ちよこの風に吹かれて旅の空2

ちょこの風に吹かれて旅の空の続編

シネマの天使

2022年08月27日 | 日記

シネマの天使

明日香 藤原玲子  アキラ 本郷奏多

支配人  石田えり

 

明治22年、およそ122年続いた大黒座が閉館する事になった。

新人社員の明日香は、映画館の中で不思議な老人に会った。

老人は、自分は映画館に住む天使だと言い、消えてしまう。

昔の映画館の写真を見ていた明日香は、その老人が、

年代が違う風景の中に何故か映っているのを知り驚く。

映画が作りたいとずっと思っている明日香の

幼馴染のアキラにも不思議な事が起こる。

夢の中に映画の仙人という人が現れ映画をなんで作らないのと言う。

作ればいいじゃないとも・・

アキラは夢の中で不思議な体験を何度もする。

明日香が壁に描かれた映画館を訪れた人々のコメントを読んでいると

再びのあの老人が現れる。

そして時代を超えて書かれたコメントの意味を教えてくれる。

そこにやって来た人々の歴史と思い出を・・

この映画館がなくなると天使はどうなるんですか

という明日香の質問に

映画館がなくなると天使は暗闇から外に放り出される。

そしてまた自分の夢を果てしなく探し続けて行く。

そう言って老人は再び姿を消した。

支配人えりもまた夢の中で映画の仙人に出会う。

映画館は何なのかというえりの質問に仙人は・・

観客は映画館の中で夢をみる。

映画館は観客になにかを与える場所。

観客はそれを自分の中に持ち帰る。

物語は、スクリーンを超えて人の中へ続いていく。

えりは再び質問する。

そういう場所を失うという事はどういう事なのか・・

仙人はただ微笑んで答えなかった。

たくさんのファンに見守られ、大黒座は閉館した。

閉館後、大黒座にあかずの間があるのを発見し、

みんなで鍵を壊して入ってみた。

そこには今まで大黒座で上映された映画のポスターが

壁一面に張り巡らされていた。大黒座の歴史そのものだった。

そしてそこには帽子が一つ残されていた。

老人がいつもかぶっていた帽子だった。

大黒座が閉館する意味、歴史が消える意味、

歴史が消えるともがく人々、それでも時代は変わっていく。

ちょっと寂しいそれでも夢があるそんな映画でした。

 

その日、小さな私は母に手を引かれて

今にもつぶれそうな古ぼけた映画館に入った。

私の手を引いて映画館に向かう母の横顔はちょっと悲しげだった。

たぶん父と何かあったんだと思う。幼い私にはわからなかったけど。

真っ暗な部屋で大きく映し出された映像に驚く。

上映していたのは古い古い映画だった。

画像がちょっと乱れていた。

私の知らない言葉が耳の中ですごい速さで流れて行く。

でもタイトルは不思議と覚えている。

「招かれざる客」

数十年後、その映画を探しまわったことがあった。

どうやら人種差別の映画だったようだ。

母との映画の思い出はその一度だけだ。

でもたぶん、それが私の映画の原点だと思う。



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