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『我が偽りの名の下へ集え、星々』紹介ブログ

カクヨム掲載中、ファミ通文庫より発売予定のライトノベル『我が偽り名の下へ集え、星々』の紹介ブログです。

リープストリーム その2

2017-04-23 | 設定:SF、科学
リープストリームに入ると、周囲を光り輝く靄か雲のようなもので覆われたチューブ状の空間を移動する事になる。その光り輝く靄を通して、通常空間の天体が確認出来る。
しかし光り輝く靄や天体の光は、可視光線として発したものでは無く、通常空間では重力として発生したエネルギーである。重力エネルギーの一部は、通常の空間に留まらず、他の宇宙へと漏れ出しており、その一部がリープストリーム内で超対称変換されて電磁波となると推測されている。またそれが干渉するとリープストリーム内を充たす、光り輝く靄のようになるらしい。
その為、ブラックホールや褐色矮星など巨大な重力を持ちながら、通常、光学的な観測が難しい天体でも、リープストリーム内では、明るく輝く天体として確認出来る。
またリープストリーム内からリープ閘門を見ると、漆黒の円盤のように見える。そこを通過するとディストーションエクステンダーを起動したままで通常空間へ戻れる。通常、ディストーションエクステンダーの再起動には時間を要するが、このようにリープ閘門から直接、通常空間へ戻った場合、間近に別のリープ閘門があればすぐさまリープストリームに再突入することが出来る。
リープ閘門、リープストリームは質量を持たないが、重力場による空間の歪みに引きずられるので、結果的に天体の周囲を質量のある物体のように回る事も珍しくない。

レーザー兵器

2017-04-22 | 設定:SF、科学
この世界に於ける宇宙戦闘の主力兵器。
レーザーは光速度で直進、電荷もないので、発射されてからの回避は事実上不可能であり、電磁的にシールドする事も出来ない。兵器として実用化されてから(作中では)千年近く経っており、技術的にも完成されており信頼性も高い。
しかしそのレーザーのメリットがデメリットにもなっている。直進性が高いので遮蔽物、障害物の向こう側に潜んだ敵を攻撃することが出来ない。宇宙空間で使用すると、射線が見えないので、弾着観測が出来ない。照準がきちんと合っていれば問題は無いが、機械や計器というものは常に誤差があり、また兵器である以上、過酷な条件で使用されており、その誤差は徐々に大きくなっていく。その為、理屈の上では百発百中であっても、実際には命中しない場合も多い。そしてレーザーは直撃させないとダメージを与えられない。
また仮に「レーザーを100%反射、拡散する物体があれば、レーザーそのものには質量が無いので、如何にその物体が物理的に脆弱でもそれを貫通することは出来ない」。もちろん軍用レーザーを100%反射、拡散あるいは吸収する物質など存在しないが、数%でも反射、拡散する物質があれば、それを大量に散布、塗布すれば、威力の低減が望める。そのような物質を利用した折りたたみ収納式の防盾(シールド)、艦船用の塗料や装甲、そして宇宙空間に散布する微粒子(ミスト)などが実用化されている。
またディストーションエクステンダーの「空間の歪みを拡大する」機能を利用して、空間そのものに負荷を掛けて電磁波の全反射現象を起こす「空間負荷型対レーザー防盾」も存在するが、これはまだ実験段階である。
このような欠点を補う為、戦闘艦にはレーザーと共にミサイル、レールガンも搭載されている。また実戦においては敵艦艇が宇宙空間に浮遊する小惑星やデブリの陰に隠れている場合が多く、艦載レーザー砲は対艦と障害物破砕用の対物レーザーを兼ねている。
またレーザーを発射する前に。その射線上へレールガンで運動効果弾を発射しておき、各種対レーザー防御手段を破砕した後、レーザーを発射する、いわゆる「コンビネーション砲」も開発されているが、これも実験段階である。
レーザー兵器の威力は必ずしも口径には比例せず、また必ずしも常に最大出力で使用されるわけでもないので、その破壊力を比較するのは難しい。そこで帝国軍はもっとも基本的な艦載対空レーザー銃の威力を「1」として、平均してその何倍の破壊力があるかで比較している。その単位は「v」であり「7v」は対空レーザー銃の7倍、「120v」は120倍となりが、若干の誤差があり、また数年ごとに見直されるので、過去の兵器との比較は無意味である。なお単位「v」は、かつてレーザー発振管を「バルブ(valve)」と呼んでいた名残だとされる。

ディストーションエクステンダー

2017-04-10 | 設定:SF、科学
リープストリームに突入する際、真空の僅かな歪みを拡張して、宇宙船が通り抜けられるようにする装置。通常「DEX」と略され、その場合の発音は「デックス」である。
これも「ドーヌム」から改修された技術の一つであり、厳密な意味での動作原理はよく分かっていない。ディストーションエクステンダーそのものはさほど大きくなく、十数メートルほどの宇宙船にも搭載できるが、厖大な電力を消費するため、相応の出力を持つカシミールエンジン装備、もしくは大容量のバッテリーを搭載した宇宙船でしか利用できない。
ディストーションエクステンダーが起動すると、宇宙船の周囲には繭型もしくは紡錘形、ラグビーボール型の特異空間を発生。その内部の物体がリープ閘門を通過すると、そのままリープストリーム内へ突入する事になる。多くの宇宙船が横倒しになった「卵形」「涙滴型」「ラグビーボール型」をしているのは、ディストーションエクステンダーが発生する空間を、効率よく利用するためである。
リープストリーム内ではディストーションエクステンダーの出力を調整して操船する事になる。この際、通常空間で使用される反動(ロケット)推進や重力制御による操船手段は使えない。
リープストリームに突入した状態でディストーションエクステンダーを停止させると、そのまま強制的に通常空間へ戻る。これを一般に「通常空間への落下」と表現する。
その際、宇宙船やディストーションエクステンダーそのものが物理的なダメージを受けることはない。ただしディストーションエクステンダーを起動しても、航行可能な範囲内にリープ閘門がないとリープストリームには突入できず、超光速飛行が出来ない事になる。
その為、リープストリーム内でディストーションエクステンダーが故障、停止することは致命的な遭難の原因となる。
なおリープストリーム内を飛行中に、ディストーションエクステンダーを持たない物体が、宇宙船から離脱すると、そのまま通常空間へ「落下」する。その為、リープストリームを飛行中の宇宙船から搭載艇やミサイルを発進、発射するのは事実上、不可能である。

ドーヌム

2017-03-29 | 設定:SF、科学
リープ閘門周辺で発見される謎の物体。中空の立方体で、内部には何らかの技術的産物が入ってる。形状がプレゼントボックスを思わせるので、ラテン語で「贈り物」を意味する『ドーヌム』と名付けられた。
地球文明に由来するものでないのは確かだが、誰が何の目的で放置したのかは不明。
また内部に収められた技術的産物も完全に動作するものはない。ディストーションエクステンダーやカシミールエンジンもドーヌムから回収された技術的産物を解析した結果として得られたものだが、解析結果が正しいかどうかも分からない。
銀河共同体時代初期までは、より早く新技術を得るため、ドーヌムを巡る争いが頻発していたが、現在(西暦3020年)ではこれ以上、新たな発見はないとされ、関心を寄せられていない。しかしながら未だに解析不能、正体不明の技術的産物を収納したドーヌムが数多く存在しており、何かの切っ掛けで再び争奪戦が激化する恐れはある。

カシミールエンジン

2017-03-28 | 設定:SF、科学
この世界で一般的な動力源。いわゆる「カシミール効果」「カシミールエネルギー」を応用したもの。『ドーヌム』から回収された技術を元にしており、どのように動作しているのか、厳密な意味ではまだ分かっていない。
安価で比較的安定したエネルギーを長期間に渡って供給可能な大型と、高価だが瞬間的に爆発的なエネルギーを発生させた後、自壊する小型の二種類がある。前者は都市のエネルギー源や長距離大型宇宙船の推進用に用いられ、後者は兵器や小型宇宙船用に用いられる。