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Tシャツとサンダルの候

御池の次もまた御池



凍る御池(みいけ)を渡ったのは、2週間前の事だった。

スマホ紛失と言う、思わぬおまけつきではあったが、くじゅうを十分楽しめた。

だが、冬のくじゅうでやるべき事が、あと一つ残っている。

もう一つの御池、

大船山直下の御池(おいけ)に立たねばならぬ。



今回は東尾根林道からスタートだ。




コンクリート舗装路が、地味に延々と続く。

地味な傾斜が、地味にきつい。

早くも息が上がってきた。



大船の山容が見えてきた辺りで、登山道へと分岐する。




巨岩に巻き付く樹木。

今回、このルートを選んだ理由は、岡藩藩主中川久清の墓、入山公廟を見たかったからである。



登山道の十字路。

なんせ初めて歩く道である。

道迷いしないように、時折山地図アプリを確認する。



とは言え、ほぼ一本道だ。

案内リボンも適所に巻かれていて、迷うような所は一つもない。



この石段を登って行った先が、入山公廟のようだ。




暫く石段を登って行くと、空が開けた先に石垣が見えてくる。




岡藩三代藩主中川久清公の墓である。

夭折した六男久矩(13歳没)、四女井津姫(3歳没)も、この区域に一緒に葬られている。

入山と号した事から分かるように、殊の外大船山を愛した殿様だったようで、都度都度、この山に登ったと記されている。

尤も、久清自体は足が悪かったらしく、人鞍(背負子)に背負われての登山だったようだ。

遺言により、大船山が見えるこの地に葬られた。

こんな標高(約1400m)の高い場所に眠る殿様も少ないのではなかろうか。



入山公廟を過ぎると、数日前の積雪が目立ち始める。




やっと尾根に出たぜ。

あと少しだ。



この暖かさだ。

霧氷については最初から期待はしていなかったが、この付近まで標高を上げると、溶け残りの氷が目を楽しませてくれた。









山頂が近くなるにつれ、雪も深くなってくる。




ここまで登って、やっと山頂が見えてくる。

と、その前に、今日の目的地だ。



御池(おいけ)だ。

上から見た分には、池の縁は凍っているようだが、

真ん中は・・・


雪深い急斜面を降りてみた。



何とか滑りもせずに、御池に降り立つ事が出来た。




真ん中も一応凍ってはいるようだが。

休憩している女性が居たので、氷を歩いてみたのか聞いてみた。


「いえいえ。でも、さっきまで居た人は真ん中は避けてましたよ。」



なるほど。

見た目、薄そうだもんね。



私も先人に習い、池の縁だけにしておこうかな。

たったそれだけなら、アイゼンをザックから取り出すのも面倒くさい。


靴のままで、そっと、池の上に立ってみた。


案の定、生まれたての小鹿状態と言っていい。

腰を思いっきり曲げ、両手を広げながらの、よちよち歩きである。

ほんの数メートル歩いたがけで、岸に戻ったのは言うまでもない。



でもまあこれで、凍った御池に立つと言う目的は達した。

ぼちぼち山頂へ行くとするか。



大船山山頂。




丁度お昼である。

風もさほど強くもないし、久々に山頂飯と行くかな。



『食べてくれたあなたに~ ズッキュン』 by 秋元真夏


うわー、オジサンやられちゃったー!!





失礼。

年甲斐もなく悪ふざけが過ぎたようだ。

忘れて欲しい。



この眺望が大船の最大の魅力である。

それにしても、星生山は別にして、どの山も雪が殆ど無い。



三俣方向も、



平治方向も。

今シーズン、全山が白く雪化粧する日は、来るのであろうか。



そろそろ、下山するかな。


登って来る時は凍っていた土も、すっかり緩んでしまい、殊の外滑りやすい。

何度か足を滑らせながらも、その度にイナバウアーで堪え、泥んこになるのを防げたのは、僥倖と言わねばならぬ。






登山道の麓に温泉があった。

炭酸泉のようだ。

別棟で400円を支払い、温泉棟へ。



ガラガラガラ







ゲ!


露天風呂・・・のみですか。

湯船に浸かってる間はいい。

だが、暖かいとは言え、外の気温はせいぜい4~5度だ。

一人独泉は誠に有り難いが、外で体を洗うのはちょいと辛いぜ。


えーい、いつまでも躊躇っててもしゃあねえや。

洗うとするか。


鬼の形相で体を洗う私であった。




ゴシゴシゴシ




修行かっ!!


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