樹海の朝。
繁茂する草木を、豪雨が残した草露を、苔生した地面を、地面に落ちた小さな実りを、
生まれたばかりの朝日が包む。
一匹のキモリがひょっこり起き出す。まだ重たい瞼を擦ると、キモリは嵐の通り過ぎた森の中、穏やかな日差しの中を探検し始めた。
昨日の破壊がもたらした変化に心を弾ませながら。そうして河原を歩いていた時、砂に埋もれた一つの輝きを捉える。
掘り出したそれは、表面がツヤツヤとして、中から規則的な音が聞こえてくる。円盤形をした金色の蓋は容易に開いた。
それは、
────時を刻むモノ。
キモリには初めて見るものだったが、
不思議と、自分の手の中に納まる感触を、ずっと前からそこにあったかのように、当たり前のものみたいに感じていた。(本文より)
嵐は過ぎ去った。
加速もせず、戻りもしない。
やさしく時を刻み続ける豊かな森で、キモリは‘それ’と出会ったのだ。
作品名「魂響」
作者:天波八次郎様
(おまけ)
繁茂する草木を、豪雨が残した草露を、苔生した地面を、地面に落ちた小さな実りを、
生まれたばかりの朝日が包む。
一匹のキモリがひょっこり起き出す。まだ重たい瞼を擦ると、キモリは嵐の通り過ぎた森の中、穏やかな日差しの中を探検し始めた。
昨日の破壊がもたらした変化に心を弾ませながら。そうして河原を歩いていた時、砂に埋もれた一つの輝きを捉える。
掘り出したそれは、表面がツヤツヤとして、中から規則的な音が聞こえてくる。円盤形をした金色の蓋は容易に開いた。
それは、
────時を刻むモノ。
キモリには初めて見るものだったが、
不思議と、自分の手の中に納まる感触を、ずっと前からそこにあったかのように、当たり前のものみたいに感じていた。(本文より)
嵐は過ぎ去った。
加速もせず、戻りもしない。
やさしく時を刻み続ける豊かな森で、キモリは‘それ’と出会ったのだ。
作品名「魂響」
作者:天波八次郎様
(おまけ)