感想いろいろなノート

本とか映画とかイベントとかの感想を書いています

「レジェンド」

2005-10-23 09:00:58 | まんが
「レジェンド」第1集、第2集 湊谷夢吉 チクマ秀版社

 1980年代に描かれた短編漫画群。
 この頃私は「慢金超」くらいまでは読んでましたが「エロトピア」までは読んでませんでした。だから、今回はじめて読みました。

 第1集は、太平洋戦争前や戦中を舞台にした作品が多く、当時の雰囲気、特に当時の中国大陸の怪しい雰囲気が出ている点が秀逸です。
 どれも面白かったんだけれども、京都の稀代の猥本発行人・梅林粗骨の話が一番好きかな。また、甲斐機関の女スパイが良い感じ。

 第2集にはSFがかった話が収録されているのですが、いくつかの作品の絵柄は大友克洋の影響がモロに出ていて、時代を感じさせます。しかし、「銀河探偵局事件簿」のシリーズあたりから、特徴的な丸い絵柄に変わって来ており、そこでお亡くなりになってしまったのは残念なことと思います。

 蛇足:「無用の大地」にでてくる山崎幹夫はこの方の名前が使われているとのことです。

「かわいいや」

2005-10-18 12:47:54 | まんが
「かわいいや」 竹本泉 芳文社

 「1冊まとまるのに6年かかってます」で「実はこのまんがライフワークだったってことでは?」ということなので、わざわざ取り上げますけれども、「ねこめーわく」の方が長いよ、まだ続いてるし。「のんのんじー」もまだ終わってないって言ってたし。

 ところで「のんのんじー」といえば、コピー地球の使いまわしの件なのですが、「トランジスターにヴィーナス」の最終回で出てきた高重力星の力持ち人間とシュトラトゥプ人の組み合わせは「あおいちゃんパニック」の世界ですよね。アシモフみたいに主要長編作品をみんなつなげるつもりなんでしょうか?「ねこめーわく」や「さゆりなパラレル」はもろにつながりそうですが、「ちまり」な魔法世界もつながるんでしょうかね??

 で、「かわいいや」の感想です。
 最初は、足が多かったり、ミイラだったり、フランケンシュタインって、そんなに不気味かね??ぬいぐるみでしょ??と思っていたのですが、読んでいくうちに、なかなか不気味かもしれないと思いはじめて、部屋にいっぱいあったりしたらやっぱり嫌だなぁ、とか思うようになりました。
 洗脳されたかも。いや、洗脳とは言わないかも?でも・・・う~む・・・

 本の帯(腰巻)にある「ずーっと伏線張ってたんですね~」っていうのが、何のことかすぐにはわからなかったのですが、よく読むとお兄さんのことだったんですね。

 あと、蛇足として、竹本泉が4コマまんがで納めようとしているのに4コマの枠からはみ出てしまうあたりから、4コマまんがという形式の限界と不自由さが、改めてわかったような気がしました。

「Dangerous to me」 Ladybird (CD)

2005-10-16 17:59:48 | 音楽
「Dangerous to me」 Ladybird (CD)

 16日に秋葉原をぶらついていたら、近くで歌声がするのでなんだろうと思ったら、ヤマギワソフトの入り口で外人さんがライブをやっておりました。
 良い歌声なので気に入って、その場でCD「Dangerous To Me」を買って、サインして貰って、一緒に写真を撮って貰って、握手してきました。

 以前、路上で「アルケミスト」(公式サイトへ)に出会ってから、こういう直感は大事にしているわけですが、誰かと思ったら、ラトビアの歌姫とのことで、すげー有名な人みたいじゃん。
 こんな素敵な歌手の存在を知ることが出来て本当によかったと思います。

 CDではダンスミュージックみたいなのが多いのですが、じっくり歌い上げる歌を聴くと、そっちの方が私の好みです。
 
 それから、私はシンディー・ローパーのファンでして、声がちょっとシンディー・ローパーに似ているところもある様な気がしたのですが、CD解説(妹沢奈美)によると「この人の歌声は七変化だ」とのことで、当たらずも遠からずかなっと。


関係者の方?のblog
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14日のお台場でのイベントの様子について
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公式サイト(ラトビア)
http://www.ladybird.lv/
公式ファンサイト(日本)
http://www.ladybirdinjapan.com/

「どこまで行けばお茶の時間」

2005-10-08 12:27:56 | 小説
「どこまで行けばお茶の時間」 アントニイ・バージェス サンリオSF文庫

 昔280円で買ったやつを先日読みました。すでに絶版で、今、古本で1000円とか2000円とかしていて、復刻の希望があるという小説です。

 「不思議の国のアリス」の男の子版。でも、はっきり言って日本人にはそんなに面白くないよ、これは。

 英国の歴史や文学などのパロディーが充満しているので、元ネタがしっかり身についていないと笑えなくって、ふーん、なるほど、という醒めた感じで物語が流れていってしまうんですわ。
 たとえば、「エクリプス」といわれても困っちゃうわけで、競馬だったら「さらばハイセイコー」とか「走れコータロー」でしょ?
 「エドワード王に6世はいない」は「徳川将軍は15代まで」だし、綱吉は頭の上に犬を乗せてるし、家康はじっと何かを待ってたりするわけ(鳴くまで待とうホトトギス)。
 すみません、冴えないたとえを出しました。

 この手の話は「元ネタを知らなくても笑える、知っているともっと笑える」というのが最上で、最近ではテレビのハッチポッチステーションがいい線を行っていて本当に笑っちゃいますよね。子供が知るわけがないネタを元に、堂々とパロディーをやって、子供番組として成り立っているのはまったくすごいと思います。

 それから、この小説は「元ネタを知らないから面白くない」というだけでなく、読者に元ネタの知識を強要するような感じがあって、つまんなくなっちゃっているようにも思いました。
 知識を総動員して凝りに凝って書かれている点は確かにすごいのですが、なんというか、ちょおっと「馬鹿っぽさ」が足りないというか、なんだか「楽しくない感じ」がするわけです。
 相対性理論が素のまま使われていたりするあたりも、芸がないというか、馬鹿っぽくないなぁと思うところです。

 以上、興味深く読めた怪作ではありましたが、いまいち突き抜けてないかなっと。