木遊木(もくゆうぼく) Moku-you-boku

宮城県 石巻市・東松島市で木製品を制作しています。

虹の架け橋

2014年04月01日 | ブログ

 大きな津波被害のあった石巻市の渡波地区の一角に、地元の非営利団体「チームわたほい」の活動拠点となるコンテナハウスが建っています。
 ここは震災前まで、代表遠藤の自宅兼「木遊木」の事務所があった場所で、2012年の7月に、そこを更地にし、彦根市の支援団体「UNITE TOGETHRE」の協力を得て、コンテナハウスを設置(写真左)、お祭りやコンサート、交流会や追悼式等のイベントをさせて頂くようになった次第です。運営にも上記団体はじめ、多くの団体や個人の方の支援を受けて、活用しています。
 今回3回目の3.11を迎えるにあたり、「UNTE~」より、イベント時だけでなく普段から人の立ち寄れる場所にしてはという提案があり、工事費のご寄付を頂戴して、2月の終わりに木製モニュメントの施工を始めました。まだ雪の残る厳寒の中、まず基礎工事がおこなわれました。

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 檜の柱が立ちだすと、通りかかった人からは「何を作っているのか」「家を建てるのか」といった質問があり、「楽しみにしているからね」「またここで子どもの遊ぶ姿を見たいね」という声も聞かれました。やがて、晩秋に植えた水仙の球根が蕾を付け、最初の花を咲かせました。石巻にも春の兆しが見え始めました。
 目標としていた3月11には、悪天候等の影響で完成させられず、追悼の集まりでは、いらした方たちにお披露目をすることができませんでした。それでも、テレビや新聞で取材して頂いたものを11日以降に見たという人々から励ましの言葉をもらったり、実際に足を運んで見に来てくださった方もいて、忙しくもあり、張合いのある現場仕事となりました。

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 3月中旬には他の仕事があり、しばらく工期を空けてしまいましたが、3月末に再開、31日に無事完成させることができました。
 日差しは春めいてきたものの、当日は嵐のような強風が吹き荒れ、最大で30メートル近い風速の中、懸命に仕上げました。車に乗った方が窓を開け、「もうすぐ完成だね。お互い、がんばろうね。」と嬉しそうに声をかけてくれました。
 震災後の混乱で、今どこにいるのかもわからないご近所さんがあるような地区で、地元の人同士が束の間ことばを交わすことも、大事なコミュニケーションであるような気がします。

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 最終日に完成した階段をお地蔵さん側から上がり、踊り場からさらに上ると、ちょっとした高さです。空き地ばかりが広がるので、視界はひらけます。
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 海の方に曲がり、「虹の架け橋」の太鼓橋を渡ります。
 そこからの景色は、実際に見て頂きたいので、今日はアップしません。
 突端まで行ったら、引き返すような向きで、スロープを下ります。

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 道路側には3本の矢をイメージした木が取り付けられ、天を仰いでいます。
 以前、すぐ近所に3つの幼稚園と保育所があり、子どもの声が聞こえた町も、今はしんと静まり返っています。悩んだ末、元あった場所に家やお店を再建した方も、ここに来るのはまだつらいという人々もいます。
 それでも今回、この仕事をしたことで、何か少し前に進めたように感じています。このモニュメントが、地域の人と集う際に、大人も子どもも笑って上を見上げられる場所になっていくことを想像しています。
 応援してくださった大勢の方たちに、心より感謝いたします。
 ありがとうございました。

    (住所:宮城県石巻市長浜町1番10号)