全曲解説～かけがえのない詩の巻 その④～

その③からの続き…

さて、オケの録音が終わったところで今回は肝心のVoレコーディングのお話。
今回ヒロコは本番の唄入れまでに
仮唄を入れたり歌詞を確認したりの作業で何度も唄って
雰囲気はかなり良かったので本番のレコーディングも滞りなく進みました。

そしてほぼ完成した音を
後日改めてミヒのプロデューサーである「おに～さん」と一緒に聴いてみると…

「う～ん。良いんだけどこれでいいの？」
「？？？」
「いや、バラードなんだけど俺にはバラードに聴こえないんだよね…」
「…。」
「ほら、なんかさぁ…う～ん。これってまだ時間あるの？」
「まだ若干ならありますよ。」
「じゃ、もう一回だけスタジオ押さえてもらっていい？俺もいくからさ」
「わかりました…」

そんな訳で、久しぶりの「おに～さん」立会いでのレコーディングをする事になりました。
まずスタジオに入って、ヒロコとおに～さんとのミーティングから始まりました。

長いミーティングが終わり…
打ち合わせスペースからレコーディングブースに入っていく
ヒロコの表情は今までに見たことのないものでした。

「じゃ、1回だけいってみようか」
とおに～さんのキューでイントロが始まり
スピーカー聴こえてきたヒロコの唄はそのスタジオの空気を一変させるものでした。

これこそバラード。人の体温を感じさせる唄でした。
もしかしたらそれまでに録っていた唄のほうが
「上手く」唄えていたかも知れません。
でも、その日1テイクだけ録った唄のほうが、確実に心を打つものでした。


後日、その音を持って映画のスタッフとの打ち合わせに出席し
全スタッフ総勢20名程の前で、出来上がったばかりの「かけがえのない詩」を初披露しました。

映画スタッフのみなさんにはかなり期待して頂いていたので
曲を流している間も僕はドキドキしてみなさんの反応を伺っていました。

そして曲が終わると…会議室に割れんばかりの拍手が響き渡りました。

中にはハンカチを手にして涙をぬぐっている方もいらっしゃいました。

映画のプロデューサーの方が僕に近づいてきて、握手を求められました。
「素晴らしい曲を、本当にありがとうございます」

日本を代表するアニメの映画の責任者の方にそう言われ
僕も涙をこらえるのに必死でした。


映画も本当に素晴らしい作品で、試写会ではミヤケと一緒に並んで観たんですが
彼は合計4回泣いてました（笑）。
でも、本当に大人も子供も関係なく感動を与えてくれる映画です。
そんな映画に音楽で参加させて頂いてミヒマルは幸せです。


これからも、多くの人の心に響く、温もりを感じさせる音楽をmihimaru GTは造り続けます。