藍染■すくも
藍染めは、古代から世界中で様々な植物、例えばインドではインジゴの語源になったインド原産のマメ科の「インド藍」やヨーロッパではアブラナ科の「大青」、中米諸国、ジャワ、アフリカでは「なんばんこまつなぎ」、そして沖縄ではキツネノマゴ科の「琉球藍」。そして日本では中国或はインドシナを原産とするタデ科の1年草植物「蓼藍」を原料として藍染めします。
藍葉、藍種は古来からは解毒剤、解熱剤、虫除けなど漢方薬として珍重され、藍葉の96%は漢方薬の原料として使われ、染料としてはわずか4%でした。染料としての藍は江戸時代、阿波藩が藩の重要な財源として藍作りを奨励、育成、庇護してきましたので、その品質と量で「藍といえば阿波藍」と染料界を風靡してきました。しかし明治中期、化学染料が輸入されると減退の一途をたどり、一時期、絶滅の危機さえ迎えました。現在、阿波天然藍を製造しているのは、佐藤昭人さんはじめ、わずか4人で、年間に生産される藍染めの原料の「つくも」はわずか500俵(1俵は約56Kg)足らず。それを全国にいる藍染職人、16人で分けて使うのだそうです。
藍は3月に種をまき、7、8月に刈り取り、乾燥させ、5㎝ほどに刻み、葉藍を作ります。この葉藍に水を混ぜ合わせながら、1mくらいの山に積上げ、むしろをかけ発酵させます。その後5日ごとに100日、水をかけ、葉藍の山を崩しては、再び積上げる「切り返し」を23,24回繰り返し行い、ようやく12月に「すくも」が完成し、出荷します。「すくも」はワインなどと同じように、年によって出来不出来があるそうです。また発酵温度が微妙で、「切り返し」を行う時期には、職人さんも気温を気にしながら、寒暖により夜中でも起きて「切り替えし」を行うそうです。写真は、そうやって丹精込めて作られた「すくも」、藍染めの原料です。触った感じは、ちょうど紅茶のような感じでした。