少し前までは、もう夏が来たような暑さだったのに
昨日も今日も梅雨寒で、なんとなく肌寒い。
朝夕に水をやっていた庭の草木も
それくらいの水分では足りなかったらしく
ようやく降った雨のおかげで、生き返ったようにのびのびしている。
一昨年挿し木しておいた紫陽花が、薄桃色の花をつけて
庭の隅にひっそりと立っている。
無造作に挿しただけの茎が、知らぬ間に伸びて
遠慮がちに花をつけた。
ただそれだけのことなのに、庭に目をやるたび
小さな感動を私にくれる。
陽の光と慈雨で再生された新しい紫陽花。
生命の不思議。
昨夏、斎場の帰りに買ったハイビスカスが
今年も真っ赤な花を咲かせた。
鉢の中でじっと季節を越して、また大輪の花を咲かせた。
鮮やかなその色が、夫君を亡くして1年たった友人の
ほんの少し元気になった美しい横顔と重なって見える。
それがたとえ哀しいだけの出来事だとしても
きっと乗り切っていくだけの力を
私たちは誰かから与えられているのだと
小さな庭の花たちが教えてくれる。
どんなことでも必ず
どんなことにもきっと
陽の光と静かな雨は降り注いでくれると。