迷亭のこころ

よっぱらいおじさんじゃな

祖母のこと

2004-06-14 | 想い出
夫が五十歳でなくなってから祖母はひとりで五人の子を随分な貧乏をして育てた
生活費の足しに
祖父の膨大な数の蔵書が小出しに売られていった。そうして書籍はもうない。
お寺の息子だった祖父が戦後、「米国人は神を信じておるいい人じゃ」と言い、祖母にキリスト教の洗礼を受けろと勧めた。
だから祖母は八十八で亡くなるまで毎週欠かさず教会で讃美歌を歌った
今でも聖なる讃美歌を聞くと、祖母のかすれて甲高い歌声が聞こえるし、ぼろぼろの赤い皮表紙の聖書が思い出されるんである
亡夫の形見である
祖母はそれを愛した