全曲解説～かけがえのない詩の巻 その②～

その①からの続き…

スピーカーから流れてきたメロディは哀しくもあり、美しくもあり
そして壮大でした。
「実はまだあるんですよ…」
と更にサビの部分が違う2種類、合計3曲を聴きました。

どれも良いメロディで、この中から1つを選ぶのは難しい。
「ヒロコが唄ってみないとわかんないっすよね～」
とミヤケは言いましたが、どのメロディも素晴らしく
名曲になる予感がプンプン漂っておりました。

その数日後ヒロコとのスケジュールが合う機会に仮歌を入れることになりました。
あまり迷うのも良くないのでその時点でサビは2パターンまで
絞り込んでいました。
そしてより雰囲気を伝わりやすくするために
その場で仮の歌詞も考えながら唄いました。

ちなみに、後に採用となった「パターンA」のメロディに付けた歌詞は
「小さな 小さな 小さな 手のひらで包んだ～♪」だったと思います。

翌日、早速プロデューサーである『おに～さん』始め
全てのミヒスタッフに音を手配して聴いて頂きました。
2パターンとも好評だったんですが
1度聴いただけで誰にでも覚えてもらえやすい「パターンA」が採用になりました。
この時点で去年の10月中頃だったと思います。

学祭ツアーや「So Merry Christmas」のPVの撮影でてんやわんやの中
とりあえず曲だけでも決まってホッとしたんですが…
バラードは歌詞が命！アレンジも命！
色んな事が同時進行している中で
完成までまだやんなきゃいけない事は山ほどあったんですが
名曲になりそうなこの曲の制作を考えている時間は妙に幸せでした。

メロディがほぼ固まったところで、本格的に作詞にとりかかるわけですが…
もちろん「映画ドラえもんの主題歌」でもありますが
その前に「mihimaru GTの2007年1発目のシングル」なわけです。

昨年、応援してくださったみなさんのお陰で
あらゆる方々にミヒマルの音楽を聴いて頂けるようになりました。
それは大変喜ばしい事でもあり、と同時に自分達が作る音楽が
想像も出来ない場所で再生されているという緊張感も生まれました。

今回は更に国民的アニメの主題歌と言うこともあって
幅広い層の共感も得られるような内容でとなると
作詞作業はかなり難航するかと思われたのですが…。

そんな時、頂いたファンレターの中に
メンバーの心に強く響く1通の手紙がありました。

それは生後間もなく目が不自由になられ、
16歳の夏まで闘病生活を続けられた女の子のお母さんからの手紙でした。
その女の子はミヒマルがデビュー当初「大好き！五つ子」の
主題歌を担当していた頃からファンでいてくれたそうです。
全ての作品を聴いて頂いていて
ミヒマルの唄に歌詞に励まされ病気と闘われたそうです。

「気分上々↑↑」がランクインした時はものすごく喜んでくれて
「ツヨクツヨク」も大好きで聴いてくれていたそうです。

世の中に音楽をリリースするという事は
こうした様々な立場の方の耳にも届き、励みにして頂いている事もあるわけで
手紙の内容を僕に伝えながらミヤケは
「僕達に…何か出来る事はあるんですかね…」
と何か胸に想いが引っ掛かっている表情をしていました。


数日後、ラフアレンジが上がった音に対してヒロコが唄を当ててみるスタジオに
ミヤケは歌詞を持ってきました。早速内容に目を通しました。
「ミヤケ、これって…」
「そうなんですよ。でも手紙の女の子に対してって訳じゃないんですけど、
色んな人が聴いてくれていて、自分達にしか出来ないことってこういう事なのかなぁと思って…」

手紙のお母さんにとって、その女の子がそうだったように
もし自分の「かけがえのない人」に何かがあった時
どんな気持ちになるだろう。何が出来るんだろう。
そんな気持ちが歌詞の中から溢れ出していました。

ヒロコも自分の言葉でその歌詞の続きや
「自分だったらこう思います」
と変更を加えたり、あっという間に時間は過ぎて
その日のレコーディングを終えました。


その③へ続く…