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無保険者傷害保険で判決

2006-03-29 14:06:14 | お仕事
昨日、無保険者傷害保険に関する驚くべき判決が出た。
これは1999年、妊娠中の女性が運転する車両が任意保険に加入していない車両に
衝突され、生まれた息子に重い障害が生じた。
家族は加入している自動車保険(無保険者傷害保険)を請求したが、
「胎児は被保険者に含まれない」として拒否されたためMS社に訴えていたもの。

そもそも無保険者傷害保険とは、交通事故で死亡したとか、後遺障害を
被った場合で、本来なら事故の相手方に損害賠償請求ができるにもかかわらず、
相手方の自動車に対人賠償保険などが契約されていないなどで請求ができない
場合に、保険金が支払われる保険です。
これは、対人賠償保険に加入すると、自動的セットされる補償です。

この保険の被保険者となるのは、自動車保険の契約時に明記された記名被保険者の
ほか、その配偶者、同居の親族(下宿などの子供含む)などです。
また、被保険者の父母が損害を被った場合も対象となりますが、被保険者の重大な
過失による事故はもちろん、無免許運転や酒酔いなどの影響での傷害などは、
保険金が支払われません。

支払われる保険金は、法律上、事故の相手方が負うべき損害賠償額がベースと
なりますが、自賠責保険などからの支払額や、相手の対人賠償保険、あるいは
相手方からすでに支払われた損害賠償金などは差し引かれます。
また、被保険者に過失がある場合には、過失部分については保険金が
減額されます。なお、被保険者に支払われる見舞金や香典代としての臨時費用は、
損害に応じて支払われる保険金とは別枠で受け取ることができます。

このように胎児が補償の範囲に入るうんぬんは約款上は明記されていません。
ですが結果として最高裁は「胎児の損害も保険金支払いの対象となる」との
判断を示した。そのうえでMS社に胎児分として約1億3000万の支払いを命じた。
判決理由として民法では胎児の損害賠償請求権が認められていることから
「出生後に障害や後遺症を負った場合、被保険者の親族に準ずるものとして
保険金を請求できる」とした。

今後、各社約款表示の変更を余儀なくされるだろう。
このような事故はまったく無いとは言い切れません。
皆さんも知っておきましょう。