※本館「現代編」設定の2人です※
何も答えないままスタスタと歩き出すと、高彬も当然のように歩き出した。
彼女持ちのオトコとなんか、絶対に口なんか聞いてやるもんですか───
そう決意して口を真一文字にしていると
「もしかしてお父上と喧嘩でもしたの?」
のんびりとした口調で高彬が話しかけてきた。
「もしそうなら・・」
「・・・」
違うと言う意思表示に、頭をぶんぶんと振る。
違うわよ。
「じゃあ何か、感動する本でも読んだ?」
「・・は?どう言う意味?」
あまりに突拍子もない質問に、口を聞かないと決めたことも忘れて、思わず聞き返してしまう。
「いや、もしかしたら女性が自立する話でも読んで、それに感化されて、それで送り迎えはいらないとでも言ったんじゃないかと・・」
「・・・」
あたしは立ち止まって高彬の顔をまじまじと見てしまった。
一体どうしたら、そう言う手の込んだ想像が出来るのかしら?
その割に、肝心な所で鈍いと言うか、頭が回らないと言うか・・・。
いつからあたしが避けるようになったかを考えれば、少しは勘が働きそうなものなのに。
「あのね、高彬。言っておくけどあたしは本なんか読んでないわよ。だから誰にも感化されてなんかないし・・」
そこまで言ったところで、遠くから大きな声が聞こえた気がしてあたしは言葉を切った。
声のした方に目をやると、5、6人の子どもの集団がこちらに向かい走ってくるのが見える。
近づくにつれ顔が判明し───
いつもこの辺りですれ違う、小学生の軍団だった。
何度もすれ違ってるうち、あたしたちのことを「お兄ちゃん」「お姉ちゃん」と呼び懐いてくるようになったのだ。
「こんにちはー!」
一番小さい女の子に抱き付かれ、あたしは優しい声で「こんにちは」と言いながら女の子の頭を撫ぜた。
「お姉ちゃんたちも今帰りなの?」
「そうよ」
またしてもにっこりと返事をする。
「今日、宿題、すっげぇ多いんだぜ。やんなっちゃうよ」
「今日の給食、デザートにアイスが出たのー」
口々に発せられる言葉に笑顔で頷く。
いくら高彬とケンカしてようが(高彬はどう思ってるか知らないけど、あたしにとってはケンカよ!)この子たちには関係ないものね。
いつも通り、振る舞わないと。
うーん、あたしってば大人!
一人悦に入ってると
「ねぇねぇ、お兄ちゃんとお姉ちゃんは、恋人同士なの?もうチューしたの?」
突然、三年生くらいの女の子が聞いてきた。
「ち、違うわよ!た、ただの幼馴染よ!」
かぁっと頭に血が上ってしまう。
もうもう、何なのよ!バットタイミングでの、選りによってのこの質問!
実際ね、前にも何回か似たようなことを聞かれたことはあるの。
でも、昨日の今日で、この質問はないわよ。
高彬、どう思ってるんだろ・・・
ちらりと顔を窺うと、案の定、困ったような顔をしていて、分かってたこととは言え、あたしはズドーンと落ち込んでしまった。
子どもたちに「付き合ってるの」と聞かれて、あたしが「違うわよ、ただの幼馴染よ」と答えるのはいつものパターンなんだけど、高彬は一度だってそれを否定してくれたことはないもの。
ウソでも言いから
「さぁ、どうかな。この先は分からないよ」
くらい言ってくれたら、あたしだって少しは希望を持てるって言うのに。
ま、そんなこと、オンナ心に鈍感な高彬に求めても無理なんだけどね。
子どもたちと手を振り別れたところで、あたしはまた口を真一文字にして歩き出した。
少しの間に太陽が動いたみたいで、さっきよりも影が長くなっていて、吹く風が少しだけ肌寒い。
ついこの間まで暑かったのにな・・・
「瑠璃さん、後夜祭のことなんだけどさ」
高彬の発する「後夜祭」と言う言葉に、心臓がトクンと鳴った。
<続>
後夜祭、瑠璃を誘って欲しい高彬にクリックで応援をお願いいたします。
(長く更新を休んでいるとクリックがランキングに反映されづらくなるそうで、それがいつ解除になるのかわかりませんがよろしくお願いいたします)
↓↓
にほんブログ村
何も答えないままスタスタと歩き出すと、高彬も当然のように歩き出した。
彼女持ちのオトコとなんか、絶対に口なんか聞いてやるもんですか───
そう決意して口を真一文字にしていると
「もしかしてお父上と喧嘩でもしたの?」
のんびりとした口調で高彬が話しかけてきた。
「もしそうなら・・」
「・・・」
違うと言う意思表示に、頭をぶんぶんと振る。
違うわよ。
「じゃあ何か、感動する本でも読んだ?」
「・・は?どう言う意味?」
あまりに突拍子もない質問に、口を聞かないと決めたことも忘れて、思わず聞き返してしまう。
「いや、もしかしたら女性が自立する話でも読んで、それに感化されて、それで送り迎えはいらないとでも言ったんじゃないかと・・」
「・・・」
あたしは立ち止まって高彬の顔をまじまじと見てしまった。
一体どうしたら、そう言う手の込んだ想像が出来るのかしら?
その割に、肝心な所で鈍いと言うか、頭が回らないと言うか・・・。
いつからあたしが避けるようになったかを考えれば、少しは勘が働きそうなものなのに。
「あのね、高彬。言っておくけどあたしは本なんか読んでないわよ。だから誰にも感化されてなんかないし・・」
そこまで言ったところで、遠くから大きな声が聞こえた気がしてあたしは言葉を切った。
声のした方に目をやると、5、6人の子どもの集団がこちらに向かい走ってくるのが見える。
近づくにつれ顔が判明し───
いつもこの辺りですれ違う、小学生の軍団だった。
何度もすれ違ってるうち、あたしたちのことを「お兄ちゃん」「お姉ちゃん」と呼び懐いてくるようになったのだ。
「こんにちはー!」
一番小さい女の子に抱き付かれ、あたしは優しい声で「こんにちは」と言いながら女の子の頭を撫ぜた。
「お姉ちゃんたちも今帰りなの?」
「そうよ」
またしてもにっこりと返事をする。
「今日、宿題、すっげぇ多いんだぜ。やんなっちゃうよ」
「今日の給食、デザートにアイスが出たのー」
口々に発せられる言葉に笑顔で頷く。
いくら高彬とケンカしてようが(高彬はどう思ってるか知らないけど、あたしにとってはケンカよ!)この子たちには関係ないものね。
いつも通り、振る舞わないと。
うーん、あたしってば大人!
一人悦に入ってると
「ねぇねぇ、お兄ちゃんとお姉ちゃんは、恋人同士なの?もうチューしたの?」
突然、三年生くらいの女の子が聞いてきた。
「ち、違うわよ!た、ただの幼馴染よ!」
かぁっと頭に血が上ってしまう。
もうもう、何なのよ!バットタイミングでの、選りによってのこの質問!
実際ね、前にも何回か似たようなことを聞かれたことはあるの。
でも、昨日の今日で、この質問はないわよ。
高彬、どう思ってるんだろ・・・
ちらりと顔を窺うと、案の定、困ったような顔をしていて、分かってたこととは言え、あたしはズドーンと落ち込んでしまった。
子どもたちに「付き合ってるの」と聞かれて、あたしが「違うわよ、ただの幼馴染よ」と答えるのはいつものパターンなんだけど、高彬は一度だってそれを否定してくれたことはないもの。
ウソでも言いから
「さぁ、どうかな。この先は分からないよ」
くらい言ってくれたら、あたしだって少しは希望を持てるって言うのに。
ま、そんなこと、オンナ心に鈍感な高彬に求めても無理なんだけどね。
子どもたちと手を振り別れたところで、あたしはまた口を真一文字にして歩き出した。
少しの間に太陽が動いたみたいで、さっきよりも影が長くなっていて、吹く風が少しだけ肌寒い。
ついこの間まで暑かったのにな・・・
「瑠璃さん、後夜祭のことなんだけどさ」
高彬の発する「後夜祭」と言う言葉に、心臓がトクンと鳴った。
<続>
後夜祭、瑠璃を誘って欲しい高彬にクリックで応援をお願いいたします。
(長く更新を休んでいるとクリックがランキングに反映されづらくなるそうで、それがいつ解除になるのかわかりませんがよろしくお願いいたします)
↓↓
にほんブログ村