民間福島原発事故収束委員会公式サイト

福島原発事故は未だに収束していません。新しい収束方法で原発をシャットダウンする方法を提言します。民間の活力で行います。

核不拡散体制における再処理と原子力発電所によせて(その1)

2013-06-07 00:19:20 | 原子力問題について
 核不拡散体制(NPT体制)は、とりもなおさず「核兵器削減」をさします。そしてその核不拡散条約を締結した国々からなる体制のことであります。米国のオバマ大統領(第1期、この宣言でノーベル平和賞受賞)の有名な「プラハ宣言」にある核兵器のさらなる削減、それは核不拡散体制における核保有国の宣言でありますから世界中が注目しました。核不拡散条約では、非核保有国は核兵器をもたないしもたせない、そして核保有国を増やさないし核兵器を削減していくということです。この条約を締結しない国は、国連で「平和の敵」の烙印をおされ経済制裁の対象となり、国の存亡に影響するわけです。
 この核不拡散体制に入りますと、医療用、試験研究用原子炉、原子力発電所等、燃料等の核物質を使用する国は、核不拡散条約締結国になるわけです。
 さて、その核燃料物質の監視はだれがするか。ウイーンに本部があるIAEA(国際原子力機関)です。IAEAはその核物質の管理状況について、当該国を査察するのが主要な仕事です。 IAEAの職員は、条約締結世界各国の規制当局の政府職員で鋼製され一定期間勤めるわけですが、引き続き働くには本国政府を退職し再就職します。
 IAEAは、先日も福島第一原子力発電所に調査にきて「助言」をしてくれました。一般の人達はIAEAは原発の推進組織か、もしくはなんらかの助言をしてくれる国際友好団体と思っている人達もさぞ多いことでしよう。
 IAEAの「査察」は、峻烈きわまりなく徹底的です。それの対応に立ち会えば経験します。非保有国であっても「核物質を紛失したり、ひそかに転用しているのではないか」「核兵器をつくるため備蓄しているのではないか」がまず前提です。彼らは原子力の知識と経験を積み重ねたプロです。
 したがって、上記しました福島第一原子力発電所の「調査」は「核セキュリティ」が十分かも確認したことと見ております。記者会見で調査団が尋常でないほど厳しい目つきに気が付いた人もいたはずです。

 それでは、我が国の原子力発電所とどのような関係があるのでしょうか。核不拡散の体制では:
 ①余剰のプルトニュウムはもたない、もたさない。
 ②ウラン235を原子炉で燃やしたその燃やしカスは「使用済燃料」といい
  ますが、これにはプルトニュウムがわずか含まれている。それはガラス固
  化体として固め地下深く、人が接近できないところで永久保管しなければ
  ならない。そうでなければ、核兵器転用等の疑いがあると評価される。
 ③上記②が達成できないのであれば、高速増殖炉か、MOX燃料(従来の
  ウラン燃料にプルトニュウムをわずかに混ぜた燃料)でプルトニュウムを
  燃やし、またウランにするという永遠の核燃料サイクルをつくり、核兵器
  に転用等の疑惑や印象を与えるスキをつくらない。
が基本です。


 さて、我が国の六ヶ所村にある再処理工場は、永久保管のための「ガラス固化体」をつくること、もう一つは使用済み燃料からの「プルトニュウム」抽出です。
 後者は、今、大きなジレンマに陥っております。その状況は2013年5月2日の原子力員会の公開資料を見てください。
 
 → http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/siryo2013/siryo16/siryo1-2.pdf

 要するに、なぜ再処理するのかが問われております。大きなジレンマで、出口の見えない状況です。
 このことは、国内の原子力発電所の再稼働問題に大きな影響を与えます。
では、どうするか。現政権はこれにどう対処するのか。政策助言を行う原子力委員会、原子力施設規制当局の規制委員会はどうするのか、また国民はどう考えるのかであります。
 もしかして再稼働にとって追い風かといえばそうではありません。なかなか一筋縄ではいかないように見えます。

 TPPと重ね合わせて、非常にに大きな国難ともいうべき問題が、今、日本国民の脱原発、反原発そして推進派を問わず、目前にあるわけです。しっかりと状況を認識しなければいけないときです。核不拡散体制という観点で再処理や原発問題をみると、どうしても国際社会に踏み込まざるをえません。一国の国民だけでは解決しきれないかも知れない。必然的に世界市民の連携が必要になってきます。地球規模といっていいかもしれない。一般市民を構成する人達ー工場で働く人、工場を経営する人、商売に携わっている人、自由業、事務員、学生、家庭の人、退職者、公務員、医療関係の人、教師、研究者、宗教家、芸術家、そして政治家ーの参加が必要な理由でもあります。
 次回にこのことをもう少し掘り下げてみます。(続く)
            
            執筆:H25年6月7日 上原 正勝(神戸の自宅にて)





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1 コメント

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核不拡散条約 (山田廣成)
2013-06-18 13:20:48
原子力発電は原子爆弾と紙一重の技術ですから、常に隣り合わせにあります。原子力発電はそもそもそおいう技術であるから、その誕生の時からIAEAの監視下にあります。東西の冷戦時代にもIAEAはありました。福島原発事故で衆目にさらされたわけですが、実は原子力関係者や原子核物理の研究者は、「危険人物」として登録されています。私も上原さんもそうです。
 私は個人的には原子力発電は止めた方が良いという立場ですが、原子炉をシャットダウンして後も、IAEAの査察は続けられると言うことですから、国にはしっかりと管理頂かないと困ります。その事を一般市民にもご理解いただきたいという趣旨です。
 今必要なことは、原子力発電を推進するにしても廃止するにしても、まず、原子炉を安全に、本来の意味で安全に停止することです。収束委員会はその様な立場で超党派で活動しますのでどうぞよろしく。国が一刻も早く原子炉をシャットダウンすることが求められています。
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