背中合わせの二人

有川浩氏作【図書館戦争】手塚×柴崎メインの二次創作ブログ 最近はCJの二次がメイン

Trick or Treat?

2021年10月03日 17時06分44秒 | CJ二次創作
「Trick or Treat?」

アルフィンがそう尋ねてきた。
黒いマント、裏地はオレンジ色。頭は黒のとんがり帽子。
中身は黒のミニドレスという魔女のコスチュームで。
今日はハロウィン。今日は朝からそんなカッコでアルフィンは<ミネルバ>内を闊歩している。
あんたたちも何かコスプレしなさいよ、とタロスやリッキーをさんざんせっついていたが、結局二人は丁重にお断りしたようだ。
パンプキンスープにデザートはパンプキンパイという、ハロウィンテイストたっぷりの夕食が終わったあと、アルフィンがリビングのソファでくつろぐ俺に言った。
「Trick or Treat?」
と。
タロスたちは自室に引き取っている。
俺は片方の眉を上げてアルフィンを見遣る。
「なんだそれ」
「ハロウィンの合言葉よ。知らないの?」
意外そうに目を見開く。
「さあ」
「お菓子をくれなきゃいたずらするよって、子供たちが夜にご近所を回るのよ。確か」
「ふうん。だからTrick or Treatか」
二択なんだな。
「お菓子をちょうだい、ジョウ。じゃなかったら、とびきり甘いものを」
魔女は嬉しそうに微笑んで俺の隣に腰を下ろす。
「お菓子なんか持ってないよ」
「じゃあいたずらしちゃうわよ」
「……いいよ」
意のままに、というように俺は軽く両手を広げてみせる。
アルフィンはするりと俺の膝に乗っかった。向かい合う形で俺にまたがる。
ミニのスカート丈がいっそう短くなって真っ白い太腿が覗いて扇情的だ。
さらに俺の肩に手をかけて間近で目を覗き込んでくる。
「本当に? いたずらするわよ?」
青い瞳の魔女は言う。上目使いで。
この、小悪魔め。最初から、そのつもりのくせに。
「好きにしな」
「……後悔したって知らないから」
アルフィンは屈んで俺の首筋に歯を立てた。あ、痕が残っちまうと一瞬思ったが、ままよと俺は目を閉じた。
彼女の温かい吐息に酔う。


結局、最後には魔女と俺の立場が逆転して、いたずらをたっぷり受けたのはアルフィンのほう。
それに、お菓子じゃない甘いものも全身で受け取る。
「もう限界」
敷いたマントに四肢を伸ばし、切なく喉声で鳴いた。
ハロウィンの夜。

END

2011年初出 コスプレだのでもり上がった時代が、一昔のようですね。。。。

⇒pixiv安達 薫

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