アルゼンチン取材ノート Cultura Cero

ブエノスアイレスを中心に最新の舞台、公演、展示会などを取材、画像と共に速報を御紹介します。

ワールドカップレポート from ブエノスアイレス

2006年07月10日 16時01分07秒 | Weblog
名古屋タイムスにお届けした原稿(オリジナル) 「正直なところワールドカップは結果が進むにつれて大きくときめいている。多分、のめりこんでいるわけではないけれど。ドイツとの試合が決まってからが大きな機転だった。歴史的な闘いだからアルゼンチンに是非かってほしいと思う。昨日は幼稚園の子供達と沢山アルゼンチンの応援歌を歌って大いにもりあがっていた。アルゼンチンにはサッカーの伝統がある。ワールドカップは勝つことの喜びを皆で一緒にわかちあえる。アルゼンチンの旗でみな同じ色にそまる。裕福な人も貧しい人も、コミュニティーや国、宗教、健康.. など多くの違いを超えてこれほど一体になれるのはワールドカップだけ」 幼稚園の先生も務め、独自の音楽を煮詰め注目を集める女性、繊細な眼差しを持つアーティスト、フロレンシア・ルイズが語ってくれました。メキシコに勝利してから次のドイツ戦までの大きな波動を感じながら意気揚々とした日々。口を開けばワールドカップの話で誰とでも盛り上がる。そんな日々が今となっては、まるでまぼろしのように静かなブエノスアイレス。今はサッカーの話題を口にする人は皆無です。 経済大国と同じ土俵に立ち、勝ることができる..日頃抱いている劣等感を克服できる4年に1度の機会、ワールドカップに込める南米庶民の夢は、貧富の差の激しさや移民社会という複雑な構造も伴って非常に大きな意味を持ちます。先日のフランス戦で久しぶりに街角で歓声を聞きました。同じ南米諸国のブラジルに対してのライバル意識からか、ブラジル敗退を喜んでいたようです。それは同じく歴史的に怨念を持つイギリスに対しても(フォークランド紛争)同じ反応を見ることができます。 敗退してから3日後、勇気を出しておそるおそる親しい記者にワールドカップのことを質問すると「もう終わったこと! 僕等は既に2010年アフリカでのワールドカップを夢見ているよ!」と大きな声。即、話は切り替わりました。ワールドカップが終了するまで、この複雑な重たい雰囲気は続きそうです。 (追伸) (勝った日)ーメキシコ戦試合が終わって即、市内中央にそびえるオベリスクへ向かいました。街中クラクションを軽快なリズムで鳴らし、車の窓から身体をのりだし旗をふりながら進む車。応援歌を歌いながらオベリスクに向かう歩く人々、街角の雑誌、新聞を扱うキオスクの販売員もアルゼンチン色の帽子をかぶり行きかう人に声をかけ盛り上がっていました。これほど歓喜に満ち溢れる人々の様子を目の当たりにすると自然に感動で涙があふれてきます。喜びの塔、オベリスクに到着。既に1万人前後の人々が集っており旗をふり飛び上がっていました。誰もかれもが同じ喜びを共にできるというのは素晴らしいこと..と人々の笑顔にみとれるばかりでした。 (負けた日)-ドイツ戦試合観戦取材を試みたのはBellagambaという庶民の食堂カフェ。庶民に人気のあるセルフサービスでトラディショナルな食事が安価でとれる場所。時折、食事の配給などを行う庶民の味方としてしられる店です。ワールドカップが始まってから店に大きなスクリーンが設置されたため、試合当日は100人以上の人々が集結していました。大画面を前に人々は競技場さながらの応援を行っていました。1点目のゴールの瞬間、今日はいけると思い込みましたが終了間際、次のドイツのゴールで様子が1変。延長戦の末、PK戦へ。アルゼンチンのシュートが2人おさえられ敗戦が決定。人々は呆然、店内は静まり返りました。誰も席を立つことなく涙を浮かべ画面をただ黙ってみつめている姿をみて、とてもでないですがカメラを構えることはできませんでした。そのため構えずに感でシャッターを1枚だけ切りました。少しずつ立ち上がり無言で帰宅する人々、大きな声で悔しさを表現しはじめる人々、店の外に出ると驚くほど静かでした。金曜日は夕方からブエノスアイレスは娯楽、文化の街として非常に活動的な動きをみせるのですが、この日は水をうったように静かでマルデ街中が喪に服しているかのような状態でした。とにかく「信じられない」といったような..人々の深い哀しみを目の当たりにしました。店内100人の落胆を体感して私自身も何も手につかない状態に陥りました。インターネットに接続すると大概なんにんかとチャットができるのですが、この日は誰も繋がりませんでした。完全に時がとまったような状態でした。 (メディアの論調)終わった瞬間はトニカク監督批判ばかりでした。なぜチームの柱、リケルメを変えたのか。入れるべき選手を入れなかったのか、キーパーの不甲斐なさ etc テレビに映る記者たちの憤りばかりが目についていましたが、今はモッパラ新しい監督の選出に向けての話題に集中しています。ペケルマン監督は辞任しましたが、引き続き続投という声もあります。他、マラドーナ、元ボカ監督カルロス・ビアンチなどが候補としてささやかれています。ワールドカップの特別番組は引き続きおこなわれていますが、ドイツ戦後ヤルキをなくし何となく流しているかのような記者達の変化が見ていてアマリニ明らかで最後まで報道を続けなければいけない彼等を少し気の毒に思ったりもしました。 佐野まり

Florencia Ruiz フロレンシア・ルイズ

2006年07月07日 20時42分47秒 | Weblog
注目のシンガーソングライター、フロレンシア・ルイズ。彼女の音楽は徐々に世界に広がりつつあります。既に日本でも発売されメキシコ、チリにも届いている。訥々と、ささやくように、時に心の叫びを大きく押し出すように、彼女の歌声を聞くとイツモ切なくなるほど純粋なものを感じる。そして気がつくと心が洗われている。 昨年から彼女と交流を重ねるたびに、その真っ直ぐな佇まいに心打たれる今日この頃です。出会った当初は少しキツメに感じた対応も不器用さと嘘のない..とにかく真っ直ぐ、真っ直ぐ.. Correr (和訳・走る)という彼女の歌、そのもの。真っ直ぐに黙々と走る、走る、走る... 要領よく起用に世の中を渡るがよしという現代社会に、貴重な作品を生み続ける女性。何より心打たれるのは彼女がメンバーを一人一人、心を込めて紹介する場面。ハーモニーというのはこういったメンバーのことをいうのでしょう。


Key / Jose Aguilar
Gr / Ignacio Margiotta
Bass / Ignacio Tkachuk
Drums / Miguel Pagliarulo
Vo & Gr / Florencia Ruiz

Florencia Ruiz