マサの雑記帳

海、山、庭、音楽、物語、歴史、温泉、経営、たまに税について。

vulnerability

2017-01-08 23:53:38 | 日記
年末に餅を搗き、年始は本を3冊読んだ。

①ラグビー日本代表を変えた心の鍛え方
 荒木香織

 NHKドキュメントで五郎丸選手のプレパフォーマンスルーティーンを共に作り上げていく
映像を見たが、若く薄い顔立ちの女性がメンタルトレーナーをしていて
ちょっとタイプだったので・・・

 勝つためのメンタルトレーニングをいわゆる自己啓発物よりかは
科学的に書いていて、結局はメンタルも練習できる、ということ。
読んだだけじゃダメです、はい。
 ワールドカップ前後の選手の息遣いが結果として感じられて
面白かった。

②沈黙
 遠藤周作

 大みそかに大学の同級生7人で飲んだ。
そのうちの口の悪いエリート二人が絶賛していたのがこの本。
マーティンスコセッシの映画が近々公開されるそうだ。
 島原の乱直後の長崎に使命感に燃えてやってきた司祭の
行く末やいかに。
 九州に転勤中、長崎出身の上司の「ばってん」にも
随分なじんでいたし、五島列島の福江や島原城にも行った。
隠れキリシタンの遺物も見たのだが、この本を読んでから行けばよかった。
 クリスチャンである遠藤周作の描写は、
信仰とは、布教するものにとりいかなるもので、救いを求める貧民にとって
いかに切実なものであったかを理解させる。一方で為政者と民、民の救いようのなさ、
土着化し変質する信仰や当時の習俗をはるかに生々しく感じた。
 文化的摩擦という観点でいうと、今日的に感じる。
9時間ほどで読み終えたが、映画は見たいような見たくないような・・
 
 その飲み会では文学部らしく弁の立つ友人は
「この本を読むと無神論者になる」と。
「俺は餠が好きだから。稲を育て、藁で縄を綯い、収穫物で神への供物としての餠をつくっていうのは
 神を信じてるわけじゃなくて自分の住まう身近な自然に畏敬と感謝を捧げるアニミズムって感じで好き」
「変な事言うなお前」

 この小説中のポルトガル人司祭の言葉に「沼沢地において信仰の根は腐るゆえ根付かない」
という趣旨のものがある。
 「豊芦原瑞穂の国」という表現を思い出した。異国からこの地に来たから客観的に
「湿地の多い国」という表現を取り得るのであって、ゆえにスメラミコトは
渡来人であるという説を唱える人がいた。だから土着的な縄文文化を駆逐できたのだと。

 福岡は美人が多い。妻は東北人で顔が平らである。
俺は縄文人になりたい弥生人なのかも。農耕は争いばかり生んできたものなあ。

③スタンフォード大学マインドフルネス教室
 スティーブン・マーフィー重松

 結構へんてこな英単語を知っているつもりだったがヴァルネラビリティ(弱さ)
という言葉はなじみがなかった。
 アメリカ社会においてアジア人の顔で育った著者が、
凸の欧米文化と凹の東洋文化の融合を試みる、という感じだろうか。
 いかに自分が優秀かを立証せずには生きていけない
現実社会の中において、初心忘るるべからず、で自らの弱さに気づき、受容することで
他者理解が生まれる、という趣旨は「いいんだよそれで」的な安らぎがある。
でアメリカでも「実利も生む」ということで流行っているそうだ。
でも俺、相田みつお的なものは何かねえ・・・
でも、そういうところ、かっこ悪いの嫌い、みたいなところ、直さなきゃなって最近思うので。
瞑想中。あ、ご心配なく。

 でも、やっぱ砂漠の信仰は苛烈。争いの種は常にそこからだもの。
江戸時代の幕府がキリスト教弾圧、民苦しむ
現代のサムライ気取りの政府がキリスト教徒に脅され、民苦しむ。
 なぜか沖縄を思い出した。