友人が高良山神籠石コースを案内してほしいと言う。
「おう、よかよ。どうせ毎日登っとる山じゃけん。」
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御手洗池に車を停めて、家内と友人と3人で出発である。
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神籠石。
友人に向かってガイドする。
「神籠石は、土塁の土留め説が有力とされとるバッテン、絶対違うね。俺の見解では、明らかにこれは・・・」(私)
「ほら、始まった。」(家内)
何しろ、これまで知り得た、少しばかりの高良山の知識を、誰かに喋りたくて仕方ないのだ。
気の毒な友人は、案内して貰う代償に、ひとしきり私の退屈な高良山談義に付き合わされる羽目になる。
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「これが7世紀に起こった筑紫大地震の断層のずれ。」(私)
「ひょえー」(友人)
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鷲尾岳城跡
「高良山には、いくつもの山城跡がある。ここもその一つ。曲輪の跡が解るやろ。」
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杉ノ城跡(鳳山)
家内が案内看板の地図を指さし、
「こっちから登ってきたとやろ。」
「まるっきり反対たい。ここが神籠石って書いちゃるやんか。だけん、ここを通って、こうして・・・こら、聞かんか!!」
人に物を訊ねといて、直ぐにどうでも良くなったらしい。
あらぬ方向を向いて、微塵も人の話を聞いていない。
何たる無礼さであろうか。
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奥の院
この日は寅の日だったようだ。
これから祝詞が上がるらしく、大勢の人が祠の前で頭を垂れていた。
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毘沙門城跡(高良山山頂)
「ここが懐良親王の本陣で、征西府が・・・」(私)
「懐良親王?」(友人)
「ごほん。えー、懐良親王とは南北朝時代に・・・」(私)
友人の受難は続く。
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高良大社まで降りてきた。
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境内の10月桜が満開である。
大社からは、吉見嶽城経由で麓へ向かう。
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吉見嶽城跡
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季節を忘れた躑躅が咲いている。
「あー、ここは秀吉が薩摩征伐の折に、一日だけ陣を敷いた城で・・・」
この吉見嶽城にて、私の高良山歴史談義は終了である。
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麓には小じゃれた蕎麦屋がある。
「あー、ここね。江島君が車をぶつけた後に行ったって言う店は。」(友人)
「要らん事、思い出さんでよか。」(私)
「本当に酷かろが。」(家内)
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蕎麦の実のお粥
出汁が効いてて、すこぶる美味い。
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小鉢6品
まあ、お上品な味です事。
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私が注文したのはとろろ蕎麦セットである。
では、とろろを全量投入。
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とろろ蕎麦は、思いっきり音を立てて啜りたい。
ズルズルズルズルルーーー
うんまい!
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締めは蕎麦羊羹である。
高良山にまつわる話は、まだまだ五万とあるけど、今日の所は勘弁してやるぜ。
んじゃ、ボチボチ帰ろうかね。