4歳娘にポーズをとらせ、鬼母がわいせつ画像撮影容疑
一人娘(2)のわいせつ画像をデジタルカメラで撮影、提供したとして今月9日、兵庫県のパート職員の母親(23)が児童買春・ポルノ禁止法違反(提供目的製造)の疑いで宮城県警少年課などに逮捕された。調べに「軽い気持ちでやってしまった」と話しているという母親。売却目的だったようだが、画像が流通し、ネット上に掲載されれば事実上回収は不可能で、わが子の裸をさらし続けることになる。母親は子供の“商品化”にためらいがなかったのだろうか。
同課などによると、娘のわいせつ画像を撮影した母親と、母親に撮影を指示したとして宮城県警に児童買春・ポルノ禁止法違反(教唆)容疑で逮捕された大阪府堺市中区の無職、岩崎瑞穂容疑者(20)が知り合ったのは昨年11月。わいせつ画像などを売買するインターネットのサイトで自分の下着姿の画像を投稿して金を稼いでいた母親から、岩崎容疑者が転売目的で数回にわたり計約10万円分の画像を買い取ったことがきっかけだった。
このときのメールを通じ、岩崎容疑者は母親が娘と2人で暮らしていることや、金に困っていることなどを知り、「(自分の下着姿の写真よりも)娘の画像のほうが高く売れるから」と、母親に娘のわいせつ画像を作成するよう指示したという。
県警の調べによると、母親は今年1月、岩崎容疑者から送られたデジタルカメラを使い、自宅アパートで娘のわいせつ画像計11枚を撮影し、児童ポルノを製造した疑いが持たれている。
撮影にあたり、岩崎容疑者は母親に「通常の画像は1枚1000円だが、指示通りのポーズの画像なら1枚3000円から5000円で買い取る」と伝え、さまざまなポーズを娘にとらせるよう指示していた。「児童ポルノ画像の売買では、撮影対象の若さに加え、構図なども価格の重要なポイント」と捜査関係者。岩崎容疑者が指示したポーズには「とても母親が娘にさせるとは思えない」(捜査関係者)ものも含まれていたという。
◆◇◆
これまでの捜査で、岩崎容疑者は、ほかにも複数の女性に娘のわいせつ画像を撮影するよう勧めていたことが判明している。
今回の事件は大河原町の主婦が大河原署に情報を提供したことで発覚したが、岩崎容疑者はこの主婦に対しても、娘のわいせつ画像を撮影するよう持ちかけていた。主婦も「岩崎容疑者の指示通り娘の画像を撮影した」と話しているといい
、県警はこの主婦からも詳しい事情を聴いている。
しかし、母親たちは、なぜたやすく岩崎容疑者の要求を受け入れ、自分の娘を“商品”にしてしまったのだろうか。
ある捜査関係者は「岩崎容疑者が“女”であることも大きな要素だった」と指摘する。「児童ポルノ画像の売買に女同士がかかわることは非常に珍しい。母親たちは交渉相手に安心感を持ち、要求を飲んでしまったのではないか」
捜査関係者によると、岩崎容疑者は「身長160センチに満たない小柄な体格。金髪で化粧も濃く、いわゆるギャル系」で「一見しただけでは、わいせつ画像の売買をしているとは到底思えない」と驚く。逮捕前は実家で弟と両親の4人暮らし。“取引”は自宅の1人部屋で行っていたとみられ、家族は犯行にまったく気づいてなかったという。
◆◇◆
聖学院大学の作田明客員教授(犯罪心理学)は、親たちの犯罪意識の希薄さを指摘する。
「自分の子供のわいせつ画像をインターネット上で売買することは、性犯罪の加害者になっていることにほかならない。しかし特定の売買サイトへの投稿ではそれほど多くの人目には触れないだろうなどといった認識の甘さが、犯罪に加担している意識を低くさせている」。さらに「画像はいったん市場に出回ったら最後、コピーなどを繰り返して不特定多数の人間の目にさらされることになる。完全な消去は不可能に近く、短絡的な考え方は危険」と警鐘を鳴らす。
同課などによると、岩崎容疑者は逮捕当初、動揺で捜査員の質問にほとんど答えられない状況が続いていたが、最近は反省の態度も示すようになるなど、心境の変化が感じられるという。また母親も「金が欲しかった」と容疑を認めたうえで「軽い気持ちで撮影してしまった。娘には申し訳ないことをした」などと謝罪の言葉を述べているという。
捜査幹部は「自分の子供だろうとなんだろうと、幼い命を私欲のための商売道
具にした罪は重い」と厳しい口調で話した。
◇
■児童ポルノ犯罪の現状と対策 警察庁によると、平成20年に児童ポルノ禁止法違反の疑いで逮捕、書類送検されたのは前年比19・2%増の676件。被害児童も同22・9%増の338人でいずれも過去最高。こうした事態に同庁は18日、児童ポルノの流通防止などに向けた重点プログラムを策定。ポルノ画像から被害者や容疑者の特定につながる情報を探し出す画像分析班を設置した。同庁と総務省などをオブザーバーとする「児童ポルノ流通防止協議会」(会長、野口京子・文化女子大教授)も発足。ネット事業者や学識経験者ら約20人が、児童ポルノの氾濫(はんらん)抑止に向けた対策案を講じていく