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メモ5 (楕円曲線のランクの計算例)

2018-09-16 17:50:47 | 数学

 の有理点についてSilvermanとTateによる”Rational Points of Elliptic Curve”(1994年第2版。 以下、[Sil]と記述する。)に説明があった(p97からのExample 4)。それによると、

 

A. rankは2以下

B. p≡7 または 11(mod 16)のとき rank 0

C. p≡3, 5,13,15 (mode) のとき rank 1と予想されている。

D. p≡1(mod 8)のとき rank 0 または 2 と予想されている。

 

AとB(p≡7(mod 16))は演習問題(p105の3.8)になっている。AとBは以下のようにしてわかる。                                                 

 先ず、[Sil]記載の関連事実を整理する。

 

①モ―デルの定理(P88):

 Cを以下の方程式で与えられる整数係数3次非特異曲線とする。

  

この時、C上の有理点のなす群C(Q)は有限生成アーベル群である。

 

②命題1 (P79):

 CとC’を以下の式で与えられる整係数の楕円曲線とする。

       

ここで、   

T=(0,0) とし、O, O’をアーベル群C, C'の零元とするとき

 (a) 以下で定義される準同型 Φ:C → C' があり、その核は{O,T}である。

 

 

 (b)  (a)と同じプロセスをC'に施すと、Φ’:C' → C'' があり、C''は(x,y)→(x/4,y/8)によりCと同型である。したがって、以下で定義される準同型 ψ:C' → Cがある。

 

 また、  は、2倍写像  である。

                                                         

③命題2(P85, P91):

 注:命題2と[Sil]に記されているわけではない。

C, C'は命題1と同じ楕円曲線、Γ=C(Q)、Γ’=C’(Q)とおき、rをΓのランク、

 

α:Γ → Q*/Q*2を

 α(O)=1 (mod Q*2)

 α(T)=b (mod Q*2)

 α(x,y)=x  (mod Q*2)

 

とし、α’:Γ’ → Q*/Q*2も同様に定めるとき、以下が成り立つ。

 

 αは準同型である。また、=#α(Γ)・#α’(Γ’)/4 である。

 

④ランクの求め方(P93)

i. かつy≠0 ならば 

   ここで、の約数 

と書ける。

ii. したがって、方程式 ここで  に解(M,e,N)、M≠0がある時、楕円曲線の有理点が見つかり、はαの値域に入ることになる。

 

 

以上の準備のもと、A.とB.を証明してみる。

今、   とする。

A. rankは2以下 を示す。 Cについてb=pなので、 として1,-1,p,-pが考えられる。対応する方程式は

(i) 

(ii) 

(iii) 

(iv) 

 

である。(ii)と(iv) にM≠0となる解はない。よって (mod Q*2)である。

C’ついて b=-4pなので、 として±1、±2、±4、±p、±2p、±4pが考えられる。上と同様の考察により。考えるべき方程式は

(i) 

(ii) 

(iii) 

(iv) 

(v) 

(vi) 

(vii) 

(viii) 

(ix) 

(x) 

(xi) 

(xii) 

の12個である。よって、

(mod Q*2)

である。ここで1と4、-1と―4、pと4p、-pと-4pはmod Q*2 で等しいので、 

(mod Q*2)

である。

よって、③より、 =#α(Γ)・#α’(Γ’)/4≦2・8 / 4 =4 

したがって、r≦2 となる。

 

B. p≡7 または 11(mod 16)のとき rank 0 を示す。

(i) については (M,e,N)=(1,0,1) なる解がある。

(ii) 

 M偶数とするとNも偶数なので矛盾。したがって、Mは奇数。同様にNも奇数

    e偶数とすると  矛盾。

    e奇数とすると  矛盾。よって(ii)の解はない。

(iii)  N偶数なので2N'とおく。M,eは奇数。

   より  よって p≡1または15(mod16)

(iv)  N偶数なので2N'とおく。M,eは奇数

   よって、p≡1または3(mod16)

(vi)  N,eは奇数 M偶数のとき 

 よってp≡1(mod8) である。 

M奇数のとき  よって、p≡5(mod8)である。

(vii)  M,Nは奇数 e偶数のとき  

よってp≡1(mod8)

e奇数のとき よってp≡5(mod8)

(viii)  M,Nは奇数 e偶数のとき 

よって、p≡7(mod8)

e奇数のとき  p≡3(mod8)

(ix)   (iv)でM,eを入れ替えた式に相当する。よって、p≡1または3(mod16)

(x)   (iii)でM,eを入れ替えた式に相当する。よって、p≡1または15(mod16)

(xi)   (ii)でM,eを入れ替えた式に相当する。よって、(xi)の解はない。

 

以上より、p≡7 または 11(mod 16)のとき、(ii), (iii),(iv),(vi),(vii),(ix),(x)の解はない。

よって、 (mod Q*2)

=#α(Γ)・#α’(Γ’)/4≦2・2 / 4 =1 より r=0 となる。 

 


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