〘 …日本の医師の代表ではない
東京脳神経センター整形外科・脊椎外科部長の川口浩氏が言う。
「日本医師会は学術専門団体を名乗っていますが、現実には政治圧力団体のようになっています。中川会長らパーティーに参加した幹部は、コロナ云々より政治的つながりを保つことのほうが大事なのでしょう。われわれ医師からすれば、医師会は一部の勤務医が所属していても、基本的には開業医の集まり。 コロナ指定病院で、重症患者対応の最前線で体を張って戦っている医師のなかに、医師会会員はほとんどいません。 ところが、世間が中川会長を日本の医師の代表だと思ってしまうから困ります。現実には、医師会会員は日本の医師全体の半数程度。医師会の先生方にも、すごく優秀で見識が高い方も大勢いらして、彼らは“中川会長をはじめとする幹部たちは、個人の見解を勝手に喋っているだけ”と訴え、また、メディアで医療崩壊だと無責任に煽っているのを、冷めた目で見ています」
では、中川会長はいま、なにをすべきか。
「本当に彼が医療の代表なら、やるべきは医療の逼迫を改善すること。重症病床の使用率を示す分子は重症患者数で、政府や分科会は分子の縮小に躍起になって迷走していますが、医師会は確保病床数という分母の拡大に尽力すべきです。具体的には後方支援病床を拡大すること。PCR検査で2回陰性になっても基礎疾患の悪化で入院している患者は、コロナ感染症は治癒して、ほかの合併症で入院していることになる。感染力のなくなった患者を本来の合併症名に変更し、指定病院から一般の後方病院に転院させれば、指定病院の入院患者の回転が上がって、ベッドが空きます。そういうシステム構築にこそ、医師会は着手すべきです」
第1次安倍内閣などで厚生労働大臣を務めた、前東京都知事の舛添要一氏も、
「医療崩壊を起こさないように病院の編成替えをするのは、行政も関わる話だけど医師会の仕事。ところが、それをサボっている」
と指摘し、こう続ける。
「私が厚労大臣のときに一番対立したのは日本医師会でした。当時、新型インフルエンザが流行し、やはり医師不足で、妊婦さんがたらい回しになった挙句亡くなることもあった。救急病院に行っても医師がいないような状況でしたが、“医者は余っているから増やしてはいけない”と反対したのが医師会でした。病院が乱立する駅前に、もう1軒できると儲からなくなるという理由です。そこで私は11年ぶりに閣議決定を変更してもらい、医者の数を増やしたのですが、その後、元の木阿弥になってしまった。でも、欧米にくらべれば患者数は相対的に少ないのだから、病床さえ確保されていれば緊急事態宣言だって出す必要はないのです」
たしかに、医師会が後方支援態勢をふくめ患者の受け入れ態勢を築けば、中川会長のような〈健康で文化的な明るい生活〉を、それこそ医師会の「綱領」にあるように、国民が送るのを支えられるはずである。… 〙
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