このブログでは株や債券の無差別級 格闘日記を取り上げているのですが、
今回は私にまったく無関係な、
不動産のお話です。
IT能力の格差が如実に出て、勝ち組と負け組に別れた事件として
私には印象深いです。
1.事件の概要
2.容疑者について
3.大家さんができる対策
不動産経営の視点から、得られる教訓がないか、この事件を考えてみたいと思います。
1.事件の概要
IT外資系エリート会社員、白昼、知らない男に
玄関で、いきなりメッタ刺しにされる――
報道では事件直後から憶測が飛び交っていたようですが、
犯人の動機は、家賃の滞納を巡って
裁判で負けたことだったようです。
被害者のエリート会社員さんは、実は大家さんでもあった、と。
一般人からすれば「家賃払わんかった上に裁判で負けたらしゃーないやろ。なんで逆恨みすんねん！」
となるでしょうが、橘玲の『言ってはいけない―残酷すぎる真実―』を読んだ事がある人は
ピンとくるものがあったかもしれません。
Amazon.co.jp: 言ってはいけない―残酷すぎる真実―（新潮新書） eBook : 橘玲: 本
被害者は、10万円の資本金で不動産投資を副業として始め、
持ち前の才覚と信用で急激にビジネスを拡大していきます。
私の憶測ですが、おそらく自宅を購入したとされる2004年以降ではないでしょうか。
2015年には自宅に不動産管理会社を設立
2016年には問題の大阪市城東区内の鉄骨4階建て中古マンションを購入し、
入居率を上げるため、家賃を5千円も安くされているのですが、
超悲観論者で妄想癖のある私からすると
ここで被害者の方は一つミスというか……結果的に、運命の変わる選択をしています。
彼が悪いわけではなく、純粋なビジネスとしては最高の一手で、被害者の有能ぶりが窺えます。
たとえば、あなたが大家さんになったと仮定して、
一部屋か二部屋の空室がある中古マンション一棟物物件をどうするか考えてみましょう。
まず初心者なら、新しい借り手を探すため、不動産屋に広告を頼んだり、ＳＮＳを活用したり、目玉商品となるリフォームを検討されるかもしれません。
あるいは何もしない、果報は寝て待つ、これも一つの方法ですが、
空室は一つでも利回りを下げてしまうため、
損益分岐点をギリギリクリアしていても悪手だと思います。
長期的に見て、修繕費など、思わぬメンテナンス費用や固定資産税、
次の投資機会も見据えた「余裕」も考慮する必要があるからです。
ですが、彼は豪胆にも初手から家賃値下げというリスクを取り、しかも一括で、すでに埋まっている部屋も合わせて家賃を下げたようです（記事から私が勝手に妄想リーディング能力を駆使しているので現実とは異なる可能性もあることを留意してください。間違っていたら関係者の皆様本当にすみません）
おそらく、購入前から家賃を下げれば行けるという確信と事前計画があったからこそ、
物件購入されたのでしょう。
2.容疑者について
容疑者の名前がFacebookに載ってないことを不審がっておられる人がいましたが、
おやおやおや今どきの若者の思考はFacebookありきが当たり前なんですね。
ちょっとおじさん（私）には衝撃です。ネット顔出し＆本名コワイコワイ。
ロリコン犯罪 or 脱税 or 両親の死体放置で捕まったときに、
エロラノベと一緒にご尊顔が半永久的に晒されてしまうのですよ？
田舎では社会的な死刑宣告に等しいです。
（社会的に認知される小説＝カバーに著者近影がある）
（ ラノベ＝……おっと余計な事は言うまい）
それに、容疑者の年齢こそ50歳（入居時点は44歳）ですが、ITに疎い人もいますからね。
30代で頑なに携帯電話を持ちたがらなかった会社の先輩がいて、
その方もやっぱり頑固でパソコンやエクセルの扱いが下手でしたね。
（私もマイクロソフトALL製品さんやdocomoさんにはさんざん苦しめられています。
ITが有能な人達には、苦手な人の心、行動のクセは分からんですたい）
（有能な人は若く見える、健康に気を遣うという特徴もあります。お肌キレイ）
容疑者が利用するとしたら、勝手に侮って決めつけて失礼ですが
せいぜい2chくらいのものでしょう。
スマホも持っていなかったのではないでしょうか。
だって最新型iPhoneでFecebookに仲間と一緒に
陽気にレッツサーフィン＆ＢＢＱパーリーインスタをやれる人種は
そもそも加害殺人なんてことに「追い込まれたり」はしないはずです。
（植松聖被告という例外もありましたが、彼の場合は入れ墨が教職にタブーだと気付かない天然体質であり、IT能力とはちょっと違うと思います。「自分から能動的に」社会と業務改革のため組織で動こうとしたり、衆議院議長に免罪を嘆願する手紙（あるいは心神喪失を装う目的での証拠品）を事前に送ったり、方向はとことん間違えているのですが、一定のずば抜けた才能と行動力を感じてしまいます。計画的で責任能力ありと認む）
以下、近所の人の話を引用
「オーナー（四方さん）に悪い印象はないですよ。前のオーナーから変わったのは6年くらい前で、家賃も5000円安くなったから感謝してます。高井さんがここに引っ越してきたのも同じ頃でしたね。
高井さんは普段、白いTシャツにGパン姿で短めの白髪頭。イカツイおじさんで、昼夜問わずしょっちゅう怒鳴っているイメージですね。こてこての関西弁で『オマエ、コラ、ナンボのもんじゃい！』って、声がしょっちゅう響いていました。
健康的な食事が取れて、将来への不安が無く、お金さえあれば
人間、そんなに怒ったりしなくて済むのですよ。
心の安寧には『生活のゆとり』が非常に大切です。
根拠は「うっせー、ブッ殺すぞ！」と普段から怒鳴り散らし荒れていた無職引きこもりの私が、
本の収入を得ることで行動がすっかり変わったのと、
将来の生活計画と投資計画を考え始めたことです。
能力が普通以下の人が（「以下」とは基準を含むのでフツーの人も）、
無計画で行き当たりばったりだと、たいていお金で詰みます。
健全なマネーリテラシー（お金の知識・能力）を後藤達也氏が提唱されていますが、
今の日本に一番必要なモノかもしれません。
刑務所の更生教育でも、ITテストや脳検査（犯罪者に脳疾患が多いという研究あり）と合わせて
ぜひやるべきですね。
アメリカでは凶悪犯の脳解剖や裁判でのスキャン画像提出も行われているようです。
凶悪犯罪者の脳を解剖することで、脳科学は「事件の謎」を解明できるのか
ここで注意していただきたいのは、
低所得層を排除すればいいとか、
生活保護の制度を申告すれば使えますよとか、
そういうお役所的な発想では
フツーの中間層から転落して次々と新たに出てくる
低所得な人がいなくならないことです。
容疑者もひょっとしたら30代には普通の会社員だった可能性もあります。
たとえ短期間であったとしても、
家賃4万5千円のマンションを契約できる生活能力があったわけですからね。
（後述しますが、大阪ではこの家賃、実は中級レベルです）
強面の不動産屋系ユーチューバーさんの経験によると、
家賃が高くなればなるほど、マンションのゴミ出しが綺麗で住民のトラブルも少ないそうです。
お金持ちでない人にとって、
お金持ちのイメージってテレビかアニメですり込まれた、傲慢でいけ好かない人々ですが（成金もいますからねぇ）
実際のお金持ちは、才能豊かで、心に余裕があるから優しい人が多いようです。
（私は「それって、お金持ちサイドからのプロパガンダでしょ」と今でも疑っていますが）
容疑者が日焼けしているのは、工事現場の日雇い労働者だからではなく、
サーファーだったからかもしれません。
ただ、サーファーなら湘南の海沿いの家を選ぶでしょうし……大阪城東区の海ってどうなんですかねぇ？
（などと、サーフィンなど一度もしたことがない私がそれっぽく語ってみました）
3.大家さんができる対策
大家側の対策としては、
①家賃の低い地域に手を出さない
大阪城東区 ワンルームマンション
最安値 賃料（＋管理費）2万円
【SUUMO】ワンルームで探す大阪市城東区の賃貸(賃貸マンション・アパート)住宅のお部屋探し物件情報
最初にコレ見てビビりました。ド田舎の私ん家の近所の半値以下です！ なんでそんなに安いのか……
供給が多すぎるんでしょうかねぇ……？
②2年ごとの契約更新にする（最初の審査で失敗しても、追い出しやすいです。ペットを黙って飼い、床を汚しまくるとか、トラブルメーカーとか）
③ユダヤ教のタルムードから、金貸しの極意を学んでおく
（借り手には丁寧に接する）
（借り手が待ってくれと頼んできたら、こちらが訪問時間を改める。相手が笑っていたとしても、訪問するだけで彼らには心理的負担である）
（借り手が許可しない限り、家に上がり込まない。被害者ももちろん裁判手続きを取る上流常識人ですからコレに則っていたはずですが）
（借り手の面子を他人の面前で潰さない）
（怒鳴らない。心理感染を引き起こし、危険な状態に陥りやすいです）
④トラブルに備えて、自宅と法人の住所は別々にしておく。または仕事用に別荘や事務所を使う
（家族に言えない稼業は、特に家族バレに気をつけましょう ↓業務上の年賀状でバレたケース）
⑤餅は餅屋、ベテランでその道のプロフェッショナルである不動産屋に管理を委託する（まぁ、利回りが下がりますし、経験も積めなくなるんですが）
⑥マネーフォワードＭＥや家計簿帳を紹介したり、強制プレゼント
ただし、説教は厳禁。「あなたの年齢なら同期は課長クラスでお子さんやご両親がこうだから～」
みたいな比較を交えて共感のない計画を押しつけたりすると、殺意に近いレベルの反感を引き起こす可能性もあると思います
⑦生活保護の申請を手伝ってあげる
（借り手のプライドをいかに刺激せずにナッジ（心理誘導）できるかがカギ。大阪の生活保護ハードルは統計の数字以上に高い印象ですので、保護率の高い北海道など、別の自治体を紹介したり、引っ越し費用と契約込みで追い出すなど）
⑧野菜や素焼きミックスナッツ、カフェインレス・コーヒーを差し入れる
（脳機能の回復と、借り手との良好な関係構築を狙います。ただし善意でやっているとそれが当たり前と思われてしまうので、舐められない工夫、要求されても断るなども必要です）
⑨借り手の表情、行動、部屋の状態から、トラブル確率を予想しておく
「感情分類（ＳＰＡＦＦ、specific affect）」というものがあり、
防衛、 はぐらかし、 批判、 軽蔑の４つ、特に軽蔑には注意すべき。
「敵対的な感情のほうに下がり始めたら、九四％は下降し続ける。
悪いほうに進み始めたら修正がきかなくなるんだ」――ワシントン大 ジョン・ゴッドマン心理学名誉教授
第１感～「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい～ (光文社未来ライブラリー) | マルコム・グラッドウェル, 沢田 博, 阿部 尚美 | ノンフィクション | Kindleストア | Amazon
軽蔑は嘘を付くときにも現れることがあり、口は笑っていても目は笑っていないなど。
「舐められたら終わりなんですわ。ハンターは心の平常心が大切」――まさなん
以上、思いつくものを上げてみましたが、
おそらく被害者の方も最初の一点①以外はすべてやっていたのではないか、と思います。
中古物件ですから、すでにトラブルメーカーが入居している状態もありえるでしょうし、
逮捕時に無職なら生活保護を受給していた可能性が高いです。
容疑者が和解を断ったり、そもそも家賃未納で５年以上も居座り続けるのは、
思考が硬直化して、選択肢が自分でも見えなくなり、
脳機能や精神状態が通常でなかったかもしれませんね。
（刑法上の責任能力が無いと言ってるわけでは無いです）
東大レベルの遺伝子を持つ人でトラブルに巻き込まれるとなると、
不動産投資が並大抵の難易度ではないことが分かります。
大家さんの話を聞いていると、
すぐ反社の方々が絡んできたり、常識ではありえないトラブルの連続で
本当に驚かされます。
特殊清掃の現場や、人が事故物件の謎の狂気（磁場……いやなんでもない）に侵食されていく様は、
商業小説にできないレベルのお話がてんこもりです。
コミュ力の低い陰キャで軽率かつ舐められ型の私は、
改めて、ワンルームマンション投資はやらないぞ！と心に深く誓うと共に
事故物件を産まず、日本の資産価値を下げず、
これから大家を志す初心者さんたちに、
それだけはやめとけと警鐘を鳴らしつつ、
亡くなられた方のご冥福を心からお祈りいたします。
凡人は手の届く範囲の目的を、
コツコツやって貯金しておく、
マネーリテラシー（お金の知識・能力）を日々筋トレのごとく鍛え続ける、
怒りは判断力を低下させる、
↑食生活も大事、
ハイリターン＝ハイリスク
これが今回、私の得た教訓です。
