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ウクライナ戦争ー「台湾有事」をめぐる、米国のNATO戦略と対中国戦略一体性

2022-08-16 08:38:11 | 日記

*「ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会」(メルマガ第48号)に投稿しました。

・ウクライナ戦争ー「台湾有事」をめぐる、米国のNATO戦略と対中国戦略一体性を分析しました。ご参考に!

 

●米国の2022年「国家防衛戦略(NDS)」

ウクライナ戦争開戦のおよそ1カ月後の2022年3月30日、米国国防総省の2022年「国家防衛戦略(NDS)」が、バイデン政権初の安全保障戦略として策定、発表された。この国防戦略は、全文は公開されていないが驚いたことに、米国(欧州)が対ロ戦争下にありながら、ロシアではなく中国を「最重要の戦略的競争相手」と位置づけ、「中国最優先」を明記していることだ。


具体的には、「ロシアは深刻な脅威」だが、「インド太平洋地域における中国を優先し、次いで欧州におけるロシアをあげた」と報じられている(3月30日付朝日新聞)。
米国の「国家防衛戦略(NDS)」は、全文は非公開だが、QDR(4年ごとの国防戦略の見直し)に替わるものとして、要約のみが公表されている。

今回発表された米国の「国家防衛戦略(NDS)」は、トランプ政権下の「国家安全保障戦略(NSS)」( 2017年12月)、そして、国防総省の「国家防衛戦略(NDS)」(2018年1月)を踏襲したものである。つまり、トランプ政権からバイデン政権に移行しても、米国の世界戦略――新冷戦戦略は、全く変更されていないということだ。

2018年米国防総省の「国家防衛戦略」の発表後、2019年6月に公表された「インド太平洋戦略報告」(シンガポールで発表)もまた、この対中重視の戦略を鮮明かつ具体的に提示している。ここでは、特に「米中衝突に備え、日米同盟をはじめ同盟国・友好国との重層的ネットワークを構築する、中国と対抗する上で台湾の軍事力強化とその役割を重視」するとし、次の3点をあげている。
① いかなる戦闘にも対応できる米国と同盟国による「統合軍」の編成
② 中国と対抗する上で台湾の軍事力強化とその役割を重視(初めて台湾に言及)
③ 新しい作戦構想として陸軍の多領域任務部隊(MDTF)と海軍・海兵隊の「遠征前方基地作戦(EABO)」の任務

 こうして、米国のアジア太平洋戦略は、「AUKUS」「Quad」など、オーストラリア、イギリス、日本(インド)を含む対中包囲網づくり、つまり、アジア版NATO態勢づくりへと急ピッチで進行しているが、その隠されたもう一つの重要な態勢が、上に見てきた台湾の軍事態勢への組み込みだ。

このような一連の動きの中に、2022年1月7日においての日米安全保障協議委員会(2+2)の「台湾有事」の「日米共同作戦計画」の策定があるのだが、これは後述する。
ここでは、とりわけ米国の「新冷戦」下で進行する、「太平洋抑止イニシアティブ(PDI)」と「欧州抑止イニシアティブ(EDI)」について見てみよう。

●「太平洋抑止イニシアティブ(PDI)」と「欧州抑止イニシアティブ(EDI)」

米国の「太平洋抑止イニシアティブ(PDI)」とは、2021年会計年度から始まったアジア太平洋への特別軍事予算の発議である。これは国防予算と別枠で発議されており、2021年会計年度に22億ドル(約2351億円)、22年会計年度に71億ドル(7587億円)、今後6年間で約274億ドル(約3兆円)が計上されている。つまり、米軍の「アジア太平洋重視」戦略下で、その具体的な増強態勢づくりのための、大幅な軍事費増強が確保されたということだ。

この特別軍事予算で予定されているのは、主要には第1列島線への残存性の高い精密打撃網(ミサイルなど)の構築であり、米海兵隊・陸軍へのトマホーク、スタンドオフ・ミサイルの配備であり、そして、中距離ミサイル等を軸にミサイル戦力の強化配備(6年間に33億ドル)であり、さらに、グアム基地の強化(抗湛性を含む44億ドル)等であり、「遠征前方基地作戦(EABO)」による部隊の新編成・増強である。

ところで、このPDIが参考にしたのが、「欧州抑止イニシアティブ(EDI)」である。これもまた、2014年から「対ロ戦略のための特別軍事予算」として、開始から6年で約224億ドル(約2兆4000億円)が計上されている。これらEDIの最大の目的は、近代的軍隊であるロシア軍との戦闘を視野に入れ、重装備部隊の欧州への展開、重装備部隊のための事前集積を重視していることだ。もちろん、このEDIもまた、基本予算とは別立ての海外作戦経費からの資金である。

こうしてみると、米国の2017年「国家安全保障戦略(NSS)」、2018年「国家安全保障戦略(NSS)」以後の、新冷戦態勢による欧州戦略(対ロ戦略)と対中戦略が一貫した共通戦略として策定されていることが分かる。

いみじくも、米国政府の最大のシンクタンク、ランド研究所の提言「ロシアを拡張する――有利な条件での競争」(Extending Russia Competing from Advantageous Ground 2019年)は、ウクライナ戦争の始まるはるか前に以下のように述べている。
「米国は両国(東ウクライナとシリア)でロシアの敵対勢力に限定的な支援を行っており、さらに支援を行う可能性があるため、ロシアのコストを押し上げることになる。このような代理戦争は、決して新しいものではない」

「米国のウクライナに対する安全保障支援が増加すれば、それに比例してロシアの分離主義者への支援やウクライナ国内のロシア軍も増加し、紛争はより高いレベルで維持される可能性が高い。元米国陸軍欧州軍司令官 Ben Hodges 中将は、まさにこの理由からウクライナへのジャベリン対戦車ミサイルの供与に反対している 。あるいは、ロシアは逆にエスカレートし、より多くの軍隊を投入し、ウクライナに深く入り込むかもしれない。ロシアは米国の行動を事前に察知し、米国の追加援助が到着する前にエスカレートする可能性さえある。このようなエスカレーションはロシアを拡大させるかもしれない」
「米国がウクライナのNATO加盟をより積極的に主張すれば、ウクライナの士気と、それを阻止しようとするロシアの決意力が高まり、その結果、ロシアの関与と犠牲がさらに拡大する可能性がある」

つまり、米国の対ロ戦略(ウクライナ戦争)と対中戦略(「台湾有事」)は、新冷戦下の世界戦略として計画され、策定されているということだ。ウクライナ戦争の開戦以来、米国のウクライナへの援助は、約3カ月で総額530億ドル(約6.7兆円)であり、その半分ほどが軍事援助だ。つまり、米国は、アフガン・イラクと異なり、ただの一兵の犠牲もなくロシア弱体化→欧州覇権の確保を成し遂げようとしているのだ。これを今、アジア太平洋でも実現しようとしているといっても過言ではない。

もちろん、このウクライナ戦争は、米国のNATO拡大戦略が背景にあるとはいえ、ロシアが国際法に違反するウクライナ侵攻を行っているという事実は明らかである。このロシアの大ロシア主義ともいえる帝国主義政策には厳しい批判が必要である。そして、この戦争の中、ロシア、ウクライナ双方の民衆、兵士らに膨大な犠牲が生じており、一刻も早い停戦が求められている。

しかし、米国の知識人、ノーム・チョムスキーが言うように、「米国はウクライナ人の最後の一人まで戦わせようとしている」という、この戦争の本質についても、私たちは深く認識しておくべきである。https://www.youtube.com/watch?v=yw5DvUgJlZA

小西誠(軍事ジャーナリスト・ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会オブザーバー)
http://nomore-okinawasen.org/


●私の「8・15宣言」 いまこそ、すべての戦争を否定し、憲法第9条を堅持するために「生命権」を主張しよう!

2022-08-15 13:30:18 | 旅行
●私の「8・15宣言」
いまこそ、すべての戦争を否定し、憲法第9条を堅持するために「生命権」を主張しよう!
 
――沖縄には「命どぅ宝」という、古くからあるすばらしい言葉がある。これは沖縄戦という凄まじい犠牲を強いられた人々が、心の底から血肉化した真理である。
今、ウクライナ戦争、そして「台湾有事」による対中国との戦争が叫ばれ始めているこの時、私は、戦後平和憲法の成立時に立ち返り、全ての戦争を否定する「生命権」(殺すな、殺されるな)を主張する。まさしく「命どぅ宝」を国際法として表現するのが、この生命権という主張だ。
 
日本国憲法は、その制定時に「平和的生存権」(前文)を明記し「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利」(第13条)を定めているが、この憲法を発展させたのが世界人権宣言・国際人権規約などの国際法などが定める「生命権」である。
 
この「生命権」により、全ての世界市民は「一切の戦争に動員されず、人を殺さず、殺されない権利」がある。
「生命権はもろもろの人権の中でも最優位にある人権である」(憲法学者・山内敏弘)。
「生命権―人間の生命は、基本法秩序の中において最高の価値である。すなわち、それは人間の尊厳のvital (核心的)な基礎であり他のすべての基本権の前提」(法学者・生田 勝義)
http://www.ritsumei.ac.jp/.../16-1/004ikutakatsuyoshi.pdf
 
万が一、世界市民は、他国から攻められた場合、「非武装実力抵抗闘争」を駆使する(その一環としての「無防備都市宣言」[ジュネーブ諸条約追加第1議定書第59条]を実施)。
 
それは、占領軍に対する市民の不服従、非協力に始まり、ボイコット、ストライキ、サボタージュ、行政的経済的非協力、デモ、座り込み、そして、もっとも有効な占領軍兵士らへの呼びかけなど、あらゆる方法での抵抗を行うが、これは武装的抵抗よりもはるかに犠牲が少ないことが証明されている(ジーン・シャープ著『市民力による防衛』)
 
*この国際的な「生命権」の主張、保障(それに基づくアジア的には「琉球列島非武装地帯化」)こそ、迫り来るヨーロッパ――アジア太平洋への戦争を回避する、唯一の、最後の方法である!
 
・世界人権宣言・第3条「すべて人は、生命、自由及び身体の安全に対する権利を有する。」(1948年発効)
 
・国際人権規約・第6条【生命に対する権利】
「すべての人間は、生命に対する固有の権利を有する。この権利は、法律によって保護される。何人も、恣意的にその生命を奪われない。」(1976年発効)
 
欧州人権規約・第2条(生命に対する権利)
「すべての者の生命に対する権利は、法律によって保護される、何人も、故意にその生命を奪われない。」(1953年発効)
 
・日本国憲法・第13条「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」                    
 
・写真は、サイパンのバンザイクリフ(この場所で多数の沖縄出身者を始めとした、約1万人が強制集団死に追い込まれた)

自衛隊、パワハラ厳しく処分 懲戒減らず、新規採用に懸念

2022-08-09 15:13:39 | 日記

●防衛省、パワハラなどの処罰基準の引き上げを決定!

防衛省・自衛隊は3月1日から、パワハラやいじめに対する処分基準を引き上げる。被害者に重傷を負わせた場合は原則として免職とする厳罰化方針を河野太郎防衛相が通達。背景には、処分件数に歯止めがかからず、イメージ悪化が自衛官の採用難につながりかねないとの懸念がある。

1等海佐、出入港情報漏えい 防衛相

 防衛省・自衛隊内のパワハラや傷害・暴行の懲戒処分案件は、2013年度が121件だったのに対し、18年度は159件と増加傾向にある。同省人事教育局は「相談窓口の設置や隊員の意識の変化により、年々実態が顕在化している」と説明する。
 自衛官の採用者数は、14年度以降5年連続で計画を下回っており、18年度の自衛官候補生の採用は計画の約7割にとどまる。少子化などの影響に加え、私的制裁もいとわない厳しい組織とのイメージから若者が敬遠している可能性もあるとみられる。
 新たな処分基準ではパワハラで全治1カ月以上の重傷を負わせた場合、従来の「16日以上の停職」を原則「免職」とし、最低でも「6カ月以上の停職」に引き上げる。全治1週間以上1カ月未満の傷害のケースは「停職6日以上15日以内」を「停職3カ月以上6カ月未満」に改定する。
 一方、重傷を負わせても、「被害者の態度が反抗的」「思わず感情的になって突発的な一回の平手打ちや殴打を加えたが、それ以上の暴行に至らなかった」などであれば、免職としない処分軽減の規定も設けた。
 河野氏は28日の記者会見で、厳罰化の理由について「処分基準が甘いという疑問があった。ルールを決め、若い人に安心して入隊してもらうことは大事だ」と語った。

◇パワハラ処分の新基準
 事案の概要       現行の処分           厳罰化後の処分
重傷(全治1カ月以上)  免職、降任、16日以上の停職  免職、降任、6カ月以上の停
                             職
傷害(全治1週間以上1  6日以上15日以内の停職    3カ月以上6カ月未満の停職
カ月未満)、複数回・
長期間の暴行
傷害(全治1週間未満)  1日以上5日以内の停職     1カ月以上3カ月未満の停職
、複数の平手打ち・足
蹴りなどの暴行   
胸ぐらをつかむ・壁に押  減給              1日以上5日以内の停職
しつけるなどの暴行
暴言、長時間の拘束など  訓戒・注意           減給、戒告、訓戒、注意


「自衛官人権ホットライン」の新サイト開設

2022-08-09 15:05:41 | 日記

自衛官の悩み事の相談! 現職・元自衛官を軸に運営されているサイトです。

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