バレンタインの夜に。パート15

2017-02-28 | ss(バレンタイン)
社会人編のバレンタインネタの続きです。
セクシャルな表現がありますので、苦手な方は閲覧ご注意ください。




*********


下にさがり、瑠璃さんの脚を開いて顔をうずめると、瑠璃さんは言葉にならない声を上げ身をよじってきた。

秘所にキスをし確認してみるとしっかりと濡れていて、「だめ」だの「やめて」だの言いながらも瑠璃さんの身体は反応している。

そりゃあ、そうだろう。

何度も達し充分に昂められた身体は、今の愛撫だけですぐに火が付くはずだった。

閉じようとする脚を半ば強引に広げて舌をゆっくりと這わせる。

焦らしながらも、感じるところを丹念に舌先で弄って行くと

「・・あぁ・・」

瑠璃さんは思わずのように声をあげた。

ぼくの舌の動きに合わせ、変化する瑠璃さんの声はまるで楽器のようにも聞こえ、気が付いたら瑠璃さんは泣きそうな声をあげていた。

今日だけで、もう何度も聞いた瑠璃さんの声で、瑠璃さんがいきそうになっているのだと言うことはすぐに判った。

「瑠璃さん、いきそう?いきたい?」

顔を上げ聞いてみると、肯定とも否定とも取れるように瑠璃さんは頭を振り、そうして縋るような目でぼくを見てきた。

「おいで」

身体を反転し瑠璃さんを上に乗せ抱きしめると、くったりとぼくに身体を預けてくる。

「瑠璃さん。バレンタインだし初めてのこと、して、いい?」

ぼくの胸に顔をうずめる瑠璃さんの髪をかき上げながら言うと、しばらく瑠璃さんからの返事はなく、まさか寝たのかな?と心配になった頃

「・・初めてのことって?」

ゆっくりと頭を上げ、瑠璃さんが心配と不安を滲ませた声で聞いてきた。

「瑠璃さんが・・・上になるってこと」

「・・・」

「解る?ぼくの言ってること」

「・・・」

瑠璃さんの身体が固まり、そのリアクションから瑠璃さんが十分に意味を理解してると言う事が察せられた。

女子高様々、ではある。

「いい?」

「・・・恥ずかしい・・かも・・」

「ぼくしか見てないよ」

「でも・・」

「武士魂を持ってしてもだめ?」

「・・・武士にも、出来ることと出来ない事が・・」

「・・・」

瑠璃さんはぼそぼそと呟き頭を横に振った。

無理強いするわけにもいかないし、また次の機会にでも・・と諦めかけていると

「・・・もし・・したとしたら、目、瞑ってってくれる?」

この短い時間で一体、どんな心境の変化があったのかは判らないけれど、瑠璃さんの方からそう言ってきた。

「え・・、あ、うん・・」

確約は出来ないし、それどころか絶対に目は開けると判っていたけど頷くと、瑠璃さんはゆっくりと上体を起こした。

薄暗い寝室でも顔が赤いのがわかる。

「高彬、もうちょっと上に来て」

「・・うん」

瑠璃さんは位置を調節すると、大きく息を整えた。

「絶対、絶対、目、瞑っててよ」

「・・・・」

「開けたら絶交よ」

「う、うん」

「・・・」

「目、瞑った?」

「うん」

瑠璃さんはそっと身体を沈めてきた。






~もうちょっとです。(「社会人・武士編」本館に関係なく勝手に連載中)


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バレンタインの夜に。パート14

2017-02-27 | ss(バレンタイン)
社会人編のバレンタインネタの続きです。
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バスタオルごと瑠璃さんをベッドに置くと、案の定、瑠璃さんは早や夢の中・・と言う感じで気持ちよさそうに目を閉じている。

瑠璃さんはもう何度か達しているわけだから、こうなるのも仕方ないのかも知れないけど・・

でも、ぼくとしては少し、と言うかかなり物足りない。

「瑠璃さん・・」

頬に手を当て言ってみると、瑠璃さんは

「・・うぅん・・」

とぼんやりした声を上げ、そうしてぼくの手の平に頬をこすりつけてきた。

夢でも見てるのかも知れないし、寝ぼけているのかも知れない。

ベッドサイドの時計は「00:57」と表示されていて、このまま就寝してしまったら、次に目が覚めるのは間違いなく朝だろうと思われる。

ぼくは瑠璃さんに軽くキスをしてみた。

1回、2回、3回・・・と続けざまにしてみても瑠璃さんが目を覚ます気配は一向になく

(仕方ないか・・)

とぼくは溜め息をついた。

仕方ないけど、瑠璃さんの同意なしに始めるしかないだろう。

たまにはいいよな。

バレンタインなんだし。

さっき、あれだけ焦らされたんだし。

手を伸ばしかけ、ふと、瑠璃さんの髪の毛先がシャワーのせいでかなり濡れていることに気が付き、エアコンのスイッチを入れた。

少し高めの設定にすると、送風口からはすぐに暖かい風が出てきて、これなら瑠璃さんが風邪をひくこともないはずだ。

バスタオルを外すと瑠璃さんの裸体があらわれ、規則正しい寝息のリズムそのままに、胸が薄く上下している。

先端を口に含み舌先で転がしてみると、瑠璃さんは少し反応を示したものの、やっぱり目を覚ますこともなく眠り続けている。

どこまで瑠璃さんが目を覚まさないか試してみたい気持ちになり、少し大胆に舌を動かしてみる。

円を描くようにして先端を吸い上げる。

音を立てるくらいに吸ってみても瑠璃さんはスヤスヤと眠っていて、ぼくは呆れかえってしまった。

何が武士だ。

この無防備さ、武士失格もいいとこじゃないか。

瑠璃さんに覆いかぶさり、本格的に愛撫を始める。

片方の手で乳房を揉みしだきながら舌で吸い上げていると

「・・・うぅぅ・・ん・・」

遅ればせながら敵の気配を察したのか、瑠璃さんは身をよじり、だけどその仕草はやけに緩慢で、却って色っぽいとさえ見えるほどだった。

「たか・・あき・・ら・・、ら、めぇ・・、ら・・め・・て・・」

どうやら「高彬、ダメ、やめて」と言っているのだと判ったけれど、呂律の回ってない言葉は、まるでどこか違う星の言葉のようにも聞こえ、思わず吹きだしそうになる。

武士になったり、違う星の人になったり、まぁ瑠璃さんも忙しい人ではある。

だけど「やめて」と言われたからと言って止める気などさらさらないわけで、それどころかぼくは更に愛撫を強めていった。

動けないように身体を封じ込めながらキスをし、舌を絡ませながら乳房をまさぐる。

「いやぁ・・、高彬・・。もう・・眠い・・の・・、明日・・・会社だし・・」

さすがに随分と目が覚めたのか、逃げるように身をよじらせながら、途切れ途切れだったけど、今度ははっきりとした口調で瑠璃さんが声を上げた。

「瑠璃さんは寝てていいから」

この状況で寝られるものならね、と心で付け足して、さらに愛撫を続けて行くと

「・・あぁ・・」

やがて瑠璃さんの口から甘い吐息が漏れだし、ぼくはそれが合図のように下へとおりていった。






~もうちょっとだけ続きます。(「社会人・武士編」本館に関係なく勝手に連載中)


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バレンタインの夜に。パート13

2017-02-26 | ss(バレンタイン)
社会人編のバレンタインネタの続きです。
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「瑠璃さん、ごめん。立って後ろ向いて」

急に立ち上がったぼくに驚いたように下から見上げてくる瑠璃さんの手を取り、立ち上がらせる。

「え・・」

シンクに手を付かせ、後ろから貫こうと思った瞬間、ふと気になることがあった。

「・・・・」

寝室に、あるんだけど・・・。

今は取りに行くその時間さえも惜しいと思うほどに、ぼくも相当、切羽詰まっていた。

「瑠璃さん。今日は大丈夫な日?」

腰に手を回したまま後ろから聞くと、横顔の瑠璃さんの目が何かをカウントするかのように思案気に動き、そうしてコクンと頷いた。

「じゃあ、付けずに挿れるよ」

腰を引き寄せ密着させた瞬間

「あ・・、待って」

と言う、何とも緊迫感のない瑠璃さんの声が聞こえた。

「何」

短く聞き返すと、瑠璃さんは顔だけ振り返り

「チョコクリーム、付いたままかも」

「いや、それは瑠璃さんがさっき全部舐めただろ」

「わかんないわ、高彬、途中で急に立ち上がるんだもん・・」

じぃっとぼくの顔を見ている。

「・・・」

くっそー、そう来たか。

焦らしやがって。

それもわざとだろ。

何の戦法だよ。

そっちがその気なら・・

「おいで」

腕を掴み、そのまま風呂場に直行する。

「ちょ、ちょっと・・・、高彬」

瑠璃さんが何か言ってきたけど、無視してすぐに熱いシャワーを出した。

瑠璃さんと自分の身体に手早くシャワーを掛け、そのまま瑠璃さんを後ろに向かせ壁に手を付かせる。

「腰、出して」

「電気・・」

「いいから」

この際、煌々と電気の点いた風呂場でやってやる。

いい加減、こっちも・・・限界なんだから。

腰を両手で押さえながら一気に貫くと

「あっ・・!」

瑠璃さんは短い声を上げた。

「待って、待って、高彬・・」

この後に及んで何を言ってるんだ、瑠璃さんは。

待つわけないだろう。

シャワーを出しっぱなしにしたままの浴室はすぐにもうもうとした湯気が充満し、その中に瑠璃さんの甘い声が反響し出した。

定まらない瑠璃さんの身体を抱きかかえながら強く打ち付けて行くと

「い・・やぁ・・」

追い詰められた時に出る声が瑠璃さんの口から洩れ、それと判るくらいに膝が震えだした。

「瑠璃さん、いく時言って。ぼくもいくから」

「・・・あぁっ。高彬・・・」

「瑠璃さん・・」

「・・あぁ!」

瑠璃さんの身体が張りつめ、腰が震え、中が波打った。

「瑠璃、さん・・!」

瑠璃さんがいったのを見届け、ぼくも達した。

今にも崩れ落ちそうな瑠璃さんを支えながら息を整えていると

「高彬・・、座りたい・・」

疲れ切った声で瑠璃さんが言い

「寝室、行こうか」

ぼくも息の乱れたままの声で言ってみると、少し考えて瑠璃さんはコクリ、と頷いた。

引き抜き、きちんと瑠璃さんの身体にシャワーを掛けてやると、瑠璃さんは目を閉じ、何だか今にも眠りに就きそうに見える。

「眠い?」

「・・うん・・」

「泊まってく?」

シャワーを胸元に掛けながら聞くと

「・・うぅん・・」

目を閉じたままの瑠璃さんの眉間に思案気な皴が寄った。

「泊まってきなよ」

「でも、明日、同じ服着てくのも・・」

「朝、早めに出て瑠璃さんちに寄ってあげるから」

「・・・・」

「ね、そうしなよ」

「・・・うん」

瑠璃さんが頷き、シャワーを止めると浴室のドアを開けた。

冷たい空気が流れ込んでくる。

瑠璃さんと一晩、過ごせる────

バスタオルに包んで瑠璃さんをベッドに運ぶ。






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バレンタインの夜に。パート12

2017-02-25 | ss(バレンタイン)
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「あのぅ・・、高彬」

今まさに唇が触れると言うその手前で、瑠璃さんが困ったような声を出した。

下からじっとぼくを見上げてくる。

「何」

「その・・、やっぱり座ってもらえる?・・届かないの」

「・・・・」

「目測を誤ったみたいで・・」

「・・・・」

目測を誤る・・・。

この段に来ての、まさかの小難しい言葉に思わず絶句していると

「ほんと、申し訳ないんだけど」

ぼくが返事しないでいるのを何と勘違いしたのか、律儀に謝ってきた。

「い、いや、別に、座るのは全然構わないんだけど・・・」

イスに座ると瑠璃さんは満足そうに頷き、ぼくの前に膝まずき「では、改めて・・」なんて独りごちている。

「出来れば、目を瞑っててもらえる?」

「わかった。そうするよ」

瞑るわけないけど二つ返事をすると、瑠璃さんは疑う様子もなく

「そうしてもらえると助かるわ」

なんて言い、そうしてそっと口に含んできた。

「・・・」

敵の戯言を真に受けるなんて武士失格だろ・・

瑠璃さんのことを見下ろしながら

(瑠璃さんも、こういうの知ってたんだな)

なんて思う。

前に女子高がどうとか言ってたから、そこで得た知識なのかも知れない。

決してテクニックがあるとかそういうわけではないけれど、でも、好きな人にこんなことをされて気持ち良くないはずがなく、いや、むしろ相当に気持ち良くなってきて

(このままだとマズイな・・)

と思い始めた時、ふいに瑠璃さんが口を離した。

そうして、まるで25メートルプールを泳ぎ切った後の人みたいに、ぼくの膝に手を付きながらはぁはぁと言っている。

「ど、どうしたのさ、瑠璃さん」

びっくりして言うと

「・・・息が・・苦しい・・」

「息?・・瑠璃さん、ちゃんと息してる?息止める必要はないんだから」

「う、うん。そうよね」

目をシロクロさせている。

「・・・・」

いや、瑠璃さんは至極真面目なんだろうけど・・

「それに・・、顎が痛くなっちゃって・・」

「・・・」

「ほら、普段、使わない筋肉だから・・」

「筋肉・・・」

あれって筋肉を使うんだろうか、と思ったけど、ぼくには判らないことだから取りあえず黙っておく。

「あたしも最近、運動不足だから・・イヤになっちゃう」

ぶつぶつと言い訳がましく呟いていた瑠璃さんは

(あ)

と何かを思い付いた顔になった。

「ねぇ、高彬」

「うん」

「・・チョコクリーム塗ってもいい?」

「えっ」

「頑張れると思うの」

「・・・」

が、頑張れる・・・

い、いや、まさか、瑠璃さんからその提案が上がってくるとは・・・

「だめ?」

「・・瑠璃さんが良ければ、ぼくがダメってことはないけど」

瑠璃さん、自分で何言ってるかわかってるのかな。

瑠璃さんは立ち上がるとシンクからボウルを持ってきた。

脇に置き指先でチョコクリームを掬い取り、そうしてそれを先端に付けると口に含んできた。

「・・・」

チョコクリームを舐めとろうとするためなのか、さっきよりも格段に舌が執拗に纏わりついてきて・・・

(マズイな・・)

相当に我慢する羽目になり

「瑠璃さん・・、ごめん、いったん・・休んで・・」

瑠璃さんの頬に手を添えて上を向かせると、口を離した瑠璃さんはぼくの顔を見ると

「まだ大丈夫よ。美味しいもの」

「・・・・」

目を閉じ、息を吐く。

瑠璃さん。

どうして、そう、オトコが興奮する言葉をサラッと言うんだよ。

そりゃ、チョコクリームのことを言ってるんだろうってことはわかるけどさ。

オトコのものを口に含んだ後に「美味しい」とか・・・

わざとだろ。

反則だろ。

立ち上がろうか、それとも瑠璃さんを上に乗せようか、一瞬、迷って立ち上がった。






~長くなってしまいますが、まだお付き合いいただけますでしょうか?(「社会人・武士編」本館に関係なく勝手に連載中)


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バレンタインの夜に。パート11

2017-02-24 | ss(バレンタイン)
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瑠璃さんの指先がベルトの金具を外していく。

上から見る瑠璃さんの顔はものすごく真剣で、きっと切腹する前の武士だってこんな顔はしないだろうと思われた。

「外しました」

ベルトを外した瑠璃さんは顔を上げると、これまた神妙な声で言ってきた。

何で敬語なんだ、つくづく武士だな、と思いつつ

「じゃあ、ワイシャツを脱がしてもらおうかな」

そう言うと、瑠璃さんは黙って頷くと立ち上がりワイシャツに手を掛け、ぼくも瑠璃さんが脱がしやすいように身体を動かす。

ワイシャツを軽く畳んでテーブルに置くと、瑠璃さんは

「・・次は?」

と、なかなかに気概のあるところを見せるのもおかしく

「靴下をお願いしようか」

吹きださないようにわざと重々しい声で言うと、またしても瑠璃さんは真面目な顔で頷き、膝を付いた。

足首に瑠璃さんの指先が当たりスルリと靴下が脱がされる。

瑠璃さんは二足をきちんと揃えると、半分に折り畳みテーブルの下に置いた。

次の指示を待つかのように黙ってぼくを見上げる顔が、まるで従順な仔犬のようにも見えて微笑みを誘われる、と言う風情ではある。

小さく笑い掛けながら

「次は瑠璃さんが脱がしたいものを、脱がしてくれたらいいよ」

試しに言って見ると

「・・・」

一瞬、仔犬顔の眉が困ったように下がり、それでも瑠璃さんは立ち上がるとシャツを脱がしてくれた。

上半身裸になったぼくから瑠璃さんはちょっとだけ目を逸らし、あらぬ方を見た後、意を決したようにぼくの前に膝まずくと、おずおずと手を伸ばしズボンのフックに手を掛け───

「あのぅ・・、電気、消してもらえる?」

下から仔犬顔が言ってきた。

「明る過ぎて、ちょっと」

「ぼくは一向に構わないけど」

瑠璃さんはブンブンと頭を振ると

「あたしが恥ずかしいのよ。高彬・・・、さっきからじろじろ見るんだもの」

「・・・」

なんだ、バレてたのか。

でも、当たり前じゃないか。

オトコには見る楽しみもあるわけで、滅多に見られない瑠璃さんの艶姿、そりゃあ鮮明に見たいと思うに決まってる。

「・・・」

だけど、ここで無理を押して瑠璃さんに「やーめた」などと言われたら元も子もないから、ぼくは譲歩することにした。

「わかった」

リモコンが近くになかったから立ち上がりスイッチを切り、代わりにダウンライトを点ける。

「これくらいの明るさならいい?」

瑠璃さんは自分の両手を目の前にかざして裏表に動かし、何を確認したのかは解らなかったけど、納得したのか頷いて見せた。

近づいて瑠璃さんの前に立つと

「えっと・・・、あたしが座る?高彬が座る?」

ジェスチャーを交えて聞かれ

「どっちでもいいよ」

またしても吹き出しそうになるのを堪える。

いや、笑っちゃ悪いんだろうけど、全く瑠璃さんは────

少し考えてた瑠璃さんは

「じゃあ、あたしが座るわ」

と膝まずいた。

瑠璃さんの中にどんなビジョンがあるのか、またしても解らなかったけど、まぁぼくに異存はない。

「・・失礼・・します」

もごもごと言うと、慣れない手つきでズボンのフックを外し、次いで指先でファスナーを下ろした。

両脚からズボンを抜き、いったんぎゅっと目を閉じたあとに下着に手を掛けてきた。

さすがに瑠璃さんに余裕はなかったのか、ズボンも下着も畳まれることなく放置されている。

前にホテルの風呂場で、瑠璃さんは手で洗ってくれたことがあったけど、だけどそれより先のことはしたことがなく

(瑠璃さんはどうするのかな)

と思っていると、瑠璃さんは手を添えると唇を近づけてきた。






~もう少し続きます。描写が細かくてかたじけないです。(「社会人・武士編」本館に関係なく勝手に連載中)


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バレンタインの夜に。パート10

2017-02-23 | ss(バレンタイン)
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「高彬っ・・・」

うわ言のように瑠璃さんはぼくの名前を呼び、更に指先に力が入る。

背がしなり瑠璃さんの身体が張りつめて行ったと思ったら

「・・あぁっ・・!」

小さく叫び、そのままぼくにしなだれかかってきた。

ぼくの耳に掛かる瑠璃さんの息は熱く、まるですすり泣きにも聞こえるような息づかいで、瑠璃さんの身体を受け止め膝に座らせる。

後ろから抱きしめてやりながら、髪をかき上げ項にキスをすると、瑠璃さんの首筋はうっすらと汗ばんでいた。

両手で乳房を覆うと、手の平に瑠璃さんの早い鼓動が伝わってくる。

顔だけをこちらに向かせ

「いった?」

そう聞くと、瑠璃さんはコクンと小さく頷き、その目は今度こそ本当に潤んでいた。

しばらく後ろから抱きしめていると、喉が渇いたと言って瑠璃さんは立ち上がり、そうして自分だけが裸だったことを思い出したのか恥ずかしそうに振り返り───

ハッとしたように動きを止めた。

瑠璃さんの目はどこか一点を見ているようで、その視線の先を辿ると───

「ごめんね、高彬・・・」

消え入るような声で瑠璃さんは言い、そのあまりに気まずそうな顔にぼくは笑いが漏れてしまった。

「いいよ、全然」

「・・・・」

瑠璃さんが今まで座っていたぼくの膝の上に、染みがあったのだ。

薄目のグレーのスーツに出来た小さな染み。

瑠璃さんが付けた染み。

「クリーニング出して返すから。脱いで」

「いいって」

今度こそ吹きだしてしまう。

「それよりさ」

ぼくはイスに座ったまま、瑠璃さんの手を取った。

「そろそろ、ぼくも・・・いいかな」

染みなんかより、どうにかしたい重要課題がぼくにはあるわけで、瑠璃さんもそれは解ってくれているのか

「そ、そうよね。今日の主役は高彬なのに、さっきからあたしばっかり・・・申し訳ないわ」

真面目な顔で言ってきた。

いったん落ち着いた瑠璃さんには、またしても武士魂が戻ってきたようだった。

そのうち「かたじけない」とか言いだすんじゃないだろうか。

「主役、ね」

瑠璃さんがどっちの方向に申し訳ないと思ってるのかは定かじゃないけど、ぼくを主役と思ってくれてることは大歓迎だ。

瑠璃さんの佇む姿が、何だかぼくの指示待ちのようにも見えて

「じゃあ、まずは瑠璃さんにワイシャツを脱がしてもらおうかな」

そう言うと、瑠璃さんは素直に頷いて首元に手を伸ばしてきた。

真剣な顔でネクタイを解きにかかり、上手くいかないのか(あれ、あれ・・)なんて口の中で呟いている。

心意気はあるけど、どうやら武士は不器用なようである。

瑠璃さんが作業しやすいように気持ち顎を上げていると、目の前には瑠璃さんの両乳房があるわけで、まったくもって瑠璃さんがぼくに「申し訳ない」と思う必要なんてないのだ。

目で楽しむ、と言うのは、女の人はしないのかな・・・

ようやく解けたネクタイをテーブルに置くと、次いでワイシャツのボタンを外しにかかった。

一番上のボタンと言うのは自分でも外しずらいものだし、案の定、瑠璃さんは苦戦していて、段々と寄り目になって行くので吹きだしそうになる。

「自分でやろうか?」

「大丈夫、やらせて」

「・・・」

瑠璃さんのことだから、きっとまた変なところに目標を掲げてるんだろうと思ったけど、取りあえず黙っていた。

ようやく外すと、次のボタンからは案外、早かった。

どんどん外して行き、お腹まで行った所で瑠璃さんがぼくの顔を見た。

「・・・」

「・・・ベルトも外して」

コクリと頷くと、瑠璃さんは膝まづき、そうしてベルトの金具に指を掛けた。






~すみません、もう少し続きます。(「社会人・武士編」本館に関係なく勝手に連載中)


ここからが瑠璃の頑張りどころ。武士の本領発揮して、何とか高彬の目を潤ませて欲しい瑠璃にクリックで応援をお願いいたします。
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バレンタインの夜に。パート9

2017-02-22 | ss(バレンタイン)
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「あっ」

引き寄せ、先端を口に含んだのと、瑠璃さんが声を上げたのが同時だった。

外したばかりのネックレスが瑠璃さんの手から足元に落ち、横目でそれを捉えながらも、拾ってあげる余裕はなかった。

後ろにあったダイニングのイスを足で動かし腰掛けると、ちょうどいい高さになり、更に瑠璃さんを引き寄せ背中に手を回す。

指先に残っていたチョコクリームを乳房と先端に塗りつけると

「あっ、ダメ」

瑠璃さんは短く叫び、抗議の声だとわかったけど無視をする。

確かに瑠璃さんがいいと言うところにしか塗らないと言ったけど、残念ながらぼくは武士じゃない。

二言も三言もあるのだ。

美味しそうな身体があったら、さらに美味しくいただきたいと思うのは、当然のことだろう。

チョコクリームを舌で舐め取り、そのまま先端を舌で転がしつつ、片手で乳房を揉みしだくと、瑠璃さんの息遣いが乱れてきた。

ダメ、と言いながら、瑠璃さんだって感じてるんじゃないか・・・

その思いと事実が、どんどん自分を煽っていくのがわかる。

下着の上から秘所をなぞると、瑠璃さんの腰がびくりと震え背中がしなった。

「高彬、電気消して・・・。明るい・・・」

今頃、リビングの明かりに気が付いたのか、泣きそうな声で瑠璃さんが言い、ぼくは首を横に振った。

「消したら、よく見えないじゃないか」

「・・・」

瑠璃さんは絶望したような顔で目を瞑り、じっとぼくの愛撫に耐えているようだった。

下着に指を滑り込ませ、直に触れると

「ああぁ・・」

声を震わせ、瑠璃さんはそろそろ一人で立っているのも辛くなってきたのかぼくの肩に指先を乗せてきた。

更に指を滑り込ませていくと

「あぁ・・、いやぁ・・」

ワイシャツに皴が寄るほどにしがみついてくる。

下着を下ろして足から外してやると、瑠璃さんは一糸纏まぬ姿になり、ぼくは一瞬だけ、動きを止めてしまった。

何と言うか───

瑠璃さんは裸だけど、ぼくはスーツ姿なままなわけで・・・・

何だかオフィスでそのまま瑠璃さんを抱いているような、そんな錯覚に陥ってしまったのだ。

「・・・・」

その倒錯的な思いは、思いがけず身震いするほどの興奮をぼくにもたらし、と同時に

(こんなことを思うなんて、もしかしたらぼくは本当に少し変態なのかも知れないな・・)

そんな思いがちらと頭を掠める。

だけど、そんな分析なんか、すぐにどうでもよくなってしまった。

愛撫で高められた瑠璃さんの身体からは、目には見えない情欲の陽炎が、まるでぼくを誘うかのようにゆらめいているようで、更に瑠璃さんを引き寄せた。

指だけでいかせてやる。

細い腰を押さえ、指先で中をまさぐり敏感なところをこすりつけると、瑠璃さんは泣き出しそうな限界の声を上げ、ぼくにしがみついてきた。






~もうちょっと続きます。(「社会人・武士編」本館に関係なく勝手に連載中)


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バレンタインの夜に。パート8

2017-02-21 | ss(バレンタイン)
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唇の真ん中に付いたチョコは、思いのほか瑠璃さんを幼く見せていた。

食べ物を口の回りに付けていると言う発想からかも知れない。

でも、瑠璃さんはほぼ裸で、その十分過ぎる大人な身体とのギャップに・・・

正直言って、ぞくぞくしてしまった。

チョコを舐め取るように唇をなぞり、瑠璃さんの唇をこじ開けて舌を割り込ませる。

一度、唇についた甘い匂いと言うのはなかなか消えないのか、キスをしてる最中もずっと甘い匂いが鼻孔をくすぐっていた。

唇を離し(次はどこに塗っていい?)と聞こうと思っていたぼくは言葉を飲み込んだ。

瑠璃さんの目が潤んでいるように見えたのだ。

「・・・」

昂ぶったり、達した後、瑠璃さんはこういう目をするけれど、まだそこまでいってないし、さっきの余韻にしては時間が経ちすぎている。

そんな強烈なキスではなかったはずだけど・・・

と、そこまで考えて、ふと思い当たることがあった。

───リキュールだ!

チョコにリキュールを入れたし、製菓用とは言えリキュールはかなり度数の高い酒だ。

「・・・」

そうか・・、別にスパークリングワインじゃなくてもいいんだ・・・

「る・・」

何だかものすごいことを発見した気になったぼくは、危うく瑠璃さんにその事を言いそうになり、またしても言葉を飲み込んだ。

瑠璃さんの言い草じゃないけど、敵に戦法をばらしてどうするんだよ。

「美味しかった?」

代わりに聞いてみると、瑠璃さんはコクンと頷いた。

もう一度、チョコクリームを指ですくい、瑠璃さんの唇に乗せる。

舌先に乗せるようにチョコを舐め取り、自分で食べないようにしてキスをする。

瑠璃さんの舌にチョコを絡めてやると

「・・ん」

と瑠璃さんが喉を鳴らした。

「もっといる?」

そう聞くと、そこは食いしん坊な瑠璃さんのこと、コクンと頷き、そうして神妙な顔でぼくのキスを待っている。

甘く濃厚なキスで瑠璃さんを酔わせていく。

この場合、文字通り、酔わせて行ってるわけで、何度かキスを繰り返すうち、瑠璃さんの頬がほんのりと桜色に変わってきた。

「他にどこにつけていい?」

少し考えて瑠璃さんは、頬を指さした。

「わかった」

頷いて瑠璃さんの頬にチョコクリームを乗せ、キスで舐め取る。

「他には?」

耳たぶを指さされ、チョコを乗せキスで舐めとると、瑠璃さんはくすぐったそうに身をよじった。

「次は?」

鎖骨の辺りを指さされ、チョコを乗せようとして手を止める。

「瑠璃さん、ネックレス外した方がいいよ。チョコが付く」

素直に頷いた瑠璃さんは両手を首の後ろに回し、そのことに寄って、よりバストが強調された。

瑠璃さんの身体はどうしてこんなに綺麗なんだろう。

まじまじと見てしまう。

シミひとつない白い肌に、弾力のある形の良い乳房、頬と同じピンク色の先端・・・

次の瞬間には、ぼくは瑠璃さんの細いウエストを引き寄せ、先端を口に含んでいた。




~もう少し続きます。(「社会人・武士編」本館に関係なく勝手に連載中)


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バレンタインの夜に。パート7

2017-02-20 | ss(バレンタイン)
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「瑠璃さん、自分で下着外してよ」

「えっ?!」

思いがけない高彬の言葉にあたしは言葉を失った。

し、し、下着を外せですって?!

あ、あんたは、あたしになんちゅうことを・・・、あ、あ、あたしはそんな、これ見よがしにオトコの欲情をそそるようなあばずれじゃ・・・

そう言ってやりたいのに、あわあわしてしまい言葉が出でこなくて、落ち着こうとゴクリと唾を飲み込んだところで

「武士魂!」

ぴしゃりと高彬に言われてしまった。

「・・・・」

それを言われると弱い、と言う感じよ。

あたしはね「義理立て」とか「恩義」とか言う言葉に弱い女なのよ。

借りのある人間にも弱いし、あぁ!今となってはチョコ作りに高彬の手を借りたのが本当に悔やまれるわ。

手作りなんかにこだわらずに、無難に市販のチョコでもあげとけばよかったのよぉぉ。

昼間のあたしを呪いたい気分だわ・・・

高彬は笑いを含んだ目であたしを見てるし、今さら懇願してみたところでチョコクリームは間逃れられそうにないし、第一、敵に頭をさげるのは癪だわ。

ふぅ───

目を閉じ、息を整え

「えいっ!」

一気に下着を剥ぎ取り、それだけでは飽き足らず、手の届かないところにと下着を放り投げてやった。

びっくりしたように高彬があたしを見てて

(ふんっ、どうだ、これが武士魂よ)

と思うのだけど、やっぱり恥ずかしくて、両腕で思わず胸を隠そうとすると、高彬の手に阻まれてしまった。

「もう隠さないで」

そう言う高彬の声は優しげで、あたしはまじまじと高彬の顔を見てしまう。

イジワル言うかと思ったら、ふいに優しくなったりで、もう、どっちなのよ・・

気が付いたら高彬に抱きしめられていて、あたしは裸に近い恰好をしているのに、高彬はまだスーツの上着を脱いだだけの恰好で、何だか変な気持ちだった。

高彬のベルトの金具が素肌に当たり、ヒヤリとする。

「寒くない?」

「大丈夫よ」

頭を横に振る。

部屋はエアコンで十分に温められていて、裸でいても寒さは感じなかった。

顎を手で上げられキスをされてしまう。

ついばむようなキスをしながら、時々、目を合わせて笑ったりあたしの髪を撫ぜたり。

そんなことを続けていても高彬は一向にそれ以上のことをする気配がなく

(もしかしたらチョコクリームの話はただの冗談だったのかも・・)

と思い始めた頃、高彬がふいに腕時計を確認し、そうしてあたしにも見えるように腕を曲げてきた。

さっきのチョコ作りから袖は捲ったままになっているので、腕時計は丸見えで、腕時計が一体どうしたと言うのよ、と思っていたら

「12時を回ったね」

「・・え?」

「バレンタイン当日だ、瑠璃さん」

そう言って高彬はにっこりと笑う。

釣られて笑い返しながら、何だかイヤな予感が広がって行く。

今の優しいキスは、嵐の前の静けさ、バレンタインまでの時間稼ぎだったんじゃあ・・・

果たして、高彬はボウルに指を入れチョコクリームをすくい上げると、あたしの目の前に掲げて見せた。

「瑠璃さん、どこなら塗っていい?」

「・・・・」

やっぱり・・・

「・・本当にやらなきゃダメ?」

つい気弱になり小さい声で言ってみると、高彬は困ったような顔をして

「うん」

なんて申し訳なさそうに頷いた。

「・・・」

また、そんな顔して・・。

「・・・」

仕方ないなぁ・・

「じゃあ、ここに」

唇を指さすと、高彬は小さく笑って

「うん」

あたしの唇の真ん中にチョコクリームを置いた。

小首を傾げてちょっとだけあたしの顔を見て、そうしてキスをしてくる。

いつものキスじゃない。

舌先でチョコを舐めるみたいなキス。

十分に味わった後に舌を入れてきた。

絡まる舌、甘いキス。

「・・・」

やだ、おいしいかも・・・




~長くなりすみません、もう少し続きます。(「社会人・武士編」本館に関係なく勝手に連載中)


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バレンタインの夜に。パート6

2017-02-19 | ss(バレンタイン)
社会人編のバレンタインネタの続きです。
多少セクシャルな表現がありますので、苦手な方は閲覧ご注意ください。




*********


「こらーーー、下ろせーー」

「瑠璃さん、おとなしくしてないと落ちちゃうよ」

肩の上でジタバタと暴れる瑠璃さんの脚と腰を押さえながら、キッチンへ向かう。

リビングへと続くドアのレバーを腕を使って下げ、そのまま足で軽く蹴って開ける。

両手がふさがってるからこうするしかなく、火急の時だし、この際、行儀うんぬんはナシだろう。

リビングはさっき消し忘れたまま灯りが付いている。

「さて、と」

キッチンで瑠璃さんをトンっと下ろし、改めて瑠璃さんの顔はと見ると、これ以上は出来ないだろうと言うくらいの膨れっ面をしている。

ベッドから道連れで持ってきた枕を両手で抱きしめ、ぼくの顔をキッと睨み付けてくる。

何か言い掛けた瑠璃さんは、ふと思い出したようにキッチンの台に目をやり、そうしてもう一度ぼくの顔を見ると

(ふふん)

と笑って見せた。

勝ち誇ったような顔をしている。

「残念だったわねぇ、高彬。生クリーム、全部使っちゃったのよ」

言われて見てみると、確かにボウルに残っているのはチョコクリームとでも呼べそうなもので、そう言えば生クリームは一箱使い切ってしまったのだった。

「・・・」

「さ、そこどいてちょうだい。服着て、洗い物して帰らなきゃ」

手で払われるような仕草をされ、だけどぼくも負けじとニヤリと笑い返してやった。

「瑠璃さん、ぼくは別に生クリームにこだわってるわけじゃないよ。チョコクリームで代替可、だ」

「・・・・」

「第一、今日はバレンタインだからね。本来の趣旨からしたら、むしろチョコクリームの方が合っているような気がするしさ」

「・・・・」

「さぁ、瑠璃さん、その枕をどけてもらおうか」

瑠璃さんの身体を丸ごと隠している枕が、さっきから邪魔だと思っていたのだ。

だけど瑠璃さんはぼくの言葉に、更に枕を持つ手に力を入れた。

「やーよ」

これが最後の砦とでも思っているのか、瑠璃さんは枕を離そうとしない。

「瑠璃さんが離さないなら、無理やり取りあげるしかないんだけどな」

「・・・・」

一歩近づくと瑠璃さんは一歩後退し・・・

だけど、すぐ後ろはシンクなわけで、瑠璃さんはそれ以上、下がれないのだ。

「勝負あったね、瑠璃さん」

ニヤリと笑って、もう一歩近づこうとすると瑠璃さんは

「こらー、来るなー」

と言いながら、ぼくに向かって枕を投げつけてきた。

パフっと音を立て、枕はぼくの胸に当たり────

だけど、枕が当たったくらいじゃ、全然痛くも痒くもないんだよな、これが。

それどころか、最後の砦を自ら手放してしまった瑠璃さんは、そのことにようやく気が付いたのか、慌てて両腕を交差させている。

遅いんだよなぁ、もう。

「絶対にイヤよ、チョコクリームを身体に塗るなんて!変態の仲間入りなんかイヤ!」

「変態の仲間入りって、瑠璃さん・・」

思わず吹きだしてしまう。

「瑠璃さんがどんな映像見たのか知らないけどさ、そんなひどいことにはならないよ」

「わかるもんですか」

「じゃあ、瑠璃さんがここならいいってところにしか付けないから。それならいいだろ?」

「・・・・」

瑠璃さんは目を細めてじっとぼくを見ていて、今の言葉を吟味しているようにも見え、ここを先途とばかりに言葉を続けた。

「さっきも言ったけどさ、瑠璃さん、借りはどうなったんだよ」

「・・・・」

「敵に借りを作ったまま帰るなんて、武士らしくないじゃないか」

「・・・・」

「武士の名がすたるぞ」

「・・・・」

どんどん瑠璃さんの眉が八の字に下がっていき、やがて小さなため息をつくと───

コクンと頷いた。

「・・・わかったわ。そこまで言われたら受けて立たないわけにはいかないわよね・・・」

「・・・」

心の中でガッツポーズを作る。

恋人が武士って言うのも、悪くないかも知れないな。

じゃあ、手始めに瑠璃さんの下着を外そうかと手を伸ばしかけ、ふと閃くものがあった。

瑠璃さんに自分で外してもらうと言うのはどうだろう。

考えて見たら、瑠璃さんが自分で下着を外す姿と言うのを見たことがないかも知れない。

<初めてづくし>のフルコース───

「瑠璃さん、自分で下着外してよ」

「えっ?!」

ぎょっとしたように瑠璃さんはぼくを見て、だけど

「武士魂!」

短くそう言ってやると、瑠璃さんぼくを睨んだあと、むぅとした顔で両手を背中に回した。

そうしてそのままの姿勢でギュッと目を閉じてしばらく迷う素振りのあと、パッと目を開けると

「えいっ!」

と言いながら、下着をリビングのソファに向かって放り投げたのだった。




~まだまだ続きます。(「社会人・武士編」本館に関係なく勝手に連載中)


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バレンタインの夜に。パート5

2017-02-18 | ss(バレンタイン)
社会人編のバレンタインネタの続きです。
多少セクシャルな表現がありますので、苦手な方は閲覧ご注意ください。




*********


「ねぇ、瑠璃さん」

「・・・ん」

高彬の胸に頭をつけて、目を閉じふわふわとした感覚に身をゆだねていたあたしは、名前を呼ばれて我に返った。

もしかしたら、ウトウトと眠りかけていたのかも知れない。

「キッチンに行こうか」

「・・・キッチン?」

高彬、喉でも乾いたのかしら?

だったら一人で水でも飲みに行けばいいのに・・・

「あたしは・・大丈夫よ・・」

それより、このままこうしてまどろんでいたい・・・

「洗い物、まだそのままだったよね」

「・・・・」

「ボウルに生クリーム、なかったっけ?」

「・・・・」

「瑠璃さんの身体に、つけちゃ・・・だめかな。生クリーム」

「なっ・・・?!」

生クリーム?!

うっとりした艶めかしい気分が、いっぺんに吹き飛んでしまった。

ぱちりと目を開け、それだけじゃ足りなくて、あたしはガバ、と起き上がった。

今、とんでもないことを聞いた気がするわ。

「な、な、な、な、生クリームって・・・・・・」

「ほら、前に瑠璃さん、言ってたじゃないか。生クリームを身体に塗るのがどうとかこうとか」

「そ、それは、悪しき例として挙げたのよ。間違っても、それをやりたいとかそう言う気持ちで言ったわけじゃ・・・」

「でも、言ったよね。生クリームがどうのって」

「そ、そりゃ、言ったけど、だからそれは悪例として・・・」

「ぼくはそれを聞いて、ちょっとそれも楽しそうだな、なんて思ったんだよ」

「お、思ったんだよって、あんた・・・、そんな爽やかに・・」

「せっかく生クリームもあるんだし、どうかな?瑠璃さん」

「イヤよっ!!」

即刻、却下してやった。

イヤに決まってるじゃない。

「塗るだけだよ。別に痛いこととかするわけじゃないし」

「ダメ!絶対!」

どっかで聞いたことあるフレーズだな、と思ったら、薬物乱用防止のキャッチコピーで・・・

いやいや、今はそんなこと考えてる場合じゃないわ。

目を見開くあたしの前で、高彬はどこかお伺いをたてるような、はにかんだ顔で笑っている

「・・・」

この顔!

この顔が曲者なのよ。

何でもはにかめばいいと言うわけじゃないわ。

はにかみながら、生クリームとかありえない!

ベッドの上で高彬にじりっと詰め寄られて、あたしはじりっと後退した。

これはきっと、瑠璃史上最大のピンチよ。

まさか、まさか、高彬の口から生クリームなんて言葉が出てくるなんて・・・!

「あ、あ、あんたが変態だなんて思わなかったわ!」

あたしとしては心臓を打ち抜くくらいの破壊力のある言葉を言ってやったつもりだったのに、動じるどころか、高彬は吹きだした。

「ぼくが変態だったら、世のオトコどもは全員、変態なんじゃないかなぁ。皆、これくらいのこと考えるよ」

「ウソばっかり!」

あたしが他の男の人を知らないと知ってて、適当なこと言ってるだけに違いないんだから!

世の中の男の人が、全員、生クリームのこと考えてるわけないじゃない!

「とにかくさ、ここじゃなんだから、キッチンに行こう」

「イヤよっ」

キッチンなんか行ったら、生クリーム一直線に決まってるもの。

「瑠璃さん、ぼくに借りがあるんだろう?」

「・・・・」

「敵の手を借りたんだろ?」

「・・・」

「武士として恥ずかしくないの?」

「・・・・」

高彬はニヤリと笑った。

「武士のプライドはどうなったんだよ」

「そ、そ、それは・・・」

またじりっと高彬が近づいてきた。

「さ、行こう」

「いやーーー」

あたしは枕にしがみついた。

でもね、枕にしがみついたって何の足しにもなりゃしないのよ!

枕ごと、ひょいと高彬に持ち上げられてしまった。

しかもお姫さま抱っこじゃなく、肩によ、肩。

肩に担がれてしまう。

あたしは米俵じゃないんですからねーーー。

「こらーーー、下ろせーー」

背中をポカポカ叩いてもワイシャツを引っ張っても敵は笑うばかりで、あぁっ、このままだとあえなく敵陣に連れ込まれてしまうわ!

────どうなっちゃうのよ?!あたし!




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瑠璃が強気を押し通すのか、搦め手の高彬が上手く押し切るのか、勝敗の行方は───?!
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バレンタインの夜に。パート4

2017-02-17 | ss(バレンタイン)
社会人編のバレンタインネタの続きです。
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*********


「あぁ・・!」

堪えきれなくなったのか、とうとう瑠璃さんは喘ぎ声をあげた。

まるで何かから逃れようとしてるみたいに、押さえ付けられた腰を必死に動かそうとしている。

だけど、ぼくの力に敵うはずもなく、もちろんぼくも手を緩めるつもりはないわけで、瑠璃さんは切なげな声を上げるばかりだ。

瑠璃さんがどうしたらイクかがわかってると言う事は、逆もまた然りで、ほんの少しのイジワル心が湧いてくる。

その直前まで追い詰められた瑠璃さんは、ふいにぼくの指や舌が離れたことで、戸惑ったように動きを止めた。

「・・・」

瑠璃さんの焦れ焦れしたような吐息が聞こえ、指先が彷徨うようにぼくの手を探し当て触れる。

指先で懇願するかのようにキュっとぼくの手を掴む。

言いたいことはわかっている。

何をして欲しいかも百も承知だ。

だけど───

瑠璃さんの腰が、じりっと動いた。

「高彬・・・」

それだけ言うのが精一杯なのかも知れないけど、ぼくは素知らぬ振りを決め込んだ。

「何」

「・・・」

「どうして欲しいか言って。言わなきゃわからないよ」

「・・・お願い」

「お願いだけじゃわからない」

「・・・」

だけど、瑠璃さんはそれ以上の言葉はどうしても言いそうになく、それは恥じらいの気持ちなのかも知れないし、もしかしたら瑠璃さん言うところの「武士の意地」なのかも知れない。

まったく・・・

ぼくは密かにため息をついた。

恋人が武士と言うのは考えものだよ。

一体、何に忠義を尽くしていることやら。

だけど、まぁ、それが瑠璃さんなのだから仕方がない。

半分は瑠璃さんのため、もう半分は自分のため、ぼくは少し譲歩してやることにした。

「瑠璃さん、して欲しいんだろ」

「・・・」

「して欲しかったら、脚、自分でもう少し開いて」

それくらいいいだろう、と思うのに、瑠璃さんは「あー」だか「うー」だか唸って一向に脚を開こうとしない。

「瑠璃さん。ちゃんとイカせてあげるから、脚、開いて」

そう言うと、観念したのか、おずおずと言う感じでほんの少し脚を開いた。

「もう少し」

ぼくが入り込むくらいには脚が開かれ、ぼくは顔をうずめた。

舌と指でなぞりあげると、下着の上からなのに、瑠璃さんは泣きそうな声を上げ、それは今にもイク時の瑠璃さんの声だった。

案の定、直後に瑠璃さんは「あぁっ」と短い声を上げながら身体を震わせた。

顔を上げ、瑠璃さんを見ると、放心したように目を瞑り、息を整えているように見える。

薄く開いた唇にキスをすると、瑠璃さんはくったりとぼくの方に頭をもたげてきた。

そういえば、下着姿のままで瑠璃さんをイカせたのは初めてかも知れない。

ぼくにいたってはまだ服を着たままだし。

こういう<初めて>、瑠璃さんはあんまり考えないのかな・・

なんて思いながら、そろそろぼくも、とワイシャツのボタンに手を掛けたところで、またしても思い留まった。

ホテルで過ごした日、瑠璃さんが生クリームがどうのと言っていたことを思い出したのだ。

「・・・」

さっきのチョコ作りで、生クリームがまだ残っていたような・・・

バレンタインだし、どうせなら<初めてづくし>のフルコースなんて、どうだろうか・・





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バレンタインの夜に。パート3

2017-02-16 | ss(バレンタイン)
社会人編のバレンタインネタの続きです。
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「もっとたくさん。・・・さっきみたいなの!」

怒ったような声で瑠璃さんは言い、暗がりの中でも顔が真っ赤なのが見て取れる。

『さっきみたいなのって何?』

と聞いて、それを瑠璃さんに言わせるのは、さすがにイジワルが過ぎるというものだろう。

まぁ、何にでも引き際が肝心と言う事だ。

瑠璃さんにキスをねだってもらえれば、それで充分だ。

お望みのキスをしてやると、瑠璃さんの喉の奥でくぐもった声がして、もしかしたら瑠璃さんが思ってた以上の強烈なキスだったのかも知れない。

チョコの残り香も、多分、口紅も、全部拭い取ってしまった。

首筋、鎖骨へとキスを移しながら、下着のホックを外そうと片手を背中に回したところで、ふと思い留まる。

考えて見たら、普段は早々に下着を剥ぎ取ってしまってるわけで、何だか今は、下着姿の瑠璃さんを楽しみたい気分だった。

瑠璃さんの下着は光沢のある白にレースがあしらってあると言うシンプルなもので、そういえば京都で瑠璃さんをホテルに誘った時、下着を理由に断られたことを思い出す。

想定外の誘いも断らなかったと言う事は、瑠璃さん的に今日の下着はOKと言う事なのだろうか。

それとも下着へのこだわりは<初めて>の時だけの思い入れなのか、その辺りは瑠璃さんのみぞ知る、と言うところだけど、何にしろぼくにとっては誘いを断られなかったと言う事が重要なわけで、そこは深く知る必要はないことだった。

下着ごと瑠璃さんの乳房を揉みしだき、胸の谷間に唇を這わす。

音がするほど強く吸うと、瑠璃さんは

「あっ・・」

と声をあげ、痕が付いたとまた文句を言われるかな?と思ったけど、まぁもう仕方がない。

ウエストラインを辿りながら手を下げて行き、下着の上から敏感な部分をそっと撫ぜると、瑠璃さんが息を詰める気配がした。

「瑠璃さん、脚、少し開いて」

「・・・・」

閉じている脚を開くように言っても開かないので、強引に膝を割り込ませて開かせる。

どうして無駄な抵抗をするのか、本当に不思議だ。

下着の上から指先でそっと、だけど執拗になぞっていると、瑠璃さんの腰が逃げるように動きだす。

息遣いも荒くなってきて、下着の上からも濡れているのが判るほどで、感じているのは明らかだった。

ふと顔を見ると、眉根を寄せ口を薄く開き、懸命に声を出すのを堪えているようである。

普段なら

「声、出していいんだよ」

と言ってやるし、実際、ぼくも瑠璃さんの喘ぎ声は聞きたいけれど、今日はどうしてだが言いたくなかった。

どこまで耐えられるか、どこまで付いてこれるか見てやろう、と言う気持ちになっている。

別にバレンタインだからと言うわけでもないし、ましてや貸しがあるからと言うわけではないけれど、そんな気分になってしまったんだからしょうがない。

あのホテルの夜以降、全て、とは言えないけど、瑠璃さんの身体はずいぶんと解ってきている。

どこが感じるのか、どうしてやればイクのか。

指先を細かく震わせると、瑠璃さんは切なげに身をよじり、ぼくは動けないように腰を抑え込んだ。

指を這わせたまま下着の上から唇をあて、一番敏感なところを強く吸ってやると瑠璃さんの身体が暴れ、だけど構わず吸ってやる。





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バレンタインの夜に。パート2

2017-02-15 | ss(バレンタイン)
社会人編のバレンタインネタの続きです。



*********


「一応、頭の片隅に入れておく」

一応じゃ困るんだけど!

・・・そんなあたしの悲痛な叫びは、高彬のキスに飲み込まれていく。

もうっ!

ここで、あのホテルの夜の再来とか、ほんと、困る。

まだ火曜日、いやいや、正確には月曜日なんだから。

明日は朝からミーティングもあるし、午後には外回りもしなきゃいけないって言うのに。

「ねぇ、高彬。お願いだから、普通で・・」

何とかキスの合間に言ってみるものの、聞こえてるんだか聞こえてないんだか、まったく高彬は動じる気配がない。

それどころかどんどんキスは濃厚になっていく。

「・・・・」

ここまできた高彬を止めることは、きっともう無理。

あたしは観念した。

と言うか・・・

段々と・・・その・・・気持ち良くなってくる。

どうしてキスだけで気持ち良くなるのか不思議なんだけど・・

静かにキスを受け入れていると、だけど、ここからが高彬のズルいところだった。

あたしに求める気配が少しでもあると見極めると、ふいにひいてしまうのだ。

目の前に飴を差しだしておいて、食べようと口を開けた瞬間、さっと消されてしまう・・・

まさしくそんな感じ。

───もっとキスして。

───今みたいに、息も出来ないくらいのキスをしてよ・・・

そう言いたいのに、そんなこと、女の口から言えるわけないじゃない。

武士にだって恥じらいはあるんだから。

言葉に出来ない代わりに、そっと高彬のワイシャツの袖を引いてみる。

ツンツン、って。

ほんっと、あたしって慎ましい性格だわ・・

「ん?」

なんて顔で高彬はあたしを見てきた。

「何?瑠璃さん」

わかってるくせに・・・

「キス・・」

「キスが何」

「・・・」

「言ってくれなきゃわからないよ」

その目!

絶対、絶対、わかってるくせに!

覚えてなさいよ!

・・・なんて心の中で息巻いてはみたものの、結局あたしは言っちゃうのよ・・

「キスして・・」

我ながらなんて甘えた声!

あー、あたしの武士としてのプライドはズタズタよ。

「キス、してるじゃないか」

なのに、敵は笑うのよ。

「だから・・」

「だから?」

「もっと・・・」

「もっと?」

「もっとたくさん、・・・さっきみたいなの!」

悔しくて下から睨みながら言ってやると、高彬は笑った。

クックなんて喉の奥で笑った後

「瑠璃さん」

なんて言いながらあたしの髪を撫ぜる。

「ほんとに瑠璃さんは可愛いな」

そうして

「じゃあ、もう手加減はしないよ」

そう言うと、さっきよりも激しいキスをしてきたのだった。




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バレンタインの夜に。

2017-02-14 | ss(バレンタイン)
社会人編のバレンタインネタの続きです。



*********


「・・・どうぞ、お好きにお召し上がりください」

そう言いながら振り向いた瑠璃さんの首には赤いリボンが巻かれており、ぼくは思わず吹き出してしまった。

真面目な顔で目を閉じ瑠璃さんは立っている。

瑠璃さんがプレゼントってことか。

「・・・・」

うん、最高のプレゼントだ。

チョコなんかより断然いい。

瑠璃さん、お召し上がりくださいって言ったよな?

「では、遠慮なくいただきます」

武士の瑠璃さんなら、食べなくても爪楊枝でも口にくわえるのかもしれないけど、あいにくぼくは武士じゃない。

リボンを解き、ついでに服も脱がす。

服を脱がしてから

(リボンはそのままにしておいた方が良かったかな)

なんてチラと思ったけど、まぁ、いいだろう。

リボン解かなきゃ、プレゼントにはありつけないわけだし・・・

瑠璃さんを抱き上げベッドに運ぶと、取りあえず縁に座らせる。

下着姿の瑠璃さんが暗い部屋の中にぼんやりと見えていると言うのはなかなかに良い眺めで、しばし見惚れてしまった。

さて、と・・

「何よ」

座らせられたきり、そのままになっていることが不思議なのか、瑠璃さんが言ってきた。

「何で見てるだけなの」

「考え中なんだ」

「何を?」

「<お好きに>って言ってたから、どういただこうかと思ってさ」

「・・・普通で!ぜひ、普通で!」

「それじゃ、せっかくのバレンタインプレゼントなのに面白くないじゃないか」

「あ、あ、あ、あたしって保守的な女なの。あまり変化を求めないのよ。スタンダート、万歳!なんてね・・」

「武士らしくない発言だなぁ」

「あたしって幕末の武士じゃないのよ、きっと。改革とか日本の夜明けとかに無縁って言うか。多分、平和ボケした江戸中期の・・・」

「江戸中期の武士が聞いたら怒るぞ」

少しずつ瑠璃さんを倒し、組み敷いて行くと

「ちょ、ちょっと待って・・・、ほんと、スタンダードで、ね。お願い。改革とか、ナシ、よ」

「一応、頭の片隅に入れておく」

キスをすると、甘いチョコの味がした。

さっき味見したからだろう。

舌を入れ、瑠璃さんの舌を捕まえに行くと、まだ瑠璃さんはモゴモゴ言っていて、どうやらスタンダードがどうとか、普通が一番とか言っているようだった。

わかってないなぁ、瑠璃さんは。

一体、瑠璃さんは何をもって「スタンダード」と言っているんだろう。

これから2人のスタンダートを作っていけばいいんじゃないか。

ちらりとベッドサイドの時計を見ると、デジタルで「23:00」と表示されている。




~続きます。「社会人・武士編」勝手に連載中)


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