5月19日―メディアを創る
19日の日経新聞に、わが目を疑う記事がでていた。
イスラエルのシャロン首相が今月末にもエルサレム周辺の入植地を分離壁で囲い込む工事に着手するというのだ。
そもそも、ベルリンの壁をはるかに凌ぐ巨大なコンクリートの分離壁、パレスチナ自治区の内部にまで侵入する形で建設されつつある分離壁は、国際司法裁判所の勧告的意見で違法とされ、国連総会決議で米国とイスラエルをのぞく圧倒的多数で建設中止が求められている。
それにもかかわらず、ついにイスラエルは聖地エルサレムまで一方的に囲い込むというのだ。
周知のようにエルサレムの帰属権はパレスチナとイスラエルの紛争の核心部分だ。
それを一方的にイスラエルが分離壁で囲い込む。こんな暴挙を行いながらパレスチナとの話し合いなど始められるはずは無い。
イスラエルにはパレスチナとの交渉などハナから考えていないのだ。
ブッシュ大統領がシャロン首相に中止を申し入れなければウソだ。
日本政府は来月にシャロン首相を日本に招待し、パレスチナとの和平交渉を求めると言う。 ならば直ちに小泉首相はシャロン首相にイスラエルの囲い込みを止めろと申し入れるべきだ。握手して写真を撮ればいいというものではない。
イスラエルの暴挙を放置しておきながら、小泉首相がいくら「中東和平に貢献したい」とパフォーマンス発言を繰り返しても、むなしく響くだけだ。あたりまえの外交を真面目にするべきだ。
○イスラエルの若者に期待する
そのイスラエルで異変が起こりつつある。19日の朝日新聞が次のように報じている。
イスラエルは小さな国土の周りをアラブという敵に囲まれている。国民の誰もが国防に専念しなければならない。
イスラエルのユダヤ人は男女の区別無く兵役が義務付けられている。しかも兵役を終えても、男はさらに年一回の予備役をこなさなければならないという。
その若者に異変が起きつつあるというのだ。ある陸軍軍曹が、仲間の兵士が、石を投げるパレスチナの子供を追いかけ、力任せに殴りつける、それを目の当たりにして、「これが国防か」と疑問がわき、それ以来予備役召集を忌避しているという。この若者は例外ではないという。精神疾患を装い予備役の免除を求める若者が3割にも増えているという。
それは当然だ。「パレスチナ占領の片棒を担がされている」という事実を知った若者が、「軍服を着るのは格好が悪い、おめでたい奴とみられたくない」と感じ始めるのは自分の良心に忠実である証拠だ。
予備役改革の諮問委員長を努めたベングリオン大学のアビシャイ・ブラバーマン学長は、「イスラエル軍が職業軍人だけで成り立つ時代は、今後10年は来ない。
なお社会のあらゆる階層から兵士が集まってくる点で、イスラエル軍はなお人民軍であり続ける」と断言するという。
しかしこの朝日新聞の記事はこう締めくくっている、「そこにはイスラエル軍が国民の接着剤であり続けて欲しいという旧世代の願いもこめられているようだ」と。
中東和平が動き出すとすれば、事実に目覚めたイスラエルの若者が、イスラエル政府やそれを支えてきた旧世代に異を唱える時ではないかと私は思う。
「石を投げて抵抗するパレスチナの子供を殴りつけたり殺したりする」事実を知った時、良心に目覚めて、イスラエル政府のやっていることは間違いだと若者が気づかないほうがおかしいと思う。
イスラエルと言う国が、「このままでは世界と協調して存立することはできない」、イスラエルの若者がそう考え、外からの声に一切耳を傾けないイスラエル政府を内部から変えていく力になる、そういう国になって欲しいと、私はこの記事を読んで心から願うのである。
19日の日経新聞に、わが目を疑う記事がでていた。
イスラエルのシャロン首相が今月末にもエルサレム周辺の入植地を分離壁で囲い込む工事に着手するというのだ。
そもそも、ベルリンの壁をはるかに凌ぐ巨大なコンクリートの分離壁、パレスチナ自治区の内部にまで侵入する形で建設されつつある分離壁は、国際司法裁判所の勧告的意見で違法とされ、国連総会決議で米国とイスラエルをのぞく圧倒的多数で建設中止が求められている。
それにもかかわらず、ついにイスラエルは聖地エルサレムまで一方的に囲い込むというのだ。
周知のようにエルサレムの帰属権はパレスチナとイスラエルの紛争の核心部分だ。
それを一方的にイスラエルが分離壁で囲い込む。こんな暴挙を行いながらパレスチナとの話し合いなど始められるはずは無い。
イスラエルにはパレスチナとの交渉などハナから考えていないのだ。
ブッシュ大統領がシャロン首相に中止を申し入れなければウソだ。
日本政府は来月にシャロン首相を日本に招待し、パレスチナとの和平交渉を求めると言う。 ならば直ちに小泉首相はシャロン首相にイスラエルの囲い込みを止めろと申し入れるべきだ。握手して写真を撮ればいいというものではない。
イスラエルの暴挙を放置しておきながら、小泉首相がいくら「中東和平に貢献したい」とパフォーマンス発言を繰り返しても、むなしく響くだけだ。あたりまえの外交を真面目にするべきだ。
○イスラエルの若者に期待する
そのイスラエルで異変が起こりつつある。19日の朝日新聞が次のように報じている。
イスラエルは小さな国土の周りをアラブという敵に囲まれている。国民の誰もが国防に専念しなければならない。
イスラエルのユダヤ人は男女の区別無く兵役が義務付けられている。しかも兵役を終えても、男はさらに年一回の予備役をこなさなければならないという。
その若者に異変が起きつつあるというのだ。ある陸軍軍曹が、仲間の兵士が、石を投げるパレスチナの子供を追いかけ、力任せに殴りつける、それを目の当たりにして、「これが国防か」と疑問がわき、それ以来予備役召集を忌避しているという。この若者は例外ではないという。精神疾患を装い予備役の免除を求める若者が3割にも増えているという。
それは当然だ。「パレスチナ占領の片棒を担がされている」という事実を知った若者が、「軍服を着るのは格好が悪い、おめでたい奴とみられたくない」と感じ始めるのは自分の良心に忠実である証拠だ。
予備役改革の諮問委員長を努めたベングリオン大学のアビシャイ・ブラバーマン学長は、「イスラエル軍が職業軍人だけで成り立つ時代は、今後10年は来ない。
なお社会のあらゆる階層から兵士が集まってくる点で、イスラエル軍はなお人民軍であり続ける」と断言するという。
しかしこの朝日新聞の記事はこう締めくくっている、「そこにはイスラエル軍が国民の接着剤であり続けて欲しいという旧世代の願いもこめられているようだ」と。
中東和平が動き出すとすれば、事実に目覚めたイスラエルの若者が、イスラエル政府やそれを支えてきた旧世代に異を唱える時ではないかと私は思う。
「石を投げて抵抗するパレスチナの子供を殴りつけたり殺したりする」事実を知った時、良心に目覚めて、イスラエル政府のやっていることは間違いだと若者が気づかないほうがおかしいと思う。
イスラエルと言う国が、「このままでは世界と協調して存立することはできない」、イスラエルの若者がそう考え、外からの声に一切耳を傾けないイスラエル政府を内部から変えていく力になる、そういう国になって欲しいと、私はこの記事を読んで心から願うのである。