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新・きものの基

絹や木綿、麻など素材から染織の歴史、技法、デザイン、そしてきものと暮らしの多様な関係までを紹介します!

藍染②

2007-07-05 07:58:19 | ゆかた・藍染

藍染■すくも

藍染めは、古代から世界中で様々な植物、例えばインドではインジゴの語源になったインド原産のマメ科の「インド藍」やヨーロッパではアブラナ科の「大青」、中米諸国、ジャワ、アフリカでは「なんばんこまつなぎ」、そして沖縄ではキツネノマゴ科の「琉球藍」。そして日本では中国或はインドシナを原産とするタデ科の1年草植物「蓼藍」を原料として藍染めします。

藍葉、藍種は古来からは解毒剤、解熱剤、虫除けなど漢方薬として珍重され、藍葉の96%は漢方薬の原料として使われ、染料としてはわずか4%でした。染料としての藍は江戸時代、阿波藩が藩の重要な財源として藍作りを奨励、育成、庇護してきましたので、その品質と量で「藍といえば阿波藍と染料界を風靡してきました。しかし明治中期、化学染料が輸入されると減退の一途をたどり、一時期、絶滅の危機さえ迎えました。現在、阿波天然藍を製造しているのは、佐藤昭人さんはじめ、わずか4人で、年間に生産される藍染めの原料の「つくも」はわずか500俵(1俵は約56Kg)足らず。それを全国にいる藍染職人、16人で分けて使うのだそうです。

藍は3月に種をまき、7、8月に刈り取り、乾燥させ、5㎝ほどに刻み、葉藍を作ります。この葉藍に水を混ぜ合わせながら、1mくらいの山に積上げ、むしろをかけ発酵させます。その後5日ごとに100日、水をかけ、葉藍の山を崩しては、再び積上げる「切り返し」を23,24回繰り返し行い、ようやく12月に「すくも」が完成し、出荷します。「すくも」はワインなどと同じように、年によって出来不出来があるそうです。また発酵温度が微妙で、「切り返し」を行う時期には、職人さんも気温を気にしながら、寒暖により夜中でも起きて「切り替えし」を行うそうです。写真は、そうやって丹精込めて作られた「すくも」、藍染めの原料です。触った感じは、ちょうど紅茶のような感じでした。

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藍染①

2007-07-04 21:37:19 | ゆかた・藍染

■藍染 蛙さん

注染の伊勢保染工所を尋ねた後、草加の蛙印染織工芸へ。みんな到着して、社屋のいり口にある看板の「蛙印」を見て、文字通り素直に読んだらいいのか分からず、首をかしげながら2階へ。社長さんのお話では素直に「かえるじるし」でいいんだそうです。先代の社長が工房がある場所が「柳之宮」なので、小野道風の故事に習い、柳の枝に跳びつこうと何度も試みる蛙にちなんで、しゃれでつけたそうです。

しかし、写真の藍甕の渦、見事でしょ。3代目が、藍甕のご機嫌を伺うためにかき棒で攪拌している様子を撮ったですが、(撮ったのは、私ではなくアラレですが…)、見ていて惚れ惚れしてしまいました。藍の様子はご機嫌のようで、人で言えば青年期だそうです。一番渦が深いときは、甕の底が見えるんです。少しもこぼさず、プロの技はすごいものですね。

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