高千穂河原の登山口に着いたのは10時少し前。
ここで、家内の兄姉たちと待ち合わせである。
登山口駐車場から御鉢と呼ばれる火口を持った山塊が見える。
高千穂峰は、東にこの御鉢、西に二子石と呼ばれる山を従え、その真ん中にそびえる峰。
霧島連山の中でも一際美しい山容を誇る。
さらに、山頂には《天の逆鉾》が突き刺ささる神の山でもある。
全員揃った。出発である。
家内の兄姉構成は、長兄を筆頭に、姉が二人いる。そして末っ子が家内だ。
今回、それぞれの連れ合いと共に8人のパーティとなった。
しばらくは、林間を登って行く。
まだ早いかと思っていたが、幸いな事にミヤマキリシマが可愛いピンクの花を、ところどころ咲かせてくれていた。
林が途切れると、突如として赤茶けた溶岩と火山礫が降り積もった台地となる。
特にこの火山礫は足を取られて、登りにくいことこの上ない。
しかもこの急登だ。
因みに、緑の株は深山霧島の株。
コース取りを間違えると、疲労度は倍以上違ってくる。
登りやすそうなコースを慎重に選びながら進む。
御鉢到着。
第一段階は終了だ。
高千穂峰登山は、まだまだこれからなのだ。
火口の上層部に、赤茶けた地層と黒い地層が交互に折り重なっているのが見える。
荒々しい火口の縁に咲く、可憐な深山霧島。
無論、この火口が活火山であるのは言うまでもない。
御鉢の向こうに、漸く高千穂峰が見えてきた。
火口内に緑の絨毯の様に見えるのも、深山霧島の株である。
シーズンには火口内までピンクに染まる。
馬の背と呼ばれる火口の尾根道を行く。
日差しが強い。
この日、日差しに弱い家内は、日焼け止めをしていたにも拘らず、首筋を真っ赤に日焼けさせてしまったぐらいだ。
高千穂峰登山道が見えてきた。
ここから頂上までは、火山礫の上を登る事になる。
この鳥居がある辺りから、本格的な砂礫場となる。
足を踏み出すたびに、ズブッと沈み込み、そのまま足を滑らせながら歩を進めるしかない。
山頂到着。
当然、私の自撮り画像を見る様になる事ぐらい、覚悟されているだろう。
え?
お前の頭が邪魔だ!
肝心の逆鉾が見えないじゃないかって?
ちぇ、解りましたよ。
ほれ。
これでどうだ!
これが瓊瓊杵尊が降臨する際に逆さに突き立てたと言う逆鉾だ。
山頂は、平日であるのに、結構な人数が登ってきていた。
さあ、昼食だ。
360度のパノラマをオカズにお握りを頬張る。
手前に見えるのは活動中の新燃岳。
後方の一際高い山は韓国岳。
真ん中あたりに、ぼんやりと見える影は、錦江湾に張り出す桜島である。
12月に来た時は、はっきりとその姿を見ることが出来たが、今回は、有難くも大陸からの黄砂の影響でこの有様である。
今回、膝を痛めて以来、久々の本格的な山登りとなった。
その膝の調子だが、何度か砂礫で滑った時、変なひねり方をして
「いてえーーー!」
と叫ぶことはあったが、幸い後を引くようなこともなく、現在も取り立てて痛みはない。
7割方は復活したような気がするのだが・・・
30km以上の長距離歩行やランニングが出来るようになったら完全復活かな。