鍵ですね。

縫いはありません。
全て刺繍のみ。

こんな刺繍の遊びもあるんだな~と楽しみました。

にしても、ティッシュケースの大きさって
いつも悩みの種。

小さすぎても×。
大きすぎても×。
洗って縮んでも、、、哀しい。

ベストの大きさってあるのでしょうか?

シュバルム刺繍のデザイン

2007-02-14 | 大好き!
前回のお話しの続き。

シュバルムは、メルヒェンという言葉がとっても似合います。

丘・谷・森・草原・野原が広がり、
向こうの茂みからおばあちゃんのお見舞いに向かう
赤ずきんちゃんがヒョッコリ現れてきそうな、
そんな素敵な場所です。

シュバルム刺繍は、数ある白糸刺繍の一つですが、
中でも、民族色が強く、

ずばり
田舎風、です。

16、17世紀の装飾品にすでにこの種の刺繍を見ることが出来ます。

シュバルムの地で始まった刺繍というより、
とりわけこの地で受け継がれ守られてきたゆえに
シュバルム刺繍と言われるようになったのたと思います。

テクニックや刺し方より、
そのスタイル、モチーフ構成、全体として環(サークル)になるデザインがこの刺繍の特徴になっています。
そこに住む人の生活や、豊饒といったものをシンボライズしたモチーフが豊富に使われています。

モチーフの多くにはそれぞれメッセージが込められています。
古くから伝わる、ハートをあしらった生命の木(レーベンスバウム)、花、鳥といったモチーフを組み合わせデザインを構成し、そういうたスタイルをずっと守り続けています。

頻繁に登場するチューリップ、グラスネルケ(野生なでしこ)、太陽などは、葉・鳥と共に描かれます。
主となるモチーフの傍に、小さい籠・花瓶・鳥・輪・星などがあしらわれます。
多くの場合、デザインは左右対称です。

例えば、

↑はチューリップのモチーフです。そして、左右対称、のつもり。

そしてこれらが、巡って環(サークル)を作り、
全体としても美しい調和と均衡ある一つのデザインになります。

身の回りにあるものがモチーフとなりデザイン・スタイルを作り
受け継がれていく中で民間芸術へと昇華していった
シュバルム刺繍はの魅力は一言では言い尽くせないのです。

シュバルム刺繍について

2007-02-08 | 大好き!
3,4年前から日本で注目され始めたシュバルム刺繍。
ヨーロッパの地方に伝わる白糸刺繍の一種。

シュバルム刺繍について、少し綴っていこうと思います。

まずは、名前の由来。

シュバルムとは地方・地域の名前です。

正式名シュバルムシュタット(Schwalmstadt)は
ヘッセン州北部のSchwalm-Eder-Kreis(郡)で最大の都市です。

ドイツの地図でいうと、

赤く印をつけた辺りになります。(オオヨソです)


この地域で古くから受け継がれてきた刺繍を
シュバルム刺繍(Schwaelmer Stickerei)と言います。
または、州の名前をとってヘッセン刺繍(Hessisch Stickerei)とも言います。

1970年に、トレイザ(Treysa)、チーゲンハイン(Ziegenhain)
そして近隣の村々と合併して
Schwalmstadtという行政組織としてのシュタット(都市)になりました。


実際の印象としては、町、いえ、村に近い規模です。

大きさは約85km2、人口は2万人弱。
東京品川区が20Km2、人口は33万人。
何も比較になってない、ですね。。。
しかも、シュバルムシュタットはさらに13の小さな区域に分かれています。
(1970年の合併以前の名残?)
1番栄えている?地区の商店街?でも
パン屋、肉屋、カフェが一軒ずつ、みたいな、感じです。

村より小さく思えきた・・・。


シュバルムシュタットがあるSchwalm-Eder-Kreisは、
北ヘッセン州のKassel行政管区における郡になります。

この地方は、シュバルム刺繍のほかに
籠(籐製?)やイースターの装飾タマゴ元祖ルーズソックス(手編みのあったか靴下)
そして、赤頭巾ちゃんの村として有名です。



これはこの地域の民族衣装。
今ではめったに見かけません。
帽子と靴下が特徴的。
赤頭巾ちゃんの服に似ているでしょう!!


続きは、またいつか。。。