cello + hidamari

チェロのことをはじめ、好きなこと、日々の中での出来事を
日記のかわりに、つらつらと綴っていきます。

カサド 「親愛の言葉」

2012-12-15 15:33:46 | Cello
まずは「ふ~っ」と安堵のため息。。。
まだ12月師走真っ只中だけれども、
わたしは今年の目標の一つでもあった課題曲を
何とか予定通りに2回ほど弾き終えることが出来て
ただいまちょっと、つかの間、気持ちをゆるめています。

カサドの「親愛の言葉」を、今年の発表会のときに弾くということが
去年11月の発表会の打ち上げの時に、既に決まっていました。
「それでは来年の発表会で弾いてね、楽しみにしているよ!」と
そのとき恩師は、その約束を嬉しそうに話していました。
でも、その約束が恩師と交わす最後のものになるとは、
まさか誰も想像していなく。。。
今年の春が終わる頃、彼は突然に空へ旅立ってしまったのです。

約束をした時は、あまりに情熱的なこの曲が正直好きにはなれず
さて、どうしよう、困ったな。。
あと1年の間に、この曲が好きになれるかしら。。
と、実は思っていました。
譜読みを始めたものの、高音がとても多いのでA線ばかりで弾くため
なんだか右腕がツカレル、どうして、こんな激しく展開しなくちゃいけないの?
と、(カサドには申し訳ありませんが、)自分の中にこの曲を受け入れることに抵抗を感じていました。

でも、5月に先生の訃報を聞き、そして予定通りに今年は発表会が開催される、と
聞いて、自分のことの云々よりも、あのとき「楽しみにしているよ」、
とおっしゃった先生に聞いてもらいたい、という想いが 私を
この曲に改めて向き合おうという気持ちにさせました。

秋になり、真剣に練習を始めよう、と思った矢先、仕事で突然の人事異動があり、
自分の仕事の環境がガラリと一変してしまいました。
新規事業部の立ち上げに関わり、残業も多くなり、帰宅は夜9時、10時の毎日。
チェロを練習したくても、全然時間がなくなってしまいました。
通勤途中に楽譜を眺めたり、参考にしようとYouTubeやCDでいろいろな人たちの
「親愛の言葉」をたくさん聞くことで、せめてつながっていようとしました。
けれどもこの曲は、ほんとに十人十色で、誰一人として「同じように」演奏していません。
そのくらい個々の「表現力」が求められている曲のようです。
発表会が1か月後くらいに迫ったときに、リハでピアノ合わせがありました。
実は、このときが初めてのピアノ合わせ。。。
結果は、自分の想いと演奏がチグハグとしていて、全く納得のいかないものに。。
いよいよ、これでは「ヤバい」という状況になってきたので
それから毎週末、ピアノ合わせに通おうと決意。
たくさんの様々な演奏を聞いたのに(聞いたが故に?)
それでも まだ自分の中でどうやって弾きたいのかがしっくりこない。。
とピアノ伴奏の先生に打ち明けたら、
「そんな時は、まずは忠実に楽譜通りに弾いてみましょう。
私も迷った時には、いつもそうしますよ。」
と言ってくださいました。
「確かにそうだな」、とストンとその言葉が自分の中に入ってきました。
そう、迷うまでもない。
それがきっかけとなり、少しずつ扉が開いて行って、この曲の景色が見えてきました。
「この部分、ピアノでは、こんなきれいな旋律なの、チェロの旋律と違うでしょう」
とピアノ伴奏の先生からのコメントは、まるで今まで白黒だった風景に
1色、1色、新しい色が塗られていくようです。
転調するところも、ピアノとチェロと小節がずれている、ということも発見。 
あ~、ここはきっとスペインのフラメンコ風の女性や男性が
朗々と代わる代わる歌っている感じ。。。
少しずつ曲の紐解きをしていくようなプロセスが楽しくなってきました。
と、ともに、この曲に託されている作曲者の熱い想いも、少しだけ
理解できたような?、共感できたような?感じに。
気がついたら、わたしはこの曲をとっても好きになっていました。

先週の発表会の当日本番は、朝から喉が激痛。
気をつけていたはずなのに、睡眠不足がたたったのか
とうとう風邪をひいてしまいました。

先週と昨日の2回の演奏を終えてみて
曲の完成度にはまだまだ到達していないけれど
それでも、
今は亡き恩師に届けたかった敬愛の気持ち、感謝の想いは
精いっぱい、私なりに表現ができたのでは。。。
と、自負しています(笑)
いろんな条件が重なる中、精神的にも時間的にもいっぱいだったけれど
ここまで何とか来ることができたので
今回は「たいへんよくがんばりました」
と自分にも言ってあげようと思います(へへ)

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8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (たこすけ)
2012-12-16 14:39:12
ありがとうございました。
カサド、そういう思いがあったんですね。
素晴らしかったです。
そんな大事な曲の前で、ふざけた演奏に付き合っていただき、なんか申し訳ない気分も・・・(苦笑)
でもこれにこりずにまた機会があればお付き合いください。
楽しみにしています。
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U2 (meijun)
2012-12-16 15:13:38
たこすけさん、
こちらこそ、ありがとうございました~!
大好きなU2を一緒に演奏できて、嬉しかったです!
たまにはROCKもいいですよね♪
(あ、楽譜担当者からは、楽譜通りに弾きなさい、と
お叱りのことばを頂戴しました。
わたし、部分的に割愛しちゃったから。。
ゴメンナサイ。。)
今度はMさんに是非ボーカルで一緒に入ってもらいましょう!! (^-^)/
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Unknown (まかべ)
2012-12-16 18:18:39
忘年会では、お疲れさまでした&ありがとうございました。
私も、そんな想いがあったとは・・・といまびっくりしてます。そして、そんなふうに丁寧に仕上げていったんですね。素晴らしいです。
忘年会では、風邪引きとは思えない、魂のこもった素晴らしい演奏でしたよ・・・!

U2もカッコよかったです。さすが元バンドをやっていた2人ですね!(もちろん私の歌などは無用です・笑)
次回も期待していま~す♪
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おつかれさまでした (yoshi)
2012-12-16 20:50:29
おとといはおつかれさまでした。カサド、とてもいい演奏だったと思います。
実はこの曲、meijunさんのイメージとはだいぶ違う気がしていたのですが、聴かせてもらったら、これまでと違うmeijunさんを発見したような気がしました。なるほど、そういう背景があったんですね…
どうせなら、冒頭の3つの音、赤いバラを口にくわえて登場するカルメンみたいに弦をうならせてくれたら、男たちはもうみんな参ってしまうなと思いました(^^;)
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Unknown (meijun)
2012-12-17 00:56:35
まかべさん、こんばんは~。
え、ボーカルダメですか?? 残念だなぁ。。笑

カサドのこの曲の演奏は、まだまだ未熟者ですが、
軽くサラッと弾いてはいけない曲なので、結果的には
自分の中で生まれるストーリーによって、弾き方が変わっていくものなのかな、と思いました。
奥深いです。。。
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ありがとうございました! (meijun)
2012-12-17 01:06:43
よしさん、先日は、お疲れ様でした~。
はい、「情熱的」な感じがわたしも最初は抵抗がありました。
でも、とてもドラティックな曲なので、色づけ甲斐があると思います。 よしさんにも弾いてもらいたいなぁ♪

Sさんもこの曲が大好きだそうで、「一生弾いていきたい曲だよ~」とおっしゃっていましたよ。 
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スペイン (goshu)
2012-12-18 22:26:39
いかにもスペインの曲ですよね。湿っぽい日本の気候とは違う、明るい光と影、・・これが充実した太いちゃんとした音で弾けたら、meijunさんも一皮むけた、と言われるでしょうね。先生もきっとそれを期待しているのでしょう。
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Unknown (meijun)
2012-12-23 12:01:51
おっと、スミマセン、レス遅くなりました。。

今回は、さすがにサラッと弾くわけにはいかない曲でしたね。そういう意味では、勉強にもなりました。
Sさんからも、「楽器が何かを強く語ろう!伝えたい!…と、今までには無い力強さを感じました」と嬉しいコメントをいただきました。もしチェロが力強く語っていてくれたのなら、それだけで私はもう十分な気持ちです。。
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