久留米つつじマーチの期間中、博多の義兄と大分のF夫婦は、我が家にお泊まりである。
その間、飲めや歌えやのどんちゃん騒ぎ・・・と言いたいところだが、
皆寄る年波には勝てず、9時ともなれば欠伸ばかり出て、
「ふわーーー。おっと、もうこんな時間。寝よっと。」
「お休みなさーい。」
ジジイになったもんである。
ついでに言うと、Fさんらは月曜にも久留米で所用があり、日曜まで我が家に泊まる事になっている。
本来ならばその用件の前に、髙良山に登る予定だったのだが、
「イテテ、豆が・・・」
「私も筋肉痛で・・・」
「止めとこか。」
「さんせーい。」
そんな情けない会話の後、向かったのは、
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/78/ee/fb3f59f6f34feba220bb5a3845885906.jpg)
田主丸の紅乙女酒蔵である。
あらかじめ電話で、酒蔵見学を申し込んでいる。
先ずは蒸留棟から。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/02/b3/eb2d7bc5a5e561c36d30e6bedeb4c4f4.jpg)
「アラジンの魔法のランプのごたるでしょ。これはフランス製の蒸留器で、本来はブランディに使われるやつです。」
「ひょー、こんな蒸留器、他所の酒蔵では見たことなかね。」
三つに別れていて、それぞれ役割が違うんだそう。
ウイスキーと違い、ブランデーは随分と複雑らしい。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/22/fb/ff7989735a8a48130c5174991c8138c0.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/31/07/67dbbceb8d9f3d26ad3d9b8dc932f4a8.jpg)
「これは樫の木です。こんな大きな樫は珍しかげなです。」
「ははあ」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/46/11/0841139bb7f8cf9cb3fb7859b19f704c.jpg)
煉瓦造りの建物の前までやって来た。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/22/65/5de0607f49e4fe9c49f0c5fb2ad18ed8.jpg)
紅乙女酒蔵は、地元の古い酒蔵の奥さんが、65歳の時に創業したのだそうだ。
「これが、凝りに凝ってですね。こだわりが凄かとですよ。」
「何となくわかります。」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/26/50/970a8f4d2b96727a5c2f06c87204bbda.jpg)
「どうぞお入り下さい。」
分厚い扉を開けると、
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/36/77/7ac264cf45e1d7e20223e3c755bb02ef.jpg)
暗闇に浮かぶステンドグラス。
館内に入ると、プンと甘い香りが鼻をくすぐる。
「樽から蒸発した天使の分け前と言うやつです。照明つけます。」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6a/bb/f19f5a57ee0fc7826d8c040a46e33b03.jpg)
「オーナーは設計図ば見て、どうにもデザインが気に入らず、設計家をフランスで勉強させたらしかです。勿論、紅乙女の費用で。」
「ステンドグラスが、酒を美味くするとは思えんばってん、そこに強い思い入れがあったとやろね。」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2e/74/cc88e2b603748fbff576fc6985ed0d48.jpg)
この樽も全部フランス製との事。
とんでもない初期投資である。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/05/54/7029db9ae99a252143fc76d16d23d81f.jpg)
樽ばかりではない。
「甕もあります。樽と甕はそれぞれ別の焼酎になります。」
因みにここでは焼酎の事を『祥酎』と表記する。
女性オーナーならではの感性だ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7a/25/7a8051a33c49e5bd8eb2013284a5e546.jpg)
幾つかの樽には、著名人のサインがある。
これは漫画家、いや今はイラストレーターの江口寿史のもの。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/56/7e/26cc9f8a2ce414abf85c22eb217c38d3.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3b/23/1b252f60d7deb5d5c2303c7170da6287.jpg)
ステンドグラスに描かれるのは、初代社長がこよなく愛した薔薇。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/16/36/418655797409503fac45b22866dbdc42.jpg)
この半円状の建物は、
「今は事務所ですが、昔はここも貯蔵庫やったらしかです。」
スペース的にロスが出る形状だが、ここでも敢えてデザイン重視である。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4b/08/91c0107fdada4c74e759045d0e786bbd.jpg)
売店
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/01/42/16c3a9aaf957bb3e7bf858d432b4913d.jpg)
合計40km歩いた自分へのご褒美だ。
「少し高いけど、これ買っていい?」(私)
「買えばいいじゃん。」(家内)
ワーイ (ノ^∇^)ノ
ついでに、隣接するワイナリーへ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3a/04/9055386a6c78500b64d25ea31b1fcc6e.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7e/99/1926be542ccd9f54b4ad3f9ceaae56c6.jpg)
森の中のワイナリー。
いい雰囲気である。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4e/1d/9ddb59bbc17b065f3c4e237b93832ae4.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/33/18/18b3b4ab50fdf96fdbf12649fc08ad27.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/43/b3/39a3c1a8bb5dee1f71850136ec37fbe6.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/25/68/9a9313ea10b9fad7b37bb6ac2c979934.jpg)
日付ごとに瓶が並べられている。
中には創業当時のものも。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/31/ec/d3c0528991e8a1d86799f8eceed3c933.jpg)
巨峰ワイナリーが1972年、紅乙女酒造は1978年創業となっている。
いずれも同じ酒蔵の出資である。
同じ酒類製造とは言え、全く未経験な事業に、ごく短期間のうちに、相次いで莫大な資金が投入されている。
50年前、この界隈は沸騰していたに違いない。
当時のその熱気が、未だにこの森に残っている気がした。